蜜蜂の女王







蜜蜂の女王 メルヘン

メルヘンのグリム兄弟
8/10 - 183
蜜蜂の女王
二人の王様の息子が冒険を求めて出かけましたが、すさんだだらしのない生活にはまってしまったので戻って来ませんでした。末の息子は、抜け作と呼ばれていましたが、兄たちを探しにでかけました。しかしやっと見つけると、兄たちは、ずっと賢いおれたちでもやって行けないのに、このおめでたい弟が世の中を渡れると思ってるとはちゃんちゃらおかしい、とばかり嘲り笑いました。

三人は一緒に旅をしていくと、蟻の巣がありました。すると二人の兄は、これを壊そうぜ、小さなアリのやつら、慌てふためいてうろうろ卵を運んでいくだろうよ、と言いました。しかし抜け作は、「ほっといてやってくれよ、兄さんたちがありの邪魔をするのを黙ってみてられないよ。」と言いました。それから進んでいくと湖にでました。そこにはたくさんのカモが泳いでいました。二人の兄は二、三羽捕まえて焼き肉にしようとしました。しかし抜け作はそれを許そうとしないで、「ほっといてやってくれ。兄さんたちがカモを殺すのは我慢できないよ。」と言いました。

やがて蜂の巣のところにさしかかりました。そこではたくさん蜂蜜があって巣がついている木の幹から垂れていました。二人の兄は、木の下で火を燃やし蜂の息をとめよう、そうして蜂蜜をとろうぜ、と言いました。しかし抜け作はまた二人を止め、「ほっといてやれよ、兄さんたちが蜂を焼くのは黙って見てられないよ」と言いました。

とうとう三人の兄弟は、城にたどりつきました。その城はどの馬小屋にも石の馬が立っていて人が一人も見えませんでした。広間を全部通り抜けていくとやがて端のところで一つの戸のところにきました。その戸には3つの錠がかかっていましたが、戸の真ん中に小さな窓があり、部屋の中を覗き込むことができました。そこには白髪の小人が見え、食卓についていました。三人はその小人を、一回、二回と呼びましたが、男には聞こえませんでした。三回目に呼んだときとうとう、小人は立ち上がり、錠をはずして出てきました。ところが小人は何も言わず、たくさんご馳走が並んだ食卓に案内し、三人が飲んで食べてしまうと、それぞれを寝室に連れて行きました。

次の朝、白髪の小人は一番上の兄のところに来て手招きし、石のテーブルに案内しました。そのテーブルの上に、三つの課題が書いてあり、それを成し遂げると城の魔法が解けるとありました。

最初の課題は、森の苔の下に王女の真珠が数にして千個あるが、それを拾わなくてはならない、日が沈むまでに一個でも足りなければ探しに行った者は石に変えられる、というものでした。一番上の兄はそこへ行って一日中探しましたが、その日の終わりには百個しか見つけられず、テーブルに書かれてあったことが現実になり石に変えられました。次の日、二番目の兄がその冒険に取り組みましたが、上の兄と同じことになりました。二百個以上見つけられず石に変えられてしまいました。 とうとう苔の中を探すのが抜け作の番になりました。しかし真珠を探すのはとても難しく、まるではかどりませんでした。それで抜け作は石に座り泣きだしました。こうして座っていると、抜け作が前に助けた蟻たちの王さまが五千匹の蟻をひきつれてやってきました。そしてまもなくこの小さな生き物たちは真珠を全部集めて山にしました。

ところが二番目の課題は湖から王さまの娘の寝室の鍵をとってくることでした。抜け作が湖にくると、助けてやったカモたちが抜け作のところに泳いできて、下にもぐると水から鍵をもってきました。

しかし、三番目の課題は一番難しいものでした。王様の眠っている三人の王女の中から一番末の、一番かわいい王女を探しだすことでした。ところが、三人は全くそっくりで、違いと言えば、眠る前に食べた三種類の甘いものでしかなく、一番上の王女は砂糖をひとかけら、二番目はシロップを少し、一番下は蜂蜜をひとさじ、口にしたということでした。

すると、抜け作が火から守ってやった蜂たちの女王がやってきて、三人の王女の唇を舐め、最後に、蜂蜜を食べた口にとまりました。こうして王さまの息子は、その王女当人を見分けることができました。すると魔法がとけ、あらゆるものが眠りから覚めて、石に変えられていた人たちがまた元通りの姿に戻りました。

抜け作は末の一番かわいい王女と結婚し、王女の父親が死んだあと、王様になりました。二人の兄たちは二人の姉たちと結婚しました。


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