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グリム童話: 子供たちと家庭の童話
グリム童話の一覧 (ページ 4)
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061
水呑百姓
ある村に、本当に金持ちのお百姓だけが住んでいて、ただ一人だけ貧しいお百姓が住んでいました。このお百姓をみんなは小百姓と呼びました。小百姓には雌牛が一頭もいなくて、雌牛を買うお金はなおさらありませんでしたが、小百姓とおかみさんはとても欲しがっていました。ある日、小百姓はおかみさんに言いました。「なあ、いい考えがあるんだ。おれたちの名付け親の指物師がいるだろ。あの人に木の子牛を作ってもらい、他の牛と同じにみえるように茶色に塗ってもらうんだ。そのうちきっと大きくなって雌牛になるよ。」おかみさんもその考えが気に入りました。それで名付け親の指物師は子牛の形に切ってかんなをかけ茶色に塗り、草を食べているように頭を垂れて作りました。 次の朝、雌牛が連れ出されているとき、小百姓は牛飼いを呼びとめて、「なあ、おれにも小さい子牛が一頭あるんだが、まだ小さくて抱いていかなくちゃならないんだ。」と言いました。牛飼いは「いいですよ」と言って子牛を両腕にかかえ、牧草地へ運び、草の中におきました。小さな子牛は食べている牛のようにずっと立ったままでした。それで牛飼いは、「あいつはすぐに自分で走るぞ。見ろよ、もうあんな
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062
蜜蜂の女王
二人の王様の息子が冒険を求めて出かけましたが、すさんだだらしのない生活にはまってしまったので戻って来ませんでした。末の息子は、抜け作と呼ばれていましたが、兄たちを探しにでかけました。しかしやっと見つけると、兄たちは、ずっと賢いおれたちでもやって行けないのに、このおめでたい弟が世の中を渡れると思ってるとはちゃんちゃらおかしい、とばかり嘲り笑いました。 三人は一緒に旅をしていくと、蟻の巣がありました。すると二人の兄は、これを壊そうぜ、小さなアリのやつら、慌てふためいてうろうろ卵を運んでいくだろうよ、と言いました。しかし抜け作は、「ほっといてやってくれよ、兄さんたちがありの邪魔をするのを黙ってみてられないよ。」と言いました。それから進んでいくと湖にでました。そこにはたくさんのカモが泳いでいました。二人の兄は二、三羽捕まえて焼き肉にしようとしました。しかし抜け作はそれを許そうとしないで、「ほっといてやってくれ。兄さんたちがカモを殺すのは我慢できないよ。」と言いました。 やがて蜂の巣のところにさしかかりました。そこではたくさん蜂蜜があって巣がついている木の幹から垂れていました。二人の兄は、木の下
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063
三枚の鳥の羽
昔息子が三人いる王様がいました。息子の二人は利口で賢かったのですが、三番目の息子はあまり喋らず、間が抜けていたので抜け作と呼ばれていました。王様は年とって体が弱くなり、死ぬ時のことを考えていると、どの息子にあとを継がせたらよいのかわかりませんでした。それで、三人に、「出かけていって、一番美しいじゅうたんを持ち帰った者をわしが死んだあと王様とするぞ。」と言いました。 そして三人の間で争いがあってはいけないので、王様は城の外に三人を連れていき、三枚の羽根を空中に吹き飛ばして、「飛んでいく方に行け。」と言いました。一枚の羽根は東に、もう一枚は西に飛んでいきましたが、三枚目はまっすぐ上に飛んで遠くへ行かず、まもなく地面に落ちました。 そうして一人の兄は右へ、もう一人の兄は左へ行き、二人は、三番目の羽根が落ちたところにいるしかなくなった抜け作をあざ笑いました。抜け作は座りこんでしょげていました。するとふいに、羽根のすぐそばに揚げ戸があるのに気づきました。その戸を上げると、階段がいくつかあり、抜け作は降りていきました。するとまた戸があったので、それをたたくと、中で誰かが呼んでるのが聞こえました。「
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064
黄金のがちょう
三人の息子がいる男がいました。末っ子はアホッコと呼ばれて、事あるごとにさげすまれ、からかわれ、あざ笑われました。 さて、一番上の息子が森へ木を切りにいこうとして、出かける前におなかがすいたり喉がかわいたりしないようにと母親がきれいな甘いケーキと葡萄酒をひと瓶持たせました。 森へ入ると、白髪の年とった小人に会いました。小人は「こんにちは、ポケットからケーキをひとつくれませんか?それから葡萄酒を一口飲ませてください。私はとてもおなかがすいて喉が渇いているのです。」と言いました。しかし、賢い息子は「もしお前にケーキと葡萄酒をあげたら、私のがなくなるじゃないか、あっちへ行けよ」と答えて、小人を残して、行ってしまいました。 しかし、木を切り倒し始めるとまもなく手元が狂って、腕が斧で切れ、家へ帰って包帯をしなければいけなくなりました。これは白髪の小人がやったことでした。 このあと、二番目の息子が森へ入りました。そして、母親は一番上の息子と同じように、ケーキと葡萄酒をあげました。白髪の小人が同じように息子に会い、ケーキを一切れと葡萄酒を一口頼みました。しかし二番目の息子も十分賢く、「お前にあげたら自
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065
千匹皮
昔、金色の髪の妻がいる王様がいました。お后はとても美しく、この世で同じくらい美しい人はみつかりませんでした。あるとき、お后は病気になって、もうすぐ死ぬにちがいないと感じたので、王様を呼び、「私が死んだあともう一度結婚したいなら、私と同じくらいきれいでない人、私のような金色の髪をしていない人はやめてくださいね。あなたはこのことを約束してくれないといけないわ。」と言いました。王様がそれを約束すると、お后は目を閉じ亡くなりました。 長い間、王様は心がいやされなくて、別の妻をもらうことを考えもしませんでした。ついに相談役たちが、「こうしていられないよ。私たちにお后がいるためには王様はもう一度結婚しなくてはいけない。」と言いました。そうして、亡くなったお后と同じくらい美しい花嫁を探しに、使者がはるばる遠くまで送られました。しかし、世界中どこを探しても誰も見つかりませんでした。また、たとえ見つかったとしても、あのような金色の髪をした人はだれもいなかったでしょう。それで使者たちは手ぶらで帰ってきました。 さて、王様には娘が一人いました。その娘は亡くなった母親と全く同じくらいきれいで、同じ金色の髪をし
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066
子ウサギのおよめさん
昔、キャベツを植えているきれいな庭に住む母親と娘がいました。そして小さなウサギがそこに入り、冬にはキャベツを全部食べてしまいました。それで母親は娘に、「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言いました。 女の子は「シ、シ、ウサギ、あなたはうちのキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで。」とウサギはいいます。女の子は行きません。 次の日、ウサギはまたやって来てキャベツを食べます。それで母親は娘に「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言います。娘は「シ、シ、ウサギ、あなたはキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで。」とウサギはいいます。娘は断ります。 三日目、ウサギはまたやって来てキャベツを食べます。それで母親は娘に「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言います。娘は「シ、シ、ウサギ、あなたはキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで
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067
十二人の狩人
昔、王様の息子がいて、この王子はとても愛している娘と結婚の約束をしていました。娘のそばに座り幸せなひとときを過ごしていると、王子の父親が病気で、死ぬ前にもう一度息子に会いたがっている、という知らせがきました。それで王子は愛する人に、「今は君を残して行かなければならない、僕の記念にこの指輪をあげよう。僕が王になったら、君を迎えに戻ってくるから。」と言いました。そうして王子は馬で去っていき、父親のところに着くと、父親は病気がとても重く今にも死にそうでした。父親は、「息子よ、わしは死ぬ前にもう一度お前に会いたかった。わしが望む娘と結婚する、と約束しておくれ。」と言いました。そうして王子の妻にする予定のある王様の娘の名前をあげました。息子はとても悲しくて、自分が何をしているのかよく考えもせず、「はい、お父さん、お父さんの望み通りにします」と言いました。すると王様は目を閉じ、亡くなりました。 そこで息子が王様になったことが公表され、喪の期間が明けると、父親にした約束を守らなくてはならなくなり、使いをやって、その王様の娘に結婚の申し込みをさせ、娘と婚約しました。最初のいいなずけはこの噂を聞き、男の
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068
どろぼうの名人とその大先生
ハンスは息子に商売を覚えさせたいと思い、教会に入って、何が息子に最も適しているか知るために神様にお祈りしました。すると、牧師が祭壇の後ろにいて、「盗み、盗み。」と言いました。これを聞いてハンスは息子のところに戻り、お前は盗みを覚えるべきだ、神様がそう言ったと告げました。それで、息子と一緒に盗みを良く知っている男を捜しに出かけました。二人は長い間歩いて、大きな森に入ると、おばあさんが中にいた小さな家が立っていました。ハンスは、「盗みを良く知っている男のことを知ってるかい?」と言いました。「ここでとてもよくそれを覚えることができるよ。私の息子はその名人だ。」とおばあさんは言いました。それで、ハンスはおばあさんの息子と話し、本当によく盗みを知ってるか尋ねました。泥棒の親方は、「息子さんをよく教えましょう。1年経ったら戻ってきてください。そしてそのとき息子さんを見分けたら、授業料は受け取りません。だけど、わからなかったら、200ターレル払わなければなりませんよ。」と言いました。 父親はまた家に戻り、息子は魔法と盗みをしっかり学びました。1年過ぎると、父親はどうやって息子を見分けるか知ろうと心配
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069
ヨリンデとヨリンゲル
昔、大きなうっそうとした森の真ん中に古い城があり、そこには魔女のばあさんがひとりっきりですんでいました。ばあさんは昼は猫やふくろうに変身しましたが、日が暮れるとまたふつうの人間の姿になりました。また、けものや鳥をおびき寄せ、殺して煮たり焼いたりしました。城から百歩内に入った人は、立ち止まったきり、ばあさんが魔法を解くまでその場から動けなくなりました。しかし、けがれのない娘がこの範囲に入ると、ばあさんはその娘を鳥に変え、柳の鳥かごに閉じ込め、城の部屋に運び込みました。城の中には珍しい鳥のかごが七千ほどありました。 さて、あるとき、ヨリンデという娘がいて、他のどの娘よりもきれいでした。ヨリンデとヨリンゲルというハンサムな若者は結婚の約束をしていました。二人はまだいいなずけの日々を過ごし、一緒にいることが一番の幸せでした。ある日、静かに語り合うために二人は森へ散歩にいきました。「気をつけて」とヨリンゲルは言いました。「城に近づきすぎないように。」美しい夕方でした。太陽が木々の幹の間から暗い森の緑に明るく射し込み、キジバトがブナの木の上でもの悲しく鳴いていました。ヨリンデは時々泣き、日なたに腰
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070
三人のしあわせもの
あるとき、父親が三人の息子を自分の前に呼んで、長男におんどりを一羽、次男に草刈り鎌を一丁、三男に猫を一匹与えました。「わしはもう年だ」と父親は言いました。「死ぬ時期も近い。死ぬ前にお前たちにやっておきたいと思っていたんだ。金はない。今お前たちにやったものは大して価値がなさそうなものだ。だが、それもお前たちの使い方次第だと思うんだ。そういうものをまだ知らない国を探しだせ。そうすれば財産を作れる。」 父親が死んだあと、長男は雄鶏をかかえて出かけていきましたが、どこへ行っても雄鶏はもう知られていて、町では、尖塔の上にのって風で向きをかえているのがずっと遠くからでも見えました。村では一羽以上の雄鶏が鳴いているのが聞こえてきて、誰もこの生き物を驚いて見る人はいそうもありませんでした。それで雄鶏で財産をつくれそうもありませんでした。 ところが、とうとう、ある島に来ると、人々は雄鶏について何も知らなくて、時間の分け方すら判っていませんでした。いつが朝でいつが夕方かは確かに知っているのですが、夜に眠っている途中で目覚めると、それが何時かは誰もわからなかったのです。 「ほら、見て」と長男は言いました。「
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071
六人男、世界を股にかける
昔、いろいろなわざを心得ている男がいました。この男は戦争で勇敢によく働きましたが、戦争が終わるとくびになり、道中の費用に三ファージング受け取りました。「おいおい」と男は言いました。「これっぽちで納得しないぞ。おれがちゃんとした手下に出会ったら、王様に国の宝をみんな出させてやる」そうしてすっかり怒って、森へ入って行くと、男がいて、まるで麦の茎のように六本の木を抜いているのが見えました。それでその男に「おれの手下になって一緒に行かないか」と言いました。「いいよ。」と男は答えました。「だが、先にこの小さな枝の束をうちのおふくろに持って行くよ」そうして六本の木から一本とって他の五本に巻き、束を肩にのせて運んでいきました。それから戻ってくると頭目と一緒に出かけました。頭目は、「おれたち二人でかなりうまく世間を渡り歩けるぞ」と言いました。少し歩いたあと、二人は猟師に会いました。その猟師は膝をついて、銃を肩にかけ、今撃とうというところでした。 頭目は猟師に、「猟師、何を撃とうとしてるんだい?」と言いました。猟師は「ここから二マイルのところでハエが樫の木の枝にとまっているんだ。おれはそいつの左目を撃ち
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072
狼と人間
昔、狐が狼に人間の強さについて、どんな動物も抵抗できないとか人間から身を守るためにみんな知恵を絞らないといけないとか、話していました。すると、狼は「それでも、もし人間に一度でも会うチャンスさえあれば、おれは襲いかかってやるんだが。」と答えました。「それならお手伝いできるよ。明日の朝早く、うちにおいでよ。そうすれば人間をみせてやるよ。」と狐はいいました。狼は朝早く現れました。そして狐は猟師が毎日行く道に狼を連れ出しました。最初に年とった除隊兵が来ました。「あれが人間か?」と狼は訊きました。「いや、あれは昔人間だった。」と狐は答えました。そのあと、学校に行く小さな男の子が来ました。「あれが人間か?」「いや、あれはこれから人間になる。」 とうとう二連銃を背にかけ、脇に刀の吊り手をぶら下げた猟師がやって来ました。狐は狼に言いました。「ほら、人間が来るよ。きみは襲わなくちゃ。だけど僕は巣穴に行ってるから。」それから狼は人間に突撃しました。猟師は狼を見ると、「弾を込めてなくて残念だ。」と言って、ねらいをつけ、狼の顔に小銃を撃ちました。狼はとてもしかめた顔をしましたが、恐れずに二度目の攻撃をしました
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073
狼と狐
狼は狐を従えていました。狼が望んだことは何でも狐はやらされました。というのは狐の方が弱かったからで、できれば主人と喜んでおさらばしていたでしょう。あるとき二人が森を通っていたとき、狼が、「赤狐、何か食べ物をとってこい、でないとお前自身を食っちまうぞ」と言いました。狐は「2匹の子羊がいる農家の庭を知っています。もしよろしければ1匹とりましょう。」と答えました。狼はそれがいいと思い、二人でそこへ行きました。そして狐は子羊を盗み、狼のところへ持っていき、行ってしまいました。狼はがつがつ子羊を食いましたが、一匹では満足しませんでした。それでもう1匹も欲しくなり、それを手に入れるためでかけました。 しかし狼はやるのがとても下手くそだったので、子羊の母が聞きつけ、激しく叫びたてメエメエなくので、農夫たちがそこへ走ってきました。そして狼を見つけ、とても情け容赦なくぶったので、狼は足を引きずり、うめきながら、狐のところへ行きました。「お前はおれをうまくだましやがったな。もう1匹の子羊も欲しかったのに、農夫たちが急にやってきて、おれをめちゃくちゃにぶちやがった。」と狼は言いました。狐は「どうしてあなたは
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074
狼と名付けをたのんだ奥さま
狼が子どもを産んで狐を名付け親に頼みました。「何と言っても、近い親戚なのよ。」と狼は言いました。「頭がいいし、才能も豊かだわ。うちの息子を教えて世間に出ていく助けをしてくれるわ。」狐もすっかり真面目くさった様子で、「奥様、私にお授けくださった名誉に感謝いたします。この名誉に報いるよう努めさせていただきます。」と言いました。 狐はお祝いの席でご馳走を食べ、陽気にして、そのあとで、「奥様、子どもの世話をするのは私たちの義務です。強い体にするには良い食べ物を食べさせなくてはいけません。すばらしい御馳走をとれる羊小屋を知っていますよ。」と言いました。狼はその考えが気に入って、狐と一緒に農家の庭に出かけて行きました。狐は遠くから小屋を指差し、「あそこから見られないで忍びこめます。その間私はニワトリをとれるか向こう側を見てきます。」と言いました。ところが狐はそこに行かないで森の入口に座り脚を伸ばして休んでいました。 狼は羊小屋に忍び込みました。そこに犬がいてさんざん吠えたのでお百姓が走って出てきて、狼をつかまえ、衣類などを洗うために用意してあった強力な揮発油を狼の毛皮にふりかけ、火をつけました。狼
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075
狼と猫
猫が森でたまたま狐に会いました。「狐は賢くて経験豊かだから、世間でとても尊重されているんだ」と思い、愛想良く話しかけました。 「こんにちは、狐さん、ごきげんいかがですか。景気はどうですか。この大変な時期にどうやりくりなさっておいでですか?」 狐は、傲慢さいっぱいに、猫を頭からつま先まで見て、長い間返事をしたものかどうかわかりませんでした。とうとう「おや、惨めなひげ掃除屋か、まだらの馬鹿で、腹をすかしたネズミ捕り、お前は何を考えることができるんだ?ずうずうしくもおれがどうやっているかと尋ねるのか?何を学んだ?いくつ技術をわかってる?」と言いました。 「1つしかわかりません。」と猫は慎ましく答えました。「それは何の技術だね?」「犬が私を追いかけているとき、木に跳び上がって助かることができます。」 「それだけかい?おれは100の技術の名人だよ。おまけに一袋分の賢さもあるぞ。お前を哀れだと思うよ。一緒に来いよ。人がどうやって犬から逃げるか教えてやるよ。」 ちょうどそのとき、狩人が4匹の犬と一緒にやってきました。猫は素早く木に跳び上がりました。「袋を開けて、狐さん、袋を開けて。」と猫は狐に叫びま
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076
なでしこ
昔、神様が子供を与えないお后がいました。毎朝、お后は庭に行き、息子か娘を授けてくださるようにと天国の神様にお祈りしました。すると、天国から天使がやってきて、「あんしんしてください。願掛けの力をもった息子が授かりますよ。そのためその子がこの世で望んだことはなんでもかなうでしょう。」と言いました。それでお后は王様のところに行き、うれしい便りを知らせ、時が来ると、息子を産みました。それで王様は喜びでいっぱいでした。 毎朝、お后は動物が飼われている庭に子供と一緒に行き、そこのきれいな流れで水浴しました。あるとき子供が少し大きくなったとき、お后は子供を腕に抱いたまま、眠ってしまいました。すると、としとったコックがやってきて、子供が願掛けの力を持っていると知っていたので、さらっていきました。そしてニワトリをとって切り刻むとその血をお后のエプロンとドレスに落としました。それから、子供を秘密の場所に運んで、乳母に乳を飲ませるようにさせ、王様のところに走っていくと、お后は動物に子供をとられてしまったとお后を非難しました。王様はエプロンの血を見るとこれを信じ、とても怒って、中からは太陽も月も見えないような
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077
知恵者のグレーテル
昔、グレーテルという名前の料理人がいました。グレーテルはかかとの赤い靴を履いていて、それででかけるときはいつもあっちこっちとまわってみて、(私ってなんてきれいなの)と思いました。家に帰るととても嬉しいのでワインを一口飲み、そうすると食欲が出てくるので、自分が料理したものの一番いいものを味わい、お腹がいっぱいになって、「料理人って食べ物の味を知らなくちゃいけないのよ」と言っていました。 ある日、主人がグレーテルに言いました。「グレーテル、今晩お客が来るから、ニワトリを二羽おいしく料理しておいてくれ」「はい、わかりました、ご主人さま」とグレーテルは答えました。ニワトリを殺し、湯通しして羽根をむしり、串にさして、夕方になってきたので、丸焼きにするため火にかけました。ニワトリは茶色になり始めほぼできあがりましたが、お客はまだ着いていませんでした。 グレーテルは主人に呼びかけました。「お客さんがこないんなら、ニワトリを火からおろさなくちゃいけないんだけど。すぐ食べないともったいないわ、今ちょうど汁気があって一番おいしいところなのよ」 主人は「そうだな、おれが走ってお客をつれてこよう」と答えました
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078
としよりのおじいさんと孫
昔、とても年とった男がいました。目はかすみ、耳は遠くなり、膝はがくがくして、食卓につくと、スプーンをきちんと握ることもできなくてスープをテーブル掛けにこぼしたり、口から垂らしたりしました。息子と息子の妻はこれにうんざりしたので、結局年老いたおじいさんはストーブの後ろのすみに座らねばなりませんでした。そして二人はおじいさんに土器のどんぶりで食べ物をあげ、それも十分ではありませんでした。それで、おじいさんは目に涙をいっぱい浮かべて、食卓の方をよく見ていました。 あるとき、また手が震えて、きちんと器を握ることができなかったので、器は地面におちて壊れました。若い妻はおじいさんを叱りましたが、おじいさんは何も言わないでため息をつくだけでした。それから、息子たちはおじいさんに2,3ペンスで木の器を買い、おじいさんはそれで食べなければなりませんでした。 あるとき、こんなふうに座っていたら、4歳のちいさな孫が地面の木をいくつか集め始めました。「お前そこで何をしてるんだい?」と父親が尋ねました。「僕、小さな木鉢を作ってるの。僕が大きくなったら、お父さんとお母さんがそれで食べるから。」と子供は答えました。
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079
水の精
あるとき、兄と妹が泉の近くで遊んでいました。そして遊んでいる間に二人とも泉に落ちてしまいました。下には水の精が住んでいて、「さあ、お前たちをつかまえたぞ。さあ、お前たちは私のために一生懸命働くのだ。」と言って、二人を連れて行きました。水の精は女の子に紡ぐための汚いもつれた亜麻を渡しました。また女の子は穴のあいた桶で水を汲まなければならず、男の子は刃がとがっていない斧で木を切り倒さなければなりませんでした。そして二人は石のように固い団子の他に食べるものがありませんでした。 それでとうとう子供たちは我慢できなくなり、水の精が教会にいく日曜まで待って、逃げました。しかし、礼拝が終わると、水の精は小鳥たちが飛んで行ってしまったとわかり、大股で追いかけていきました。子供たちは遠くから水の精が見えました。そして女の子は後ろにブラシを投げるとブラシは何千何万ものトゲがある剛毛の大きな山になりました。そのトゲを水の精はとても苦労して這い登り越えなくてはなりませんでしたが、とうとう、乗り越えました。 これを見ると、男の子は後ろに櫛を投げました。その櫛は千の千倍もの歯のある大きな山を作りました。しかし水の
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080
めんどりの死んだ話
昔、めんどりがおんどりと一緒にくるみの山に行きました。二人は、どちらが先にくるみの実をみつけても二人で分けようね、と決めていました。そうしてめんどりは大きい、大きいくるみをみつけたのですが、一人で食べようと思って、何も言いませんでした。ところが、実が大きすぎて飲み込めず喉につかえてしまいました。それでめんどりは息がつまって死にやしないかと心配になり、「おんどり、お願いだから、急いで走って、水を汲んで来てちょうだい。そうしないと私は息がつまって死ぬわ。」と叫びました。 おんどりは急いで泉まで走り、「泉、水をおくれ。めんどりがくるみの山でねている、大きなくるみをのんで息がつまっているんだ。」と言いました。泉は、「先に花嫁のところに走っていって、赤い絹をもらいなさい。」と言いました。おんどりは花嫁のところへ走り、「嫁さん、赤い絹をおくれ、泉に赤い絹をあげたいんだ。泉は僕に水をくれることになっている。その水をめんどりに持っていくんだ。めんどりはくるみのやまでねている。大きなくるみをのんでしまって息がつまっているんだ。」と言いました。すると花嫁は、「その前に走っていって、柳にかかっている私の花の
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