いばら姫





いばら姫 メルヘン

メルヘンのグリム兄弟
8.2/10 - 1194
いばら姫
昔、子供ができなくて、毎日「ああ、子供がいればなあ」と言っていた王様とお后さまがいました。しかしあるときお妃さまが水浴びしていると、蛙が水から陸にあがり、「あなたの望みはかなえられますよ。1年経たないうちに娘が産まれます。」と言いました。

蛙の言ったことが本当になり、お后さまはとても可愛い女の子を産みました。王様は喜びを抑えられなくて、大宴会を開くことを命じました。そして親戚や友達や知人だけでなく、やさしく子供によい運をつけるようにと賢い女の人たちも招きました。この王国には13人の賢い女の人たちがいましたが、食事を出す金のお皿が12人分しかなかったので一人は家に残さなければなりませんでした。

宴会はとても豪華に開かれ、終わりになったとき、賢い女たちが赤ちゃんに魔法の贈り物を授けました。一人は美徳を、別の人は美しさを、3人目は富を、等々、人がこの世で望むあらゆるものを授けていきました。

11人の賢い女が約束を言い終えたとき、突然13人目の賢い女が入ってきました。招待されなかったので仕返ししようと思ったのです。挨拶もしないで、誰も見もしないで、大声で「王様の娘は15歳のとき紡錘に刺され、倒れて死ぬのだ。」と叫びました。それから、もう一言も言わないで、向きを変えると、部屋を出て行きました。

みんながショックを受けましたが、12人目の賢い女の人は、まだ願掛けを言わないで残っていたので、前に出てきて、呪いの言葉を取り消すことはできず、和らげることだけができるので、「死ぬのではなく、王女様は100年の深い眠りに入ります。」と言いました。

王様は愛する子供を不運から守りたくて、国中の紡錘を燃やすようにと命令を出しました。一方で賢い女の人たちの贈り物は若い娘に対して豊かに実りました。娘はとても美しく、慎ましく、性格がよく、賢いので、娘を見た誰でも愛さずにはいられませんでした。

娘が15歳になったちょうどその日に、王様とお后さまは家にいなくて、娘は全く一人で宮殿に残されました。それで、あちこち歩き回り、気の向くままに部屋や寝室を覗きこんでいました。そして最後に古い塔にきました。狭い曲がりくねった階段を上ると、小さなドアに着きました。錆びた鍵が錠前の中にあり、娘が鍵を回すとドアがぱっと開き、小さな部屋に紡錘をもったおばあさんがいて忙しそうに亜麻を紡いでいました。

「こんにちは、おばあさん。そこで何をしているの?」と王様の娘は言いました。「糸を紡いでいるんだよ。」とおばあさんは言って、頷きました。「それってどういうものなの?とても愉快にカタカタ回るわね。」と娘は言って、紡錘を手に取り、自分でも糸を紡ごうとしました。しかし、紡錘に触れた途端、魔法の宣告が果たされ、娘は紡錘で指を刺してしまいました。

そしてチクっと感じたその瞬間に、娘はそこにあったベッドに倒れこみ、深い眠りに落ちました。そしてこの眠りは宮殿中に広がり、ちょうど家へ帰り大広間に入ってきた王様とお后さまが眠りにつき始め、宮廷全体も一緒に眠り始めました。馬たちも馬小屋で、犬たちは中庭で、鳩たちは屋根の上で、ハエは壁にとまって、眠りに入りました。暖炉で燃えている火でさえ、静かになり眠りました。焼き肉はジュージューいうのをやめ、コックは、食器洗いの子が何か忘れたのでの髪を引っ張ろうとしていたのですが、手を離し、眠りに入りました。風がやみ、お城の前の木では葉っぱ一枚も二度と動きませんでした。

しかし、お城の周りには茨の垣ができはじめ、年ごとに高くなり、とうとう城の周りを囲いこみ、上におおいかぶさりました。それでお城の何も見えなくなり、屋根の上の旗ですらも見えませんでした。しかし、みんなは王女様を茨姫と呼んだのですが、美しい眠っている茨姫の話は国中に行きわたり、その結果、ときどき王様の息子たちがきて、茨の垣を通り抜けて城に入ろうと試みました。

しかし、入ることはできませんでした。というのは、イバラがまるで手があるかのように固くくっついて、若者たちはイバラに引っ掛かり二度とほどくことができないで、惨めに死んでしまったからです。

長い、長い年月のあと、また一人の王様の息子がその国にやってきて、老人がイバラの垣について話していて、「その後ろにお城があり、中に茨姫という名の素晴らしく美しい王女様が100年間ねむっているんだそうだ。しかも、王様やお后さまも宮廷中が同じように眠っているんだとよ。」というのを聞きました。「これもうちのじいさんから聞いたんだが、もうたくさんの王様の息子が来て、イバラの垣を通り抜けようとしたんだけど、イバラにしっかりくっついたまま可哀そうに死んでしまったそうだよ。」と老人は付け加えました。

すると若者は、「僕は怖くない。美しい茨姫に会いに行くよ。」と言いました。やさしい老人はできるだけやめさせようとしましたが、若者は老人の言葉に耳を貸しませんでした。

しかしこの時にはちょうど100年が経って、茨姫がまた目覚める日が来ていました。王様の息子がイバラの垣に近づくと、それは大きな美しい花々でしかなくなり、ひとりでにお互いから分かれて、王子を無傷で通させ、そのあと、垣根のように王子の後ろでまた閉じました。宮廷の中庭で、王子は馬やぶちの猟犬が横になって眠っているのを見ました。屋根には翼の下に頭をいれて鳩が座っていました。家に入ると、ハエが壁にとまって眠っていました。台所のコックは食器洗い番の子をつかまえようとまだ手を伸ばしていました。女中は毛をむしろうとして黒いめんどりのそばに座っていました。

王子はさらに進んで行きました。すると大広間では宮廷の全員が横になって眠っていて、王座の近くには王様とお后さまが寝ていました。

それからもっと進んでいくと、あたりは静まり返って息の音すら聞こえるくらいで、ついに塔に着き、茨姫が眠っている小さな部屋の戸を開けました。そこに茨姫は横たわっていて、とても美しいので王子は目をそらすことができませんでした。そしてかがみこむとキスしました。しかし、キスした途端、茨姫は目を開け目覚めて、とても可愛らしく王子をみつめました。

それから二人は一緒に塔を降りました。すると王様がめざめ、お后がめざめ、宮廷全体が目覚めて、とても驚いてお互いを見ました。そして中庭の馬たちは立ち上がって体を振り、犬たちは跳びあがって尻尾を振り、屋根の鳩たちは翼の下から頭を引き抜き周りを見て、外へ飛び立ちました。壁のハエはまた這い歩き、台所の火は燃え上がってちろちろして肉を焼きました。焼き肉はまた回ってジュージュー音を立て始め、コックは食器洗いの子の耳を殴ったのでその子は悲鳴をあげ、女中はとりの毛をむしり終えました。

それから、王様の息子と茨姫との結婚式がとても華やかにおこなわれ、二人は死ぬまで満足して暮らしました。


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