白い花嫁と黒い花嫁







白い花嫁と黒い花嫁 メルヘン

メルヘンのグリム兄弟
7.3/10 - 44
白い花嫁と黒い花嫁
女が飼い葉を刈りながら実の娘と継娘と一緒に野原を歩いていました。そのとき神様が貧しい男の姿で三人の方に来て、「村に行く道はどっちかね?」と尋ねました。「知りたいなら自分で探すんだね」と母親は言いました。娘が付け加えて「見つからないと心配なら、案内人を連れて歩くことね」と言いました。しかし、継娘は「かわいそうに、そこにお連れしましょう、一緒にどうぞ。」と言いました。

それで神様は母親と娘に怒って二人に背を向け、二人が夜と同じくらい黒く、罪と同じくらい醜くなるように望みました。しかし可哀そうな継娘には神様は慈愛の目を向け、継娘と一緒に行きました。村に近づくと娘を祝福して、「3つ願いを選んでごらん。叶えてあげよう。」と言いました。それで乙女が「太陽のように美しく白くなりたいわ。」と言うと、すぐに乙女は昼のように白くきれいになりました。「それから決して空っぽにならないお財布が欲しいわ。」それも神様は娘に与えましたが、「一番よいものを忘れないように」と言いました。乙女は「3番目の願いとして、死んだあと、天国に住みたいと願うわ。」と言いました。それも神様は認めて、娘に別れていきました。

継母が実の娘と家へ帰った時、自分たちが炭と同じくらい黒く醜いけれど、継娘は白く美しいとわかりました。二人の心には意地悪い気持ちがさらに一層つのって、どうやって継娘を傷つけてやろうかとばかり考えていました。ところで、継娘にはレジナーという兄がいましたが、その兄を娘は愛していて、起こったことを全て話しました。レジナーは妹に、「ね、僕はお前の肖像を描くよ。いつも目の前でお前が見れるようにね。だって僕はお前をとても愛しているからいつも見ていたいんだよ。」と言いました。すると妹は「だけどお願いよ、誰にもその絵を見せないでよ。」と答えました。

それで、兄は妹の絵を描き、その絵を自分の部屋にかけました。ところで、兄は王様の宮殿に住んでいました。というのは王様の御者だったからです。毎日行っては絵の前に立ち、そのような愛する妹がいる幸せを神様に感謝しました。さて、たまたま兄が仕えていた王様のお后が亡くなったばかりでした。このお后は他に比べる人がいないほどとても美しく、そのため王様は深い悲しみに沈みました。ところが、宮廷の従者たちは、御者が毎日美しい絵の前に立っていることに気づいて、御者を妬み、王様に告げました。それで王様は絵を持ってくるように命じ、その絵が亡くなったお后にどこからどこまでそっくりで、ただお后よりもっと美しいとわかって、死ぬほど愛するようになりました。王様は御者を連れてこさせ、誰を描いた絵なのか、と尋ねました。御者は、私の妹です、と言いました。それで王様は、この人の他は誰も后にしないぞ、と決意して、御者に馬車と馬と金の布の豪華な衣装を与え、選んだ花嫁を迎えにやりました。

レジナーがこの使いで来たとき、妹は喜びましたが、黒い乙女はその幸運を妬み、この上なく怒りました。そして母親に、「私にあんな幸運をもってこれないのに、お母さんの魔法はいったい何の役に立つのかしらね。」と言いました。「黙っておいで。」とおばあさんは言いました、「すぐにそれをお前の方に変えるからね。」そして、魔法の術で、御者の目をさえぎったので御者は半ば目が見えなくなり、白い乙女の耳をふさいだので娘は半ば耳が聞こえなくなりました。それからみんなは馬車に乗りました。最初に気高い王室の衣装を着た花嫁が、次に娘と一緒に継母が、それからレジナーが御者台に乗りました。しばらく進んでいくと、御者が、「妹よ、体に何かしっかりかけなさい。雨に濡れないように。風でほこりがかからないようにね。王様の前に出るとき白くてきれいでいなくちゃだめだから。」と叫びました。

花嫁は、「兄さんは何と言っているの?」と尋ねました。「ああ、お前の金のドレスを脱いで妹にあげな、と言ってるのさ。」とおばあさんは言いました。それで花嫁はドレスを脱いで、黒い娘に着せてやりました。黒い娘はかわりにみすぼらしい灰色のガウンを渡しました。さらに進んでいき、その後まもなく、兄はまた、「妹よ、体に何かしっかりかけなさい。雨に濡れないように。風でほこりがかからないようにね。王様の前に出るとき白くてきれいでいなくちゃだめだから。」と叫びました。

花嫁は、「兄さんは何と言っているの?」と尋ねました。「ああ、お前の金の帽子を脱いで妹にあげな、と言ってるのさ。」とおばあさんは言いました。それで花嫁は帽子を脱いで、黒い娘に着せてやり、自分の頭に何もかぶらないまま座っていました。さらに進んでいき、しばらくして、兄はまた、「妹よ、体に何かしっかりかけなさい。雨に濡れないように。風でほこりがかからないようにね。王様の前に出るとき白くてきれいでいなくちゃだめだから。」と叫びました。

花嫁は、「兄さんは何と言っているの?」と尋ねました。「ああ、お前は馬車から外を見なくちゃ、と言ってるのさ。」とおばあさんは言いました。馬車はたまたま深い川にかかっている橋の上にいました。花嫁が立ちあがって馬車の外へ身をかがめたとき、母娘は花嫁を押し出して、川の真ん中へ落としてしまいました。花嫁が沈むと同時に、雪のように白いカモが鏡のような水面から出てきて川を泳いでいきました。

兄はそれを何も見ていなくて、馬車を走らせ、とうとう宮廷につきました。それから、兄は黒い娘を妹として王様のところへ連れて行き、目がかすんでいて金の衣装が光っていたので本当に妹だと思っていました。王様は思っていた花嫁が途方もなく醜いのがわかると、とても怒って、マムシがいっぱいで蛇の巣がある穴に御者を投げ込むよう命じました。しかし、年とった魔女は魔法で王様にとりいり目を欺く方法をとてもよく知っていたので、王様は母娘をおいておきました。そしてとうとう娘の見栄えがすっかり我慢できるようになり、本当にその娘と結婚してしまいました。

ある晩、黒い花嫁が王様の膝に抱かれていたとき、白いカモが溝を泳いで台所に来て、台所番に、「ねぇ、羽を暖められるように火をもやしておくれ。」と言いました。台所番はそうしてかまどに火をつけました。するとカモはやってきてそのそばに座り、体を振って、くちばしで羽づくろいをしました。こうして座って楽しくしている時、カモは「兄のレジナーはどうしてる?」と尋ねました。食器洗い係は「マムシや蛇のいる穴に閉じ込められているよ。」と答えました。それでカモは「家で黒い魔女はどうしてる?」と尋ねました。食器洗い係は「王様に愛されて幸せだよ。」と答えました。「王様に神の御慈悲があらんことを」とカモは言って、溝を泳いでいきました。

次の日の夜、カモはまたやってきて、同じことをききました。3日目の夜もそうでした。それで台所番はもうがまんできなくなって、王様のところへ行き、洗いざらい話しました。ところが王様は自分でそれを見ようと思い、次の夜、そこへ行きました。カモが溝から頭を入れると、王様は剣をとって首を切りました。すると突然カモはとても美しい乙女に変わりました。乙女は兄が描いた絵と全く同じでした。王様は大喜びし、娘がそこにびしょぬれで立っているので、豪華な衣装を持って来させ、娘に着させました。

それから娘は、悪だくみと嘘に欺かれ、とうとう川に投げ入れられたことを話しました。そしてまず兄を蛇の穴からだして欲しいと頼みました。王様はこの頼みを果たしたとき、年とった魔女がいる部屋に入り、これこれしかじかのことをする人を罰する方法を知ってるか、と尋ね、ことの次第を語りました。すると魔女はものが見えなくなっていて何も知らず、「裸にされて、釘のついた樽に入れるといいです。その樽に馬をつないで世界中を走らすんですよ。」と言いました。それが全て母親と娘に行われました。しかし、王様は白く美しい花嫁と結婚し、忠実な兄に報い、金持ちで高い地位につけました。


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