少女和狮子


鳴いて跳ねるひばり


从前,有一个商人准备出门作一次短途旅行。 他有三个女儿,出门前,他问他的女儿们想要自己给她们带什么礼物回来。 大女儿说她想要珍珠,二女儿说想要宝石,但小女儿却说道:"亲爱的爸爸,给我带一枝玫瑰花来吧。"当时正是冬天寒冷时节,要买到玫瑰花可以说是一件不可能的事。 爸爸知道这个最漂亮的女儿对花儿情有独钟,所以,他还是答应她尽一切努力为她带一枝玫瑰花回来。 亲吻了三个女儿之后,父亲告别她们出发了。
当商人返程回家时,他为二个大女儿买到了他们所要的珍珠和宝石,可不管他到哪个地方,要想为小女儿找到玫瑰花却是白费气力。 当他到各地的花园寻求玫瑰花时,人们都嘲笑他,问他是不是认为玫瑰花是在冬天里生长开花的。 受到嘲弄,他感到很伤心,但为了他那最可爱的小女儿,他并不在乎,心里仍然想着回去该给她带点什么东西。 最后他来到了一座美丽的城堡,城堡四周都被花园环绕着。 非常奇特的是花园一半似乎是春暖花开的季节,另一半却是严冬的景象;一边是满园最美丽的鲜花竞相开放,一边是花草荒芜,白雪覆盖。 商人不由得对他的仆人说:"啊!真是太幸运了!"说完,就让仆人到玫瑰花圃那儿去为他采一枝玫瑰花。 拿到了玫瑰花,他们格外高兴,正准备离开时,一头凶猛的狮子跳了出来,咆哮着说道:"无论是谁敢偷摘我的玫瑰花,我就要吃掉谁。"商人吓坏了,他战战兢兢地说道:"我不知道这花园是属于你的,有什么办法能救我一命吗?"狮子说道:"不能!没有什么办法能救你,除非你答应把你回家时最先看到的东西送给我。如果你同意这个条件,我就不吃你,连玫瑰花也送给你的女儿。"但商人不愿意答应这条件,他说道:"我的小女儿最爱我,每次回家她总是最先跑出来迎接我,我回家最先遇到的可能正是我的小女儿。"此时,他的仆人吓得不得了,说道:"也许最先遇见的是一只猫,或者是一只狗。"最后,商人怀着一种侥幸的心理和沉重的心情,被迫同意了。 他拿着玫瑰花,答应狮子把他回去时最先遇到的东西送来。
就在商人回到家门前时,他那最小最可爱的女儿首先看到了他,马下飞跑出屋,迎上前来用亲吻欢迎他的归来。 她看到他带回给她的玫瑰花时,更加兴高采烈起来。 但她的爸爸心情却开始忧愁起来,悲叹着说道:"天哪!我最亲爱的孩子!这朵花是我用高价买来的,为了它,我已经答应把你送给一头凶猛的狮子了。它得到你时,一定会把你撕成碎片,然后将你吃掉。"说完,把事情的经过都告诉了她,说准备让她不去,最终的结果会怎样就听天由命吧。
但她女儿听了之后,安慰他说:"亲爱的爸爸,你必须履行自己的诺言。我要到狮子那儿去,并设法驯化它,它也许会让我安然无恙地回家来的。"
第二天早晨,她问清楚去路,告别了父亲,大胆地踏进了森林。 其实,那头狮子是一个被施了魔法的王子,在大白天,他和他的大臣们都被变成狮子的形象,到了晚上又一起变回正常人的样子。 当这位少女来到城堡时,狮子非常有礼貌地迎接她的到来,并向少女求婚,少女同意了他的请求。 盛大的结婚宴会举行之后,他们在一起幸福地生活了很长一段日子。 每当夜晚降临,王子就来了,他召集大臣进见、和她相会,但天一亮就离开新娘,独自而去,她不知道他去了哪儿,但每到夜晚他又会回来,天天都是这样。
有天,王子对她说:"明天你的大姐姐结婚,你爸爸要在家里举行一个盛大的喜庆宴会,如果你想去看看他们,我就让我的狮子带你去那里。"这对时时刻刻都想去看看父亲的她来说,真是太高兴了。 第二天她和狮子们一道出发了,每个看到她的人都格外的高兴。 因为他们认为她被狮子咬死已经很久了,现在又看到她回来觉得真不容易。 她告诉他们自己现在生活得很幸福。 她在家一直待到婚宴结束才返回森林里去。
不久,二姐又要结婚了,她也被邀请去参加结婚典礼。 她对王子说:"这次你必须和我一同前往,我一个人是不会去的。"但他不同意,说这是一件非常危险的事情,因为只要有一丝灯火的光照着他,他身上的魔法就会更加邪恶,他会被变成一只鸽子,要被迫在世间到处飞行七年。 可她却不答应,还说她会细心照料,不会让一丝灯火的光线照到他身上的。 最后他俩一起出发了,还带上了他们的孩子。 到家后,她选择了一间墙壁很厚的大厅,让他待在里面。 但不幸的是厅门之上有一条裂缝,谁也没有发现。
盛大的婚礼举行了,就在结婚队伍从教堂返回经过这座大厅时,队伍里举着的火炬有一丝光线从厅门的裂缝射进了大厅,正好照在王子的身上。 刹那间,王子消失了,等他妻子进来找他时,只发现一只白色的鸽子。 他对她说:"我必须在世界各地到处飞行七年,而且时常会掉落一根白色的羽毛,那是我给你指出我去的方向,你跟着它,最终就会追上我,从而解救我,让我获得自由之身。"
说完,他飞出了大门,她紧跟着鸽子毫不犹豫地追去。 他飞啊! 不停地飞! 她追啊! 不停地追! 在天地之间的广阔世界里,她循着他不时掉落的白色羽毛指引之路,勇往直前;她心身合一,对世间万事不闻不问,决不旁顾;她也不休息,不睡觉。 整整七年终于就要过去了,她心情开始兴奋起来,以为一切艰难困苦和烦恼忧愁都会随着七年的到来而结束。 然而,现实却将她们美好的希望击得粉碎:一天,她正在路上追寻着,却怎么找也找不着白色羽毛了。 她抬眼在天空搜寻,别说是白鸽,就连鸟的影子都没看到。 "老天爷--,"她长叹一声,"没有人能帮助我了!"
她迎着太阳走去,对着太阳说道:"太阳啊!你的光辉普照在大地之上,你俯视着群山、峡谷,你可曾看见过一只白鸽吗?""没有!"太阳真的说话了,"我没有看见白鸽,但我送给你一个小匣子,在你最需要帮助时就打开它。"她很感激地向太阳道谢之后,继续寻找着白鸽的踪迹。
随着夜幕的降临,月亮慢慢地升起来了,看到月光映着大地,她对着月亮大声喊道:"月亮啊!你的清辉整夜照映在山川田野之上,你可曾看见过一只白鸽吗?""没有!"月亮真的说话了,"我帮不了你的忙,但我送给你一只鸡蛋,在你最需要之时就打碎它。"她真诚地向月亮道谢之后,又继续寻找着白鸽的踪迹。
晚风吹拂过来,吹到她身边时,她大声说道:"晚风啊!你穿过树林,拂过林梢,摇动着树叶,你可曾看见过一只白鸽吗?""没有!"晚风真的说话了,"但我可以问问其它的风儿,它们也许看见过。"东风和西风来了,它们都说没有看见白鸽,但南风却说道:"我看见过这只白鸽,他飞到红海去了。因为七年已经过去,他变成了一只狮子。此刻他正在和一条飞龙搏斗,那条龙是一个被施了魔法的公主,她想把你和他分开呢。"听到这消息后,晚风说道:"我告诉你一个诀窍,你到红海去,靠右边的岸上有一排柳树枝,你按顺序数过去,数到第十一枝时,将它折断,然后用柳树枝去抽打那条龙,狮子就会赢得胜利。他们两个也会变回人的样子出现在你面前,千万记住,你要立即上前挽着你心爱的王子动身回家。"
于是,这可怜的人儿又踏上了追寻之路,来到了红海。 一切正如晚风所说的一样,她拔下第十一棵柳树枝,用力抽打那条飞龙。 刹那间,狮子变成了王子,飞龙也变成了一位公主。 惊喜之下,她竟把晚风给她的告诫忘了,结果让那个公主看准机会,用手臂挽着王子,带着他离去了。
这位远道而来的不幸女人又被抛弃了,孤独凄凉又伴随着她。 但是,她没有气馁,仍然鼓足勇气说道:"我要继续追寻他,只要是风能吹到的地方,有公鸡啼叫的地方,哪怕是天涯海角,我也去寻找,一定要再次找到他为止。"她又开始了艰难的跋涉。
功夫不负有心人,她终于来到了一座城堡,王子正是被公主带到了这里。 看来这儿正筹备着一个宴会,她向路人一打听,原来是要举行一个结婚宴会。 "啊!上帝保佑我!"她说道。 然后拿出太阳送给她的小匣子,打开一看,里面放着的是一套闪烁着阳光般光彩的令人眩目的礼服。 她穿上礼服,走进了王宫,所有的人都把目光移到了她身上。 新娘看见她穿的礼服,非常羡慕,问她是否愿意出卖,她回答说:"金子和银子是买不到的,除非用血和肉才能换取。"公主不懂她的话,问她是什么意思,她说:"今天晚上,让我在新郎的房内和他谈一次话,我就把这礼服送给你。"公主最后同意了。 但她吩咐她的仆人给王子喝一杯安眠药水,让他既不可能听到这个女人说话,也不可能看到她。
到了晚上,王子睡着了,她被带到他的房间里。 她在他靠近脚的一头坐下说道:"我追寻你有七年了,太阳、月亮、晚风都帮我寻找你,最后我帮你战胜了飞龙,难道你就把我完全给忘了吗?"可惜王子此时睡得正香,她的话传到他耳朵里,迷迷糊糊就好像是风拂过杉树的沙沙声响。
第二天早晨,她被带了出去,无可奈何之下,只得交出了那件金光闪闪的礼服。 看到自己的努力竟毫无结果,她走出王宫,伤心得跑到外面的草地上便瘫了下来,失声痛哭。 坐了一会儿,她想起了月亮送给自己的那个鸡蛋,马上将蛋拿出来打碎,从蛋里面立即跑出一只纯金的母鸡和十二只纯金的小鸡。 它们一出壳就在四周唧唧地闹着玩耍起来,又依偎在母鸡的翅膀下面,构成了一幅世间最美的画卷。 看着这群美丽可爱的金鸡,她站起来极不情愿地赶着它们向王宫走去。 听到小鸡诱人的叫声,新娘从窗户里探出头来看到了可爱的鸡群,便兴奋地跑出来,问她是不是愿意出卖这群金鸡。 "金子和银子是买不到的,除非用血和肉才能换取。"公主又想和昨天一样来欺骗她,就答应了她的要求。
但公主没有料到,晚上王子来到房间里时,他问仆人为什么昨晚风吹得沙沙地响。 仆人心虚,只好把一切都告诉了王子:他如何给王子服安眠药水,而一个可怜的少妇来到王子的房间里对他诉说不止,他却在呼呼大睡,今晚她还要来这儿等等。 王子听过之后,小心翼翼地倒掉了安眠药水,睡在了床上。 待那少妇到来又开始向他诉说自己的悲哀与不幸、诉说自己对他的爱是多么的忠贞不移时,他听出了这是他心爱的妻子的声音。 他一下子跳了起来,说道:"啊!你把我从梦魇中唤醒了,因为我被这个陌生的公主用咒语迷住,完全把你忘记了,在这幸福的时刻,我要感谢上帝又把你送回到我的身边。"
他们害怕被公主发现,于是,趁着黑夜悄悄地逃出王宫,夜以兼程地向自己的家园赶去。 他们终于又见到了自己的孩子了,孩子已经长大,看起来真是神采飘逸,俊美非常,人见人爱。 一家人终于又团聚在一起了,他们消除了魔障,过上了正常人的幸福生活,一辈子再也没有分离过。
昔、長い旅にでかけようとしてした男が、三人の娘たちに、お土産は何がいい?、と別れ際に尋ねました。すると、一番上の娘は真珠を欲しがり、二番目の娘はダイヤモンドがいいと言いましたが、三番目の娘は、「お父さん、私は鳴いて舞い上がるひばりがいいわ。」と言いました。父親は、「いいよ、手に入れられたら、持って来てやろう」と言い、三人にキスし、出かけて行きました。
さて父親が家に帰る時が来て、上の二人の娘には真珠とダイヤを持ってきましたが、末の娘にやる鳴いて舞い上がるひばりはどこを探しても見つからないので、とても残念に思っていました。というのはこの娘を一番可愛がっていたからです。道が森を通っていて、森の真ん中に素晴らしい城がありました。城の近くに一本の木が立っていましたが、その木の上に、鳴いて舞い上がるひばりが見えました。「やあ、ちょうどいいときにでてきてくれたね。」と父親はとても喜んで言い、召使を呼んで木に登りその小さな生き物を捕まえるよう言いました。
ところが、召使がその木に近づくとライオンが木の下から跳び出してきて、身ぶるいし、木々の葉が震えるほど吠えました。「おれの歌って舞い上がるひばりを盗もうとするやつは」とライオンは叫びました。「食ってしまうぞ。」それで父親は「その小鳥があなたのものだとは知りませんでした。この償いはいたします。身代金のお金もたくさんお渡しします。命ばかりはお助け下さい」と言いました。
ライオンは言いました。「何をしたってだめだ。ただ家に帰ったとき最初に出会うものを私にくれると約束するなら命を助けてやろう。そうすればお前の命を助けてやるだけでなく、お前の娘にその鳥をくれてやろう。」しかし、父親はためらって、「それは私の末娘になると思います。私を一番愛していて、私が帰るといつだって走って出迎えるのです。」と言いました。ところが召使はこわがって「出迎えるのは娘さんとは限りませんよ、猫とか犬かもしれませんよ。」と言いました。そうして父親は説き伏せられて、鳴いて舞い上がるひばりを受け取り、ライオンに、家に帰って最初に出会うものをあげる約束をしました。
父親が家に着いて中に入ったとき、最初に出迎えたのは他ならぬ一番かわいがっている末娘でした。娘は走り寄ってきて、父親にキスし抱きしめました。父親が鳴いて舞い上がるひばりを持ってきたのを見ると、我を忘れんばかりに大喜びしました。しかし父親は喜ぶどころか、泣き出して、「娘よ、その小鳥はずいぶん高く買ってしまったよ。小鳥と引き換えに、お前をどう猛なライオンにあげる約束をする羽目になったんだ。お前を手に入れたら、あいつはお前を引き裂いて食ってしまうだろう。」と言いました。そして娘に起こったことをありのままに話して聞かせ、どうなろうとそこに行かないでくれ、と頼みました。
しかし、娘は父親を慰め、「お父さん、約束したことはちゃんと果たさなくてはなりませんわ。私はそこへ行ってライオンをなだめてみます。そして無事にお父さんのところへ戻ってきます。」と言いました。次の朝、娘は道を教えてもらい、お別れをして、こわがらないで森へ入って行きました。ところで、ライオンは魔法にかけられた王子で、昼のあいだはライオンになっていて、家来たちもみんな王子と一緒にライオンになっていましたが、夜には元の人間の姿にもどっていたのです。娘は着くと親切に迎えられ、城に案内されました。夜になるとライオンはハンサムな男に変わり、二人の結婚式がとても豪華にあげられました。
二人は一緒に幸せに暮らし、夜に起きていて、昼の間は眠っていました。ある日、王子がやってきて、「明日、一番上のお姉さんが結婚するので、お前のお父さんの家で祝宴がある。もし行きたいなら、家来のライオンたちに案内させるよ。」と言いました。娘は「ええ、お父さんにとても会いたいわ。」と言って、ライオンたちにつきそわれてそこへ行きました。娘が着くとみんな大喜びしました。というのは娘はライオンに引き裂かれ、とっくに死んでしまったものと思っていたからです。しかし、娘は、どんなにハンサムな夫を持ち、どれだけ豊かに暮らしているかをみんなに話し、結婚式のお祝いが続いている間みんなのところにとどまり、それからまた森へ戻りました。二番目の娘が結婚するときになり、また結婚式に呼ばれたときに、娘はライオンに、「今度は私一人で行くのではなく、あなたも一緒に来てくださいね。」と言いました。
ところが、ライオンは、それは僕には危険すぎるよ、燃えているろうそくの光があたると、ぼくは鳩に変えられてしまうんだからね、そうして鳩たちと7年間飛びまわっていなければならなくなるんだ、と言いました。娘は、「そう、でも是非一緒に来て。よく注意してあなたに光があたらないように私が守るから。」と言いました。そこで二人で一緒に出かけ、二人の小さな子どもも一緒に連れて行きました。娘はそこで部屋を、頑丈で壁を厚くし光がまるでさしこまないように作らせました。結婚式のお祝いにろうそくが灯されるとき、この部屋に王子は閉じこもることになりました。ところが戸は生木でできていて、そって小さな割れ目ができていたのに誰も気づきませんでした。
結婚式は盛大に祝われましたが、ろうそくやたいまつをたくさんもった行列が教会から戻ってこの部屋を通りすぎたとき、髪の毛ほどの光が王様の息子の上にさし、この光が触れるとたちまち王子は姿が変わり、娘が部屋に入り王子を探したときには、王子は見えなくて白い鳩がそこに座っていました。
鳩は娘に、「7年間僕は世界を飛びまわっていなければならない。だけどお前が歩く7歩ごとに僕は赤い血を一滴と白い羽根を一枚落としておく。これでお前は道がわかるだろう。お前がそのあとをたどってくれば僕の魔法を解くことができるよ。」と言いました。そうして鳩は戸口から飛んででていきました。娘はそのあとをつけました。すると7歩歩くごとに赤い血が一滴と小さな白い羽根が落ちてきて、娘に道を教えてくれました。
そうして娘は広い世の中にだんだん深く入っていき、脇目もふらず休みもしませんでした。そうしているうちに7年が過ぎようとして、娘は喜び、自分たちはまもなく救われるだろうと考えました。しかしとんでもありませんでした。あるとき、二人がこうして進んでいるとき、小さな羽根も赤い血も落ちてこなくなり、娘が目を上げると、鳩は消えてしまっていました。娘は、(これでは人間は誰もあなたを助けられないわ)と考え、お日さままでのぼっていき、お日さまに、「あなたは岩の割れ目の中も山のてっぺんの上もどこでも照らしています。白い鳩が飛んでいるのをご覧になりませんでしたか?」と言いました。「いいえ」とお日さまは言いました。「何も見なかったが、お前に宝石箱をあげよう。とても困ったときに開けなさい。」
そこで娘はお日さまにお礼を言い、歩き続けましたが、やがて夕方になり、お月さまが出ました。それで娘はお月さまに、「あなたはあらゆる野原や森を一晩じゅう照らしてますが、白い鳩が飛んでいるのを見ませんでしたか?」「いいえ」とお月さまは言いました。「鳩は見ませんでしたが、あなたに卵をあげましょう。とても困ったときに割るんですよ。」そこで娘はお月さまにお礼を言い、進んでいくと、夜風が近づいて来て、娘に吹きつけました。
それで娘は夜風に「あなたはどの木にもどの葉の下にも吹きますが、白い鳩が飛んでいるのを見ませんでしたか?」「いいえ」と夜風は言いました。「鳩は見ないが、他の三つの風たちにもきいてみよう。見たかもしれないから。」東風と西風が来ましたが、何も見ていませんでした。しかし、南風は「私は白い鳩を見ましたよ。紅海に飛んで行きましたが、そこでまたライオンになりました。7年が終わりましたからね。ライオンはそこで竜と戦っていますが、その竜は魔法にかけられた王女ですよ。」
すると夜風が娘に言いました。「いいことを教えてあげよう。紅海に行き、右の岸に高い葦が生えているから、数えて11番目を折り取るんだ。そうしてそれで竜をうつと、ライオンは竜に勝てるし、両方とも人間の姿に戻るよ。そのあと、見回すと紅海の岸にいるグライフ鳥が見えるだろう。その背に愛する人と飛び乗るんだ。すると鳥は海を越えてお前の家へ運んでくれる。さあくるみを一個あげよう。海の真ん中にきたら、そのくるみを落とすんだ。それはすぐに芽を出し高いくるみの木が水中から生える。その上でグライフ鳥は休むんだ。休めないとグライフ鳥は海を渡れるほど強くないからね。くるみを落とし忘れればグライフ鳥は海の中へお前たちを落としてしまうよ。」
それで、娘がそこへ行くと、すべてが夜風の言ったとおりでした。娘は海辺の葦を数えて11番目を切りとり、それで竜をうちました。するとライオンが竜に勝ち、途端に両方とも人間の姿に戻りました。しかし、前に竜だった王女は魔法から解かれると、若者の腕をとり、グライフ鳥に乗って一緒に連れ去ってしまいました。可哀そうな娘は、はるばる旅をしてきて、またもや見捨てられ、そこに立っていました。
娘は座りこみ泣きましたが、やがて勇気を取り戻し、「それでも私は、風が吹く限りどこまでも、雄鶏が時を作るかぎりいつまでも、あの人を見つけるまで行こう。」と言いました。そうして長い、長い道のりを歩いていって、とうとう二人が一緒に住んでいるお城に来ました。そこで娘は、まもなく祝宴が開かれ、二人が結婚式をあげる、という噂を聞きました。しかし、娘は「神様はそれでも助けてくださるわ。」と言い、お日さまがくれた宝石箱を開けてみました。そこにはお日さまそのもののようにまばゆいドレスが入っていました。それで娘はそれを取り出して着ると、お城に入って行きました。するとみんなが、花嫁自身でさえも、驚いて娘を見ました。
花嫁はそのドレスをとても気に入って、花嫁衣装にいいわ、と思いました。それで娘に「それを売ってくれませんか?」と尋ねました。「お金や土地では売りません」と娘は答えました。「でも肉と血でならいいわ。」花嫁はそれはどういう意味ですか?と尋ねました。それで娘は「花婿が眠る部屋で一晩眠らせてください」と言いました。花嫁はそうしたくありませんでしたが、とてもそのドレスが欲しかったので、しまいには承知しました。しかし、お付きの者に命じて王子に眠り薬を飲ませました。それで、夜になり若者がもう眠っているときに、娘は部屋に案内されました。娘はベッドの上に座り、言いました。「私は7年間あなたを追ってまいりました。お日さまやお月さまや四つの風のところにも行ってあなたのことを尋ねてきました。竜からあなたを助けました。それなのにあなたは私をわすれてしまったの?」しかし、王子はぐっすり眠っていたので、外でもみの木に風が吹きつけているようにしか聞こえませんでした。そうして夜明けになると娘はまた部屋から連れ出され、金のドレスをあきらめるしかありませんでした。
しかもそれすら何の役にも立たなかったので娘は悲しくなり、草原に出て行くとそこに座り泣きました。そこに座っているうちに、娘はお月さまがくれた卵のことを思いつきました。娘がそれを開けると、コッコッと鳴くめんどりが一羽出てきて、全部金のひよこを12羽連れていました。ひよこたちはぴよぴよ鳴きながら走り回り、まためんどりの羽の下にもぐりました。その有様はとても素晴らしく、この世でまたと見られないものでした。そこで娘は立ち上がり、ひよこたちを追って草原を渡っていくと、花嫁は窓から見ていました。花嫁は小さなひよこたちがとても気に入ったのですぐに下りてきて、売ってくれませんか?と尋ねました。「「お金や土地では売りませんが、肉と血でならいいわ。花婿が眠る部屋で一晩眠らせてください」と娘は答えました。花嫁は「ええ、いいわ」と言い、また前の番と同じように娘を欺くつもりでした。
しかし、王子は寝るときに、お付きの者に、夜にぶつぶつ、がさがさしていたのは何だったのか?と尋ねました。そこでお付きの者は、可哀そうな娘がこの部屋でひそかに眠ったので、あなたに眠り薬を飲ませるよう命じられたのです、今晩もまた眠り薬を飲ませることになっています、と全部話しました。王子は、「ベッドのわきに眠り薬を捨てろ」と言いました。
夜に、娘はまた部屋に案内されました。そうして娘がどれだけいろいろひどい目にあったか語り始めると、王子はその声ですぐに愛する妻だとわかり、飛び起きて、「今こそ本当に解き放たれた。僕は夢の中にいたようだった。というのは見知らぬ王女が僕を魔法にかけ、君を忘れさせたのだ。しかし神様が僕をちょうどよいときに魔法から救ってくださった。」と言いました。そうして二人は夜のうちに密かに城を抜け出しました。というのは王女の魔法使いの父親をおそれたからです。二人はグライフ鳥に乗り、グライフ鳥は紅海を渡って二人を運び、真ん中にきたとき娘はくるみを落としました。途端に大きなくるみの木が生えて、そこで鳥は休み、それから二人を家に運んでくれました。家には子どもがいましたが、もう背が高く美しく成長していました。それからみんなは死ぬまで幸せに暮らしました。