なぞなぞ

昔、王様の息子がいて、世界を旅してみたいという望みを抱き、一人の忠実な従者だけ連れてでかけました。ある日大きな森に着きましたが、すっかり暗くなってしまったのに、宿もみつからず、どこで夜を過ごしたらよいかわかりませんでした。すると、一人の娘が小さな家にむかっていて、近づいてみるとその娘は若く美しいのがわかりました。王子さまは、その娘に話しかけて、「娘さん、私と従者があの小さい家に泊まれないだろうか。」と言いました。すると娘は悲しげな声で「
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グリム兄弟のほとんどテイルズ

ブレーメンの音楽隊 ある男がロバを飼っていました。このロバは何年も疲れ知らずに麦の袋を風車小屋まで運びましたが、力がなくなってきて、だんだん仕事に適さなくなってきました。それで主人はえさをやらないのが一番いいと考え始めました。しかし、ロバは風向きが悪いとわかって逃げ、ブレーメンへ行く道を出発しました。そこできっと町の音楽家になれるぞ、とロバは考えました。 しばらく歩くと、猟犬が道に寝て、疲れるまで走ったようにハアハアあえいでいるのに気がつきました。「犬くん、どうしてそんなにあえいでいるんだね?」とロバは尋ねました。「ああ」と猟犬は答えました。「僕は年寄りで、毎日弱くなってきて、もう猟ができないんだよ。主人は僕を殺そうとしたんだ。だから逃げて来たのさ。だけど、どうやって食っていったらいいんだろう?」「いいこと教えようか」とロバは言いました。「僕はブレーメンへ行って、そこで町の音楽家になるんだ。僕と一緒に行って君も音楽家の仕事をしないか。僕はリュートを弾く、きみはティンパニをたたくんだ。」 猟犬は賛成しました。それで二匹で進んで行きました。まもなく、猫に出会いました。猫は三日続きの雨のような顔をして道に座って
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ヘンゼルとグレーテル 大きな森のすぐ近くに、木こりが、おかみさんと子供たちと一緒に住んでいました。男の子はヘンゼルで女の子はグレーテルという名前でした。木こりにはほとんど食べるものがなく、その土地に大飢饉が見舞ったとき、もう毎日食べるパンさえ得られませんでした。木こりは夜ベッドに寝てこれを考え、心配で寝返りをうちながら、呻って、「おれたちはどうなるのかな?自分たちの分ももう何もないのにどうやって可哀そうな子供たちに食べさそうか?」と言いました。「あんた、こうしたらどう?」とおかみさんは答えました。「明日の朝早く子供たちを森の木の一番茂っているところへ連れていくの。そこで子供たちに火をたいてあげて、一人ずつもう一つパンをあげるでしょ。それから私たちは仕事に行って子供たちをおいておくの。あの子たちは家へ帰る道がわからないだろうから、縁を切れるわよ。」「まさか、おまえ、そんなことしないよ。子供たちを森においてくるなんて我慢ならない。けものがすぐ来て子供たちを引き裂いてしまうだろうよ。」「まあ、ばかね。それじゃあ私たち4人とも飢えて死んでしまうよ。あんたは私たちの棺桶の板にかんなをかけた方がいいよ。」それでおかみさ
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かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ 人の願いがまだ叶っていた昔、一人の王様が住んでいました。娘たちはみな美しく、とりわけ1番下の娘はとても美しかったので、沢山のものを見てきた太陽もその娘の顔に光を当てたときはいつも驚くばかりでした。王様のお城のすぐ近くに大きな暗い森があり、その森の古いライムの木の下に泉がありました。暖かい日にはその王様の子供は森にでかけ、涼しい泉のそばに座り、飽きてくると金の玉をとり出し、高く放り投げてつかまえました。この玉がお気に入りの遊び道具でした。 あるとき、金の玉は、王女さまがつかまえようとのばしていた小さな手に落ちてこないで、その向こうの地面に落ち、水の中に転がっていってしまいました。その玉は目で追いかけましたが、消えてしまいました。その泉はとても深いので底が見えませんでした。それで王女さまは泣き出し、だんだん大声で泣きましたがなぐさめられませんでした。こんなふうになげいていると、誰かが「お姫さま、どうして泣いてるの?石だってかわいそうに思うくらいに泣いてるもの。」と言いました。 その声の来たほうに顔を向けると、蛙が大きな醜い頭を水から伸ばしているのが見えました。「まあ、蛙さん、あなただったの
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白雪姫 昔、真冬に、雪が羽のようにチラチラと空から降っているとき、窓のところでお后が縫物をしていました。窓枠は黒檀でできており、縫物をして窓から雪を見ている間に、お后は針で指を刺してしまい、3滴の血が雪の上に落ちました。その赤は白い雪の上できれいに見え、お后は「雪のように白く、血のように赤く、窓枠の木のように黒い子供が欲しいわ…」と思いました。 その後まもなくお后は女の子を産みました。その子は雪のように白く、血のように赤く、髪は黒檀のように黒かったので、白雪姫と呼ばれました。子供が生まれたとき、お后は亡くなりました。 1年過ぎて王様は新しい妻を迎えました。このお后は美しい人でしたが、高慢で気位が高く、他のだれかが自分より美しいのは我慢できませんでした。お后は不思議な鏡を持っていて、その鏡の前に立ち、映っている自分を見て、「鏡よ、壁の鏡よ、この国で一番美しいのは誰?」と言いました。 鏡は答えました。「お后さま、あなたが一番美しい。」 するとお后は満足しました、鏡は真実を言うと知っていたからです。 しかし白雪姫が成長していって、だんだん美しくなり、7歳のときは昼と同じくらい美しく、お后自身より美し
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シンデレラ 金持ちの妻が病気になり、最期が近づいていると感じたので、たった一人の娘をベッドのそばに呼んで、「愛するわが子よ、良い子で神様を信じているんですよ。そうすれば神様がいつもお前を守ってくれます。私は天国からお前を見下ろしてお前の近くにいますからね。」と言いました。それで目を閉じ、亡くなりました。毎日娘は母親の墓に出かけては泣きましたが、信心深く善良なままでした。冬が来て雪が墓の上に白い覆いを広げ、春の太陽がまたその雪を溶かす頃には、男は別の妻をもらいました。 その女は家へ二人の娘を一緒に連れてきました。、娘たちは顔は美しくきれいでしたが、心は汚く真っ黒でした。それから可哀そうな継子の辛い時期が始まりました。「間抜けが私たちと一緒に居間に座っていていいの?パンを食べたい人は稼がなくちゃね。台所女中は外よ。」と二人は言いました。二人は娘からきれいな服をとりあげ、娘に古い灰色の上っ張りを着せ、木の靴をはかせました。「高慢な王女様をみてごらん。なんておめかししているの。」と叫んで笑い、娘を台所に連れて行きました。そこで娘は朝から晩まで、辛い仕事をしなければなりませんでした。日の出前に起き、水を汲み
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狼と七匹の子ヤギ 昔、子ヤギが七匹いる年とった山羊がいて、子供たちを愛する母親がもつありったけの愛で子供たちを愛していました。ある日お母さんヤギは森へ行き、食べ物をとってきたいと思いました。それで子供たちを呼んで言いました。「お前たち、私は森へ行かなくてはいけないの。狼に気をつけるのよ。もし狼が入ってきたら、お前たちみんなを、髪も皮もみんな食べてしまうわ。その悪党はよく変装するの。だけどお前たちはがらがら声と黒い足ですぐ狼だとわかるわ。」子供たちは言いました。「お母さん、僕たちよく気をつけるよ。心配しないで行っていいよ。」それでおかあさんヤギは安心して出かけて行きました。 まもなく誰かが玄関のドアをノックし、言いました。「子供たち、ドアを開けて。お母さんですよ。お前たちにいいものを持ってきましたよ。」しかし子供たちはがらがら声でそれは狼だと知りました。「戸を開けないよ。お前はお母さんじゃないよ。お母さんは柔らかく感じのいい声をしてるんだ。だけどお前の声はがらがらだ。お前は狼だ。」と子供たちは言いました。すると狼は立ち去りお店に行って大きな石灰のかたまりを買い、これを食べて声を柔らかくしました。それから戻
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死神の名付け親 貧しい男に12人の子供がいて、その子供たちをただ養うだけで夜も昼も働かなければなりませんでした。それで13人目の子供が生まれたとき、困ってどうしたらよいかわかりませんでしたが、広い大通りに走り出て、出会った最初の人に名付け親になってもらおうと決心しました。最初に出会ったのは神様で、もう男の心をいっぱいにしているものを知っていました。そして、男に、「貧しい人よ、お前を哀れに思う。私が子供の洗礼をしよう。そしてその子を引き受け、この世で幸せにしよう。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」と言いました。「私は神だ。」「じゃあ、お前さんには名付け親になってもらいたくないね。」と男は言いました。「お前さんは金持ちに与え、貧乏人は腹を減らしたままにしておくからね。」こう男は話しました。というのは神様が富と貧しさをどんなに賢く割り当てているか知らなかったからです。それで男は神様から向きを変えて、さらに進んで行きました。 すると悪魔がやってきて、「何をさがしてるんだね?おれを子供の名付け親にすれば、その子にたっぷり金をやり、また世界のあらゆる楽しさも与えてやるぜ。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」
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森のなかのばあさん 昔、可哀そうな女中が、働いているところの家族と大きな森を通って旅をしていました。それで森の真ん中にいたとき、強盗がやぶから出てきて、見つけた人々をみんな殺してしまいました。恐ろしくて馬車から飛び降り、木の陰に隠れたこの娘以外はみんな死んでしまいました。強盗たちが盗んだ品を持って行ってしまったあと、娘は出てきて、ひどい惨状を見ました。それで娘は激しく泣いて、「私のような貧しい娘はどうしたらいいの?どうやって森から出たらいいか知らないし、人間は誰も住んでいないわ。だから私はきっと飢えて死んでしまうわ。」と言いました。 娘は歩き回って道を捜しましたが、何も見つけられませんでした。夜になると、木の下に座り、身を神様にお任せして、そこに座って待ち、何が起こっても立ち去らないことにしました。しばらくそこに座っていると、くちばしに小さな金の鍵をくわえた白い鳩が飛んできました。鳩は娘の手に小さな鍵を置いて、「あそこの大きな木が見えますか?その中に小さな錠前があります。この小さな鍵で開けると、食べ物がたくさんありますよ。それでもうお腹がすくことはなくなります。」と言いました。 それで娘はその木に行き開け
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こわがることをおぼえるために旅にでた若者 ある父親に息子が二人いました。兄は賢くて気が利き、何でも出来ましたが、弟はまぬけで、何も習い覚えないし何もわかりませんでした。人々は弟を見ると、「父親に厄介をかけそうなやつがいる。」と言いました。何かしなければならないことがあると、それをやらされるのはいつも兄でしたが、しかし、時間が遅いとか夜に、道が墓地や他の陰気な場所を通るときに、父親が何かとってくるようにいいつけると、「えっ、嫌だよ、お父さん、そこには行かないよ。ぞっとするもの。」と答えました。兄は怖かったからです。また、夜に暖炉のそばで気味の悪い話がされると、聞いている人たちが時々「ええっ、ぞっとするよ。」と言いました。弟はすみに座って、他の人たちと一緒に聞き、どういうことを言ってるのかわかりませんでした。「いつも『ぞっとする、ぞっとする、ぞっとしない』と言ってるな。それも僕がわからない技にちがいない。」と弟は考えました。 さて、ある日、父親が弟に「よく聞けよ、そこのすみのやつ、お前は大きくなって力もでてきた。お前も自分で食っていく何かを習わなくちゃな。見てみろ、お前の兄はしっかり働いている。だが、お前はこれっぽちも稼がないんだ
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ラプンツェル 昔、長い間子供に恵まれない夫婦がいました。が、とうとう妻は神様が願いをかなえてくれる望みをもちました。この人たちの家の奥に素晴らしい庭がみえる小さな窓がありました。そこは最も美しい花とハーブでいっぱいでした。しかし、そこは高い塀で囲まれていて、魔女のものだったので誰もあえて入ろうとはしませんでした。その魔女は大きな力を持っていて、世界全体に恐れられていたのです。 ある日、妻は窓のそばに立ち、庭を見下ろしていました。するとそのとき、とても美しいカブラギキョウ(ラプンツェル)が植えられている花壇が目に入りました。それはとてもみずみずしい緑だったので欲しくなり、どうしてもいくらか食べてみたくてたまりませんでした。この欲求は日増しに強くなり、少しも手に入れることができないと知っているので、妻は とてもやつれて、顔色がわるく、惨めにみえました。それで夫は驚いて、「どうしたんだい?お前」と尋ねました。「ああ、家のうらの庭にあるカブラギキョウをたべられなくちゃ死んでしまうわ。」と妻は答えました。 男は、妻を愛していたので、(妻を死なせるより前に、どんな犠牲を払っても、自分でカブラギキョウをとってこよ
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12人兄弟 昔、一緒に幸せに暮らし、12人の子供がいる王様とお后様がいました。しかし子供たちはみんな男の子で、あるとき王様は「今度生まれてくる13人目の子供が女の子なら、その子の財産が大きくなって国がその子だけのものになるように、12人の男の子は殺そう。」と妻に言いました。王様は12個の棺まで作らせ、もうかんなくずも詰められて、それぞれに小さな死枕もありました。そしてその棺を錠をかけた部屋に持っていかせ、その鍵をお后に渡して、だれにもこのことを話さないようにと命じました。 しかし、母親は今や一日中座って嘆いていました。それでとうとう、いつも母親と一緒にいて、聖書からベンジャミンと名づけていた一番下の息子が、「お母様、どうしてそんなに悲しいの?」と訊きました。 「かわいい子よ、お前に言えないのだよ。」とお后は答えました。しかし、息子がしきりに聞くのでとうとうお后は行って部屋の鍵をはずし、かんなくずが詰められ準備ができている12個の棺を見せました。それから、「かわいいベンジャミンや、お前の父はこれらの棺をお前とお前の兄たちのために作らせたのだよ。それも、私が女の子を産んだら、お前たちはみんな殺されこの
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二人兄弟 昔、二人の兄弟がいて、一人は金持ちで、もう一人は貧乏でした。金持ちは金細工師で心の悪い人でした。貧しい方はほうき作りをして生計をたてていて、善良で心の清い人でした。この男には子供が二人いて、双子の兄弟で水の2滴のようにお互いにそっくりでした。二人の男の子は金持ちの家に出たり入ったりして、よく残り物をもらって食べていました。あるとき貧しい男がほうきの木をとりに森へ入って行こうとしていたとき、すっかり金色でこれまで出くわしたどの鳥より美しい鳥を見ました。小さな石を拾って投げて、うまく鳥に当たりましたが、1枚の金の羽根だけが落ちてきて、鳥は逃げてしまいました。男は羽根をとって兄のところへもっていきました。兄はそれを見て、「純金だ。」と言って、羽根と交換してたくさんのお金をくれました。次の日、男は樺の木に登り2,3本枝を切り取ろうとしたとき、同じ鳥が飛んで出てきました。それで男が探すと巣があり、中に1個の金でできた卵がありました。男は卵を持ち帰り、兄のところへ持っていきました。兄は今度も「純金だ。」と言って、その卵に相当する金額をくれました。最後に金細工師は「本当に、鳥そのものが欲しいなあ。」
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貧乏人と金持ち 昔、神様自身がまだこの地上の人間の間を歩きまわっていたとき、あるとき疲れて宿屋に着く前に暗くなりました。目の前の道にお互いに向き合っている二軒の家が立っていて、一軒は大きくきれいで、もう一軒は小さくみすぼらしい家でした。大きな家は金持ちのもので、小さな家は貧乏人のものでした。それで、神様は、「金持ちなら負担にならないだろう。あそこに泊めてもらおう」と思いました。それから金持ちは誰かが戸をたたいている音を聞き、窓を開けて、「何の用だ?」と見知らぬ人に尋ねました。神様は「一晩泊めて欲しいんだが。」と答えました。すると、金持ちはその旅人を頭からつま先までながめて、神様が粗末な服を着ていてあまりお金を持っていない人のように見えたので、首を振って「だめだ、泊めてあげられない。部屋にハーブや種がいっぱいあるんでね。戸をたたく人みんなを泊めていたら、そのうち自分が物乞いして歩くようになるよ。よそで泊ってくれ。」と言って、窓を閉め、そこに神様を立たせておきました。 それで、神様は金持ちに背を向け、道を渡って小さい家に行き、戸をたたきました。そうするとすぐ、貧しい男が小さな戸をあけて、旅人に入るようにい
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いばらの中のユダヤ人 昔、金持ちの男がいました。その男には真面目によく働いて仕えた下男がいました。この下男は毎朝一番先に起きて、夜一番あとに休んで寝ました。誰も引き受けたがらない難しい仕事があるときはいつも、この下男が一番先にとりかかりました。それだけでなく、決して文句を言わないで何でも満足し、いつもほがらかでした。 一年の務めが終わったとき主人は下男に手当てを出しませんでした。というのは(これが一番賢いやり方だわい。金を節約できるし、あいつは出ていかないで黙って務めるだろうからな)と思ったのです。下男は何も言わないで一年目と同じように二年目も仕事をしました。それで二年目の終りにも手当てを受け取りませんでしたが、楽しそうにしてやはりとどまって務め続けました。 三年目も過ぎたとき、主人は考えて、ポケットに手をつっこみましたが、何もとりだしませんでした。するととうとう下男が、「だんなさん、私は三年間真面目に務めました、お願いですから、その分のお手当をください。私は出ていってもう少し世間を見てまわりたいのです。」と言いました。 「いいとも、そうだな」と年とったけちんぼは答えました。「お前はよく務めてくれたよ、だか
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三人兄弟 昔、息子が三人いて、自分の住んでいる家の他に何もない男がいました。息子たちはそれぞれ父親が亡くなったあと、この家を継ぎたいと思っていました。しかし、父親は息子たちがみんな同じように可愛いかったので、どうしたらよいかわかりませんでした。また、家は先祖から受け継いだので、売りたくありませんでした。そうでなければ売ったお金を息子たちで分ければよかったのです。とうとうある計画を思いつき、息子たちに言いました。「世の中に出て行って、自分を試し、仕事を覚えなさい。そしてお前たちみんなが戻ってきて、一番名人になった者にこの家をやろう。」 息子たちはこれに十分満足しました。それで、長男は鍛冶屋に、二男は床屋に、三男は剣術名人になろうと思いました。三人は、また家に戻る時を決め、めいめい自分の道を進みました。 たまたま三人とも腕の立つ親方を見つけ、技をよく教えてもらいました。鍛冶屋は王様の馬に蹄鉄を打つまでになり、「家はおれのものだ、間違いない。」と思いました。床屋は名士の顔だけ剃るようになり、この人もまた、もう家を自分のものとみなしていました。剣術名人は、たくさん痛い目にあいましたが、歯を食いしばってが
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かぶ 昔、二人の兄弟がいて、二人とも兵士として務めましたが、一人は金持ちで、もう一人は貧乏でした。すると貧しい男は、貧乏から抜け出そうと思い、兵士の服を脱ぎ捨て、お百姓になりました。男は少しばかりの土地を掘り起こし、かぶの種を播きました。種は芽を出し、一つのかぶが大きく丈夫に育って、みるみるうちにだんだん大きくなっていき、とどまる様子がありませんでした。それでかぶの王女と呼んでもよいくらいでした。というのは後にも先にもそんなに大きいかぶは見られないだろうからです。とうとうかぶは巨大になり、それだけで荷車いっぱいになったので、荷車を引くのに牛が二頭必要になりました。お百姓はかぶをどうすればよいか、そのかぶが自分にとって幸か不幸か、まるきり見当がつきませんでした。 おしまいに、(売ったら、大した金にもなるまい、自分で食べたとしても、まあ、小さなかぶだって味は同じだ、王様のところへ持って行って差し上げた方がよさそうだ)と考えました。そこで荷車にかぶを積み、二頭の牛に引かせて、王様のところへ持って行って贈り物にしました。「何とも珍しいものだ」と王様は言いました。「不思議な物はたくさん目にするが、こん
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聖母マリアの子供 大きな森のすぐ近くに木こりの夫婦が住んでいました。子供は一人だけで、3歳の女の子でした。しかし、夫婦はとても貧しかったのでもう毎日食べるパンがなくなり、どうしたら子供に食べ物を手に入れられるかわかりませんでした。ある朝、木こりは悲しみにくれながら森の仕事にでかけました。そして木を切っていると、突然、頭に輝く星の冠をつけている背の高い美しい女の人が前に立ち、言いました。「私は聖母マリア、イエス・キリストの母です。お前は貧しく困っていますね。子供を私のところにつかわしなさい。その子を連れて行き、母となり、世話をします。」木こりはその言葉に従い、子供を連れていき、聖母マリアに渡しました。そして聖母は子どもを天国へと連れていきました。天国で子供は順調に生活し、砂糖菓子を食べ、甘いミルクを飲みました。また服は金でできており、天使たちと遊びました。 娘が14歳になったある日、聖母マリアは呼んでいいました。「子供よ、私は長い旅にでかけます。だからお前が天国の13の扉の鍵を管理するのです。このうちの12の扉は開けて中にある栄光を見てもいいです。しかし13番目は、この小さな鍵はその扉のものですが、開ける
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忠実なジョン 昔、年老いた王様がいて、病気で「私は死の床に寝ているにちがいない」と考え、「フェイスフルジョンを呼べ。」と言いました。フェイスフルジョンは、生涯ずっと王様に誠実だったので、そのためそう呼ばれたのですが、お気に入りの家来でした。それで、ベッドのそばにくると王様は「最も忠実なジョンよ、私の終わりが近づいているようだ。息子を除いては何も心配はない。あれはまだ弱冠者で、必ずしも判断がつくわけではない。お前があれに知るべきことを全部教え、養い親になると約束してくれねば、わしは安らかに目を閉じることが出来ぬ。」と言いました。それでフェイスフルジョンは「王子様を見捨てません。命にかけても忠実にお仕えします。」と答えました。これを聞いて王様は「これで心安らかに死ねる。」と言い、「わしが死んだ後、息子に城じゅうを見せよ。全ての部屋、廊下、貯蔵庫、その中の宝全てをな。だが、長い通路の一番奥の部屋を見せてはならぬ。そこには黄金の城の王女の絵があるが、もしその絵を見れば、息子は激しい恋におち、失神して倒れ、彼女のために大きな危険を冒すだろう。ゆえに、お前は息子をそれから守らねばならぬ。」と付け加えました。そし
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手なしむすめ 昔、ある粉屋が住んでいましたが、だんだん貧しくなっていき、とうとう風車小屋とその後ろにある大きなりんごの木以外何もなくなりました。あるとき、森へ木を取りに行くと、会ったことのない老人が近づいてきました。「どうして苦しんで木を切るんだい?お前を金持ちにしてやろう、風車小屋の後ろに立っているものをくれると約束してくれたらね。」と言いました。 粉屋は「それっていったい何だろう?ーああ、りんごの木か」と思い、「いいよ」と答え、その見知らぬ人に約束を書いて渡しました。しかし、その男はニヤニヤしながら、「3年経ったら、自分のものをとりにくるから」と言うと行ってしまいました。粉屋がうちに帰ると、妻が出迎えて「ねえ、あなた、このお金は急にどこから家の中に入ったのかしら?あっという間にどの箱も引き出しもいっぱいなのよ。誰も運んでこなかったし。どうしてこうなったかわからないわ。」と言いました。「森で会った知らない人が、大きな財産をくれると約束してくれたんだよ。おれは、お返しに、風車小屋の後ろに立っているものをあげると約束したんだよ。-大きなりんごの木をあげても全然構わないもんな。」と粉屋は言いました。妻は
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ねずの木の話 今はもうずいぶん昔、二千年は前ですが、金持ちの男がいました。妻は美しく信心深い人で、二人は心から愛し合っていました。しかし、二人には、とても欲しいと望んだけれども、子供ができませんでした。妻は昼も夜も子供をお授けくださいとお祈りしましたがそれでもだめでした。二人の家の前に中庭があり、そこには一本のビャクシンの木がありました。冬のある日、妻はその木の下に立ち、リンゴの皮をむいていましたが、そうしているうちに指を切り、血が雪に落ちました。「ああ」と妻は言い、すぐため息をついて、目の前の血を見て、とても惨めに思いました。「ああ、血のように赤く、雪のように白い子供がいたらいいのに」こうして話している間にとてもしあわせな気分になり、本当に子供が生まれるような気がし、それから家に入りました。 一か月経つと雪が消え、二か月すると一面緑になり、三か月経つと花が咲き、四か月すると森の木々の緑が濃くなり緑の枝が密にからみあい、鳥たちがさえずりその声が森にこだまし、花が木から落ちました。五カ月経って、妻はビャクシンの木の下に立ちました。その木はとても甘い香りがして妻の心が躍りました。妻は膝まづき、喜びに我を
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