奇妙な音楽家

昔、不思議な音楽家がいました。この音楽家が、まったく一人で森を通っていろいろなことを考えていましたが、何も考えることが残ってなくなった時、(この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。いい連れを見つけよう。)と思いました。それから、背中からバイオリンをとり、ひくと、音が木々の間にこだましました。まもなく一匹の狼が茂みから駆けてきました。「ああ、狼が来るよ。狼は欲しくないな。」と音楽家は言いましたが、狼は近づいて来て、「ああ、音楽家さん、なんてきれいにひくんでしょう。私もそれを習いたいです。」と言いました。「すぐに習えるよ。」音楽家は言いました。「私がいいつける何でもやりさえすればいいんだ。」「まあ、音楽家さん、生徒が先生に従うように、私はあなたに従います。」と狼は言いました。音楽家は狼についてくるように言いました。しばらく道を進んだ時、中にうろがあり真ん中が割れている古い樫の木のところに来ました。「見ろよ、バイオリンを習うなら、前足をこの割れ目に入れろ。」と音楽家は言いました。狼は従いました。しかし、音楽家は素早く石を拾い、ひとうちであっというまに二本の前足をくさびのように押し込んだので、狼は囚われてそこにいるしかなくなりました。「私が戻るまでそこで待ってろ。」と音楽家は言って、道を進みました。 しばらくして、音楽家は、「この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。別の連れをこっちへ呼ぼう。」と独り言を言って、バイオリンをとり、また森の中でひきました。まもなく狐が木の間から忍び足でやってきました。「ああ、狐が来るよ。狐は欲しくないな。」と音楽家は言いました。 狐は近づいて来て、「ああ、音楽家さん、なんてきれいにひくんでしょう。私もそれを習いたいです。」と言いました。「すぐに習えるよ。」音楽家は言いました。「私がいいつける何でもやりさえすればいいんだ。」「まあ、音楽家さん、生徒が先生に従うように、私はあなたに従います。」と狐は言いました。「ついてこい」と音楽家は言いました。しばらく道を進むと、両側にやぶが高く伸びている小道に来ました。そこで音楽家は立ち止まり、一方の側から若いはしばみの木のやぶを地面まで曲げ、その木の端に足をのせました。それから反対側からも若い木を折り曲げて、「さあ、狐くん、何か習う気なら、左の前足を出してごらん。」と音楽家は言いました。狐が従うと、音楽家は足
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グリム兄弟のほとんどテイルズ

かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ 人の願いがまだ叶っていた昔、一人の王様が住んでいました。娘たちはみな美しく、とりわけ1番下の娘はとても美しかったので、沢山のものを見てきた太陽もその娘の顔に光を当てたときはいつも驚くばかりでした。王様のお城のすぐ近くに大きな暗い森があり、その森の古いライムの木の下に泉がありました。暖かい日にはその王様の子供は森にでかけ、涼しい泉のそばに座り、飽きてくると金の玉をとり出し、高く放り投げてつかまえました。この玉がお気に入りの遊び道具でした。 あるとき、金の玉は、王女さまがつかまえようとのばしていた小さな手に落ちてこないで、その向こうの地面に落ち、水の中に転がっていってしまいました。その玉は目で追いかけましたが、消えてしまいました。その泉はとても深いので底が見えませんでした。それで王女さまは泣き出し、だんだん大声で泣きましたがなぐさめられませんでした。こんなふうになげいていると、誰かが「お姫さま、どうして泣いてるの?石だってかわいそうに思うくらいに泣いてるもの。」と言いました。 その声の来たほうに顔を向けると、蛙が大きな醜い頭を水から伸ばしているのが見えました。「まあ、蛙さん、あなただったの
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ヘンゼルとグレーテル 大きな森のすぐ近くに、木こりが、おかみさんと子供たちと一緒に住んでいました。男の子はヘンゼルで女の子はグレーテルという名前でした。木こりにはほとんど食べるものがなく、その土地に大飢饉が見舞ったとき、もう毎日食べるパンさえ得られませんでした。木こりは夜ベッドに寝てこれを考え、心配で寝返りをうちながら、呻って、「おれたちはどうなるのかな?自分たちの分ももう何もないのにどうやって可哀そうな子供たちに食べさそうか?」と言いました。「あんた、こうしたらどう?」とおかみさんは答えました。「明日の朝早く子供たちを森の木の一番茂っているところへ連れていくの。そこで子供たちに火をたいてあげて、一人ずつもう一つパンをあげるでしょ。それから私たちは仕事に行って子供たちをおいておくの。あの子たちは家へ帰る道がわからないだろうから、縁を切れるわよ。」「まさか、おまえ、そんなことしないよ。子供たちを森においてくるなんて我慢ならない。けものがすぐ来て子供たちを引き裂いてしまうだろうよ。」「まあ、ばかね。それじゃあ私たち4人とも飢えて死んでしまうよ。あんたは私たちの棺桶の板にかんなをかけた方がいいよ。」それでおかみさ
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ブレーメンの音楽隊 ある男がロバを飼っていました。このロバは何年も疲れ知らずに麦の袋を風車小屋まで運びましたが、力がなくなってきて、だんだん仕事に適さなくなってきました。それで主人はえさをやらないのが一番いいと考え始めました。しかし、ロバは風向きが悪いとわかって逃げ、ブレーメンへ行く道を出発しました。そこできっと町の音楽家になれるぞ、とロバは考えました。 しばらく歩くと、猟犬が道に寝て、疲れるまで走ったようにハアハアあえいでいるのに気がつきました。「犬くん、どうしてそんなにあえいでいるんだね?」とロバは尋ねました。「ああ」と猟犬は答えました。「僕は年寄りで、毎日弱くなってきて、もう猟ができないんだよ。主人は僕を殺そうとしたんだ。だから逃げて来たのさ。だけど、どうやって食っていったらいいんだろう?」「いいこと教えようか」とロバは言いました。「僕はブレーメンへ行って、そこで町の音楽家になるんだ。僕と一緒に行って君も音楽家の仕事をしないか。僕はリュートを弾く、きみはティンパニをたたくんだ。」 猟犬は賛成しました。それで二匹で進んで行きました。まもなく、猫に出会いました。猫は三日続きの雨のような顔をして道に座って
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ラプンツェル 昔、長い間子供に恵まれない夫婦がいました。が、とうとう妻は神様が願いをかなえてくれる望みをもちました。この人たちの家の奥に素晴らしい庭がみえる小さな窓がありました。そこは最も美しい花とハーブでいっぱいでした。しかし、そこは高い塀で囲まれていて、魔女のものだったので誰もあえて入ろうとはしませんでした。その魔女は大きな力を持っていて、世界全体に恐れられていたのです。 ある日、妻は窓のそばに立ち、庭を見下ろしていました。するとそのとき、とても美しいカブラギキョウ(ラプンツェル)が植えられている花壇が目に入りました。それはとてもみずみずしい緑だったので欲しくなり、どうしてもいくらか食べてみたくてたまりませんでした。この欲求は日増しに強くなり、少しも手に入れることができないと知っているので、妻は とてもやつれて、顔色がわるく、惨めにみえました。それで夫は驚いて、「どうしたんだい?お前」と尋ねました。「ああ、家のうらの庭にあるカブラギキョウをたべられなくちゃ死んでしまうわ。」と妻は答えました。 男は、妻を愛していたので、(妻を死なせるより前に、どんな犠牲を払っても、自分でカブラギキョウをとってこよ
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本当の花嫁 昔、娘がいました。若くて美しかったのですが、とても小さい時に母親が亡くなり、継母がひどくいじめるので娘の暮らしは惨めなものでした。継母が何かやるように言いつけるときはいつも、娘は根気よく取り組んで何でもできる限りのことをしました。それでも娘は意地悪な継母の心をつかむことはできませんでした。継母は決して満足しないし、これでいいということは絶対ありませんでした。娘が一生懸命働けば働くほど、さらに多くの仕事が言いつけられ、継母はこの娘に、いかにもっと重荷を背負わせて、いかにもっと暮らしを惨めにさせるかを考えるだけでした。 ある日、継母は、「ここに12ポンドの羽根があるから、羽柄からつみ取るんだよ。今日の日暮れまでに終わって無かったら、たっぷりぶってやるからね。一日中ぶらぶらできると思ってるのかい?」と言いました。可哀そうに娘は座って仕事にとりかかりましたが、涙が頬を流れ落ちました。というのは一日でその仕事を終えるのは全く無理だとはっきりみてとれたからです。前に小さな羽根の山をおいて、悲しみのあまりため息をついたり手を打ちあわせたりするといつも、羽根は飛び散ってしまい、また拾い集めて仕事を新た
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シンデレラ 金持ちの妻が病気になり、最期が近づいていると感じたので、たった一人の娘をベッドのそばに呼んで、「愛するわが子よ、良い子で神様を信じているんですよ。そうすれば神様がいつもお前を守ってくれます。私は天国からお前を見下ろしてお前の近くにいますからね。」と言いました。それで目を閉じ、亡くなりました。毎日娘は母親の墓に出かけては泣きましたが、信心深く善良なままでした。冬が来て雪が墓の上に白い覆いを広げ、春の太陽がまたその雪を溶かす頃には、男は別の妻をもらいました。 その女は家へ二人の娘を一緒に連れてきました。、娘たちは顔は美しくきれいでしたが、心は汚く真っ黒でした。それから可哀そうな継子の辛い時期が始まりました。「間抜けが私たちと一緒に居間に座っていていいの?パンを食べたい人は稼がなくちゃね。台所女中は外よ。」と二人は言いました。二人は娘からきれいな服をとりあげ、娘に古い灰色の上っ張りを着せ、木の靴をはかせました。「高慢な王女様をみてごらん。なんておめかししているの。」と叫んで笑い、娘を台所に連れて行きました。そこで娘は朝から晩まで、辛い仕事をしなければなりませんでした。日の出前に起き、水を汲み
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いばら姫 昔、子供ができなくて、毎日「ああ、子供がいればなあ」と言っていた王様とお后さまがいました。しかしあるときお妃さまが水浴びしていると、蛙が水から陸にあがり、「あなたの望みはかなえられますよ。1年経たないうちに娘が産まれます。」と言いました。 蛙の言ったことが本当になり、お后さまはとても可愛い女の子を産みました。王様は喜びを抑えられなくて、大宴会を開くことを命じました。そして親戚や友達や知人だけでなく、やさしく子供によい運をつけるようにと賢い女の人たちも招きました。この王国には13人の賢い女の人たちがいましたが、食事を出す金のお皿が12人分しかなかったので一人は家に残さなければなりませんでした。 宴会はとても豪華に開かれ、終わりになったとき、賢い女たちが赤ちゃんに魔法の贈り物を授けました。一人は美徳を、別の人は美しさを、3人目は富を、等々、人がこの世で望むあらゆるものを授けていきました。 11人の賢い女が約束を言い終えたとき、突然13人目の賢い女が入ってきました。招待されなかったので仕返ししようと思ったのです。挨拶もしないで、誰も見もしないで、大声で「王様の娘は15歳のとき紡錘に刺され、倒
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小人の靴屋 第1話 靴屋が自分のせいではないのですが、とても貧しくなってとうとう一足の靴分の皮以外何も残らなくなりました。それで夜に、次の朝作りはじめるようと思った靴を切り取りました。気がとがめていないのでベッドに静かに横になり、神様にお祈りし、眠りました。朝に、お祈りをした後仕事を始めようとしたら、仕事台のうえに2つの靴が出来上がってあったので、ビックリし、どう考えたらよいのかわかりませんでした。靴を手にとってもっとよく見てみたら、1つも悪い縫い目がなく、とてもきれいに作られているので、腕試しをしようと作られたかのようでした。まもなくお客が入ってきて、その靴をとても気に入り、普通よりもっと多く支払いました。それで、そのお金で靴屋は2足分の皮を買うことができました。その皮を夜に切り抜いておき、朝に新鮮な気分で仕事に取りかかろうとしましたが、そうする必要がありませんでした。というのは起きたとき、靴はもう作られていて、買い手たちは文句のつけようがない出来なので、4足分の靴の皮を買うのに十分なお金を払いました。再び次の朝も靴ができていて、それがずっと続きました。靴屋が夜に切り取ったものが朝までに仕上がっ
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がちょう番の女 昔、何年も前に夫を亡くした年とったお后がいました。お后には美しい娘がいて、大きくなるとはるか遠くに住む王子と婚約しました。王女が結婚する時期が来て、遠い国へ旅立たねばなりませんでした。年とったお后は、娘のために多くの金銀の豪華な器、これもまた金銀の装飾品、杯や宝石など王家の嫁入りにふさわしいあらゆる品々を荷造りしました。というのはお后は子供を心から愛していたからです。 お后は侍女もつけてやりました。侍女は王女と一緒に馬ででかけ、花婿に王女を引き渡すことになっていました。旅するための馬がそれぞれありましたが、王様の娘の馬はファラダといい、話すことができました。それで別れの時が来て、年とった母親は寝室に入り、小刀をとって指を切り、血を出しました。それから白いハンカチをもって、そこに三滴の血を落とし、それを娘に渡して、「娘よ、これを大事に持っているのですよ。途中で役にたつでしょうから。」と言いました。 そこで、二人はお互いに悲しい別れを告げ、王女は胸にハンカチをしまい、馬に乗って、花婿のところへでかけました。しばらく行ったあと、王女はやけつくように喉が渇き、侍女に、「馬を降りて、お前がもって
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死神の名付け親 貧しい男に12人の子供がいて、その子供たちをただ養うだけで夜も昼も働かなければなりませんでした。それで13人目の子供が生まれたとき、困ってどうしたらよいかわかりませんでしたが、広い大通りに走り出て、出会った最初の人に名付け親になってもらおうと決心しました。最初に出会ったのは神様で、もう男の心をいっぱいにしているものを知っていました。そして、男に、「貧しい人よ、お前を哀れに思う。私が子供の洗礼をしよう。そしてその子を引き受け、この世で幸せにしよう。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」と言いました。「私は神だ。」「じゃあ、お前さんには名付け親になってもらいたくないね。」と男は言いました。「お前さんは金持ちに与え、貧乏人は腹を減らしたままにしておくからね。」こう男は話しました。というのは神様が富と貧しさをどんなに賢く割り当てているか知らなかったからです。それで男は神様から向きを変えて、さらに進んで行きました。 すると悪魔がやってきて、「何をさがしてるんだね?おれを子供の名付け親にすれば、その子にたっぷり金をやり、また世界のあらゆる楽しさも与えてやるぜ。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」
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狼と七匹の子ヤギ 昔、子ヤギが七匹いる年とった山羊がいて、子供たちを愛する母親がもつありったけの愛で子供たちを愛していました。ある日お母さんヤギは森へ行き、食べ物をとってきたいと思いました。それで子供たちを呼んで言いました。「お前たち、私は森へ行かなくてはいけないの。狼に気をつけるのよ。もし狼が入ってきたら、お前たちみんなを、髪も皮もみんな食べてしまうわ。その悪党はよく変装するの。だけどお前たちはがらがら声と黒い足ですぐ狼だとわかるわ。」子供たちは言いました。「お母さん、僕たちよく気をつけるよ。心配しないで行っていいよ。」それでおかあさんヤギは安心して出かけて行きました。 まもなく誰かが玄関のドアをノックし、言いました。「子供たち、ドアを開けて。お母さんですよ。お前たちにいいものを持ってきましたよ。」しかし子供たちはがらがら声でそれは狼だと知りました。「戸を開けないよ。お前はお母さんじゃないよ。お母さんは柔らかく感じのいい声をしてるんだ。だけどお前の声はがらがらだ。お前は狼だ。」と子供たちは言いました。すると狼は立ち去りお店に行って大きな石灰のかたまりを買い、これを食べて声を柔らかくしました。それから戻
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白雪姫 昔、真冬に、雪が羽のようにチラチラと空から降っているとき、窓のところでお后が縫物をしていました。窓枠は黒檀でできており、縫物をして窓から雪を見ている間に、お后は針で指を刺してしまい、3滴の血が雪の上に落ちました。その赤は白い雪の上できれいに見え、お后は「雪のように白く、血のように赤く、窓枠の木のように黒い子供が欲しいわ…」と思いました。 その後まもなくお后は女の子を産みました。その子は雪のように白く、血のように赤く、髪は黒檀のように黒かったので、白雪姫と呼ばれました。子供が生まれたとき、お后は亡くなりました。 1年過ぎて王様は新しい妻を迎えました。このお后は美しい人でしたが、高慢で気位が高く、他のだれかが自分より美しいのは我慢できませんでした。お后は不思議な鏡を持っていて、その鏡の前に立ち、映っている自分を見て、「鏡よ、壁の鏡よ、この国で一番美しいのは誰?」と言いました。 鏡は答えました。「お后さま、あなたが一番美しい。」 するとお后は満足しました、鏡は真実を言うと知っていたからです。 しかし白雪姫が成長していって、だんだん美しくなり、7歳のときは昼と同じくらい美しく、お后自身より美し
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猫とねずみとお友だち ある猫がはつかねずみと知り合いになり、猫がねずみに、あなたをとても好きだし友達になりたいんだ、としきりに言ったので、とうとうねずみは猫と一緒に暮らし家事をすることを承知しました。「だけど、冬に備えなくてはいけないね。そうしないとひもじい思いをするよ。」と猫は言いました。「それでネズミくん、君はあちこち出歩けないよ。そうしないといつか罠にかかるだろうからね。」 親切な忠告に従い、一壺の脂肪を買いましたが、その壺をどこに置いたらいいかわかりませんでした。だいぶ考えた後、とうとう猫が、「それをしまっておくのに教会よりもよい場所はわからないね。だってそこからは誰もものをとっていかないからな。祭壇の下に壺を置いて、本当に困るまでそれに触らないでおこうよ。」と言いました。 それで壺は安全な場所に置かれましたが、まもなく、猫はそれがとても欲しくなり、ねずみに言いました。「ネズミくん、話したいことがあるんだ。いとこが息子を産んで、僕に名付け親になってもらいたいと頼んでるんだよ。その子は白に茶色のぶちで、洗礼のとき洗礼盤の上で抱くことになっているんだ。今日は出かけさせてくれ。それで君だけでうちのことをや
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雪白と薔薇紅 昔、人里離れた小さい家に貧しい未亡人が住んでいました。家の前に庭があり、そこには2本のばらの木がありました。そのばらの木の一本には白い花が、もう一本には赤い花が咲きました。この人には二本のばらの木のような子供が二人いて、一人は雪白、もう一人はばら紅と呼ばれました。二人は善良で幸せで、よく動き、明るい子供で、世界を探してもこんな二人はいないと思われました。ただ雪白の方がばら紅より静かでおとなしいといえました。ばら紅は花を捜したりチョウをつかまえたりして草原や野原を走り回る方が好きでしたが、雪白は母親と一緒に家にいて、家事を手伝ったり、何もすることがないときは母に本を読んであげたりしました。二人の子供たちはお互いが大好きだったので、一緒に外に出るときはいつもお互いの手を握っていました。そして雪白は「私たちはお互いを離れないわ」と言い、ばら紅は「生きてる限りずっとね。」と答え、母親は、「一人が持ってるものをもう一人と分かち合うのよ」と付け加えるのでした。 二人はよく二人だけで森を走り回り、赤イチゴを摘みました。二人に危害を加える獣はいなくて、信用して二人に近づいてきました。子ウサギは二人の手
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星の銀貨 昔、父も母も亡くなった小さな女の子がいました。とても貧しかったのでもう住む部屋も、眠るベッドもなくなり、とうとう着ている服と、手に持っている情け深い人がくれた少しのパンだけになりました。それでも、この子は善良で信心深い子でした。世間全般からこのように見捨てられたので、神様を信じて野に出ていきました。すると、貧しい男に出会い、その人が「ああ、何か食べるものをください。とてもおなかがすいてるのです。」というので、パンを全部手渡し、「神様があなたを祝福してくださいますように。」と言って先へ進みました。すると、子供が来て、呻いて、「頭がとても冷たいのです。何か頭をおおうものをください。」と言いました。それで女の子は頭巾を脱いでその子にあげました。さらに少し進むと、上着を着ていなくて寒さで凍えている別の子供に出会いました。それで、女の子は自分の上着をあげました。また少し行くと、ドレスを欲しがる人がいて、女の子はそれもあげました。とうとう森に入り、もう暗くなってしまっていました。そしてまた別の子供がきて、シャツを欲しがりました。それで善良な小さい女の子は心の中で、「暗い夜で、誰にも見えないわ。シャ
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聖母マリアの子供 大きな森のすぐ近くに木こりの夫婦が住んでいました。子供は一人だけで、3歳の女の子でした。しかし、夫婦はとても貧しかったのでもう毎日食べるパンがなくなり、どうしたら子供に食べ物を手に入れられるかわかりませんでした。ある朝、木こりは悲しみにくれながら森の仕事にでかけました。そして木を切っていると、突然、頭に輝く星の冠をつけている背の高い美しい女の人が前に立ち、言いました。「私は聖母マリア、イエス・キリストの母です。お前は貧しく困っていますね。子供を私のところにつかわしなさい。その子を連れて行き、母となり、世話をします。」木こりはその言葉に従い、子供を連れていき、聖母マリアに渡しました。そして聖母は子どもを天国へと連れていきました。天国で子供は順調に生活し、砂糖菓子を食べ、甘いミルクを飲みました。また服は金でできており、天使たちと遊びました。 娘が14歳になったある日、聖母マリアは呼んでいいました。「子供よ、私は長い旅にでかけます。だからお前が天国の13の扉の鍵を管理するのです。このうちの12の扉は開けて中にある栄光を見てもいいです。しかし13番目は、この小さな鍵はその扉のものですが、開ける
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ねずの木の話 今はもうずいぶん昔、二千年は前ですが、金持ちの男がいました。妻は美しく信心深い人で、二人は心から愛し合っていました。しかし、二人には、とても欲しいと望んだけれども、子供ができませんでした。妻は昼も夜も子供をお授けくださいとお祈りしましたがそれでもだめでした。二人の家の前に中庭があり、そこには一本のビャクシンの木がありました。冬のある日、妻はその木の下に立ち、リンゴの皮をむいていましたが、そうしているうちに指を切り、血が雪に落ちました。「ああ」と妻は言い、すぐため息をついて、目の前の血を見て、とても惨めに思いました。「ああ、血のように赤く、雪のように白い子供がいたらいいのに」こうして話している間にとてもしあわせな気分になり、本当に子供が生まれるような気がし、それから家に入りました。 一か月経つと雪が消え、二か月すると一面緑になり、三か月経つと花が咲き、四か月すると森の木々の緑が濃くなり緑の枝が密にからみあい、鳥たちがさえずりその声が森にこだまし、花が木から落ちました。五カ月経って、妻はビャクシンの木の下に立ちました。その木はとても甘い香りがして妻の心が躍りました。妻は膝まづき、喜びに我を
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兄と妹 兄は妹の手をとり、「お母さんが亡くなってから僕たちは全然幸せじゃないね。義理のお母さんは毎日僕たちをぶって、近くへ寄ると足で蹴ったり。ごはんは残り物のパンくずだし。テーブルの下にいる犬の方がましな暮らしをしてるよ。だって、あの人は選んだご馳走をよく投げてやってるもの。ああ、お母さんが生きててくれればなあ。さあ、僕たちは広い世の中に出ていこう。」と言いました。 二人は草地や野原や岩地を越えて丸一日歩きました。そして雨が降ると妹は「天と私たちの心が一緒に泣いてる。」と言いました。夜になって大きな森に着きました。悲しみと空腹と長歩きのためとても疲れていたので木のほらに横になり、眠りました。次の日、太陽はすでに空高くのぼっていて、木の中を暑く照らしていました。それで兄は「妹よ、僕はのどがかわいた。小さな小川のことを知ってれば、行って水を飲むのだけど。水の流れる音が聞こえるような気がする。」と言いました。兄は立ち上がって妹の手をとりました。それから二人で小川を探しに出発しました。しかし意地が悪い継母は魔女でした。そして二人の子供たちが出ていく様子を見ていて、密かに、魔女が忍び寄るやり方で、あとを
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ホレのおばさん 昔、娘が二人いる後家が住んでいて、娘の1人はきれいで勤勉でしたが、もう1人は醜く怠け者でした。しかし、醜く怠け者の方を、自分の本当の娘なので、はるかにかわいがりました。もう1人は、継子なので、仕事を全部させられ、その家のシンデレラになるしかありませんでした。毎日、可哀そうな娘は道の井戸のそばに座り、指が出血するまで糸を紡ぎに紡いでいました。ある日のことでした。杼(ひ)に血がついたので、そのしみを洗い流そうと井戸の水に浸しました。ところが、手からすべって井戸の底に落ちてしまいました。泣き出して継母のところへ走り、不幸な出来事のことを話しました。 しかし、継母は厳しく叱り、「自分で杼を落としたのだから、自分でとりださなくちゃだめ。」と無慈悲に言うのでした。それで娘は井戸に戻りましたがどうしたらよいかわかりません。悲しい心で、杼を取りに井戸に飛び込み、気を失いました。そして、目を覚まし意識を取り戻すと、太陽が輝き何千もの花が生えているきれいな草原の中にいました。この草原を通っていって、とうとうパンがいっぱい入っているパン焼き釜に着きました。パンは「出して!ああ、出してよ!出して!こげちゃうよ
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12人兄弟 昔、一緒に幸せに暮らし、12人の子供がいる王様とお后様がいました。しかし子供たちはみんな男の子で、あるとき王様は「今度生まれてくる13人目の子供が女の子なら、その子の財産が大きくなって国がその子だけのものになるように、12人の男の子は殺そう。」と妻に言いました。王様は12個の棺まで作らせ、もうかんなくずも詰められて、それぞれに小さな死枕もありました。そしてその棺を錠をかけた部屋に持っていかせ、その鍵をお后に渡して、だれにもこのことを話さないようにと命じました。 しかし、母親は今や一日中座って嘆いていました。それでとうとう、いつも母親と一緒にいて、聖書からベンジャミンと名づけていた一番下の息子が、「お母様、どうしてそんなに悲しいの?」と訊きました。 「かわいい子よ、お前に言えないのだよ。」とお后は答えました。しかし、息子がしきりに聞くのでとうとうお后は行って部屋の鍵をはずし、かんなくずが詰められ準備ができている12個の棺を見せました。それから、「かわいいベンジャミンや、お前の父はこれらの棺をお前とお前の兄たちのために作らせたのだよ。それも、私が女の子を産んだら、お前たちはみんな殺されこの
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三つの言葉 昔、年老いた伯爵がスイスに住んでいました。息子が一人いましたが間抜けで何も覚えられませんでした。それで父親は「よく聞け、どんなに努力してもわしはお前の頭の中に何もいれられない。お前は今から行かなくてはならない、名高い先生の世話にあずける。その先生がお前に何ができるか見よう。若者は見知らぬ町に送られ、丸1年その先生と一緒にいました。この期間の終わりにまた帰宅したので、父親は「さあ、息子よ、何を覚えた?」と聞きました。「お父さん、犬が吠えるとき何というか覚えました。 「主よ、哀れみたまえ!」と父親は叫びました。「お前が覚えたのはそれだけか?お前を別の町の別の先生のところへ送ろう。」若者はそこへ連れて行かれました。そしてこの先生とも同じように1年過ごしました。帰宅すると、父親は再び「息子よ、何を覚えた?」と聞きました。「おとうさん、小鳥がなんというか学びました。」と若者は答えました。すると父親は怒り狂って「このふつつか者め!お前は貴重な時間を使い何も覚えなかった。わしの前にでてくるのが恥ずかしいと思わんか?お前を3番目の先生に送ろう。しかし今度もまた、何も覚えなければわしはもうお前の父ではな
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