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グリム童話: 子供たちと家庭の童話
グリム童話の一覧 (ページ 3)
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041
コルベスさま
昔、おんどりとめんどりがいて、一緒に旅をしようと思いました。それでおんどりは、四つの赤い車輪がついている美しい車を作り、それに四匹のネズミをつなぎました。めんどりがおんどりと一緒にその車に乗り、一緒に出かけました。まもなく猫に会い、猫は、「どこに行くの?」と言いました。おんどりが、「コルベスさまの家にいくところだ。」と答えました。「一緒に連れてってよ。」と猫が言いました。おんどりは、「いいとも。後ろに乗って。前だと落ちるかもしれないから。赤い車輪を汚さないように気をつけてね。車輪たちや、転がれ。ネズミたちや、チューチュー鳴け。僕たちはコルベスさまの家へいくところ。」 このあと、石臼が来て、それから卵が、それからあひるが、それから留針が、最後に針が来て、みんな車に乗り、一緒に行きました。ところが、コルベスさまの家に着くと、コルベスさまは留守でした。ネズミたちは車を納屋に入れ、めんどりはおんどりと一緒に止まり木に飛び、猫は暖炉のそばに座り、あひるは井戸の柱の上に座りました。卵はタオルの中へ転がって入り、留針は椅子のクッションに刺さり、針はベッドに飛び乗り枕の真ん中に刺さり、石臼は戸の上に寝
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042
名づけ親さん
貧しい男はとてもたくさん子供がいたのですでに世界のみんなに名付け親になってくれるよう頼んでいました。それでまた別の子供が生まれたとき、招待できるだれも他に残っていませんでした。どうしたらよいかわからず途方にくれて、横になると眠りました。すると、門の外に出て、出会った最初の人に名付け親になってもらえばよい、という夢をみました。目が覚めると、夢の通りにやるぞと心に決め、門の外に出、近づいてきた最初の人に名付け親になってくれるよう頼みました。その見知らぬ人は男に小さいコップの水をさし出し、「これは素晴らしい水だよ。この水で、病気の人を治せるんだ。ただ、死神がどこに立っているか気をつけないといけない。死神が病気の人の頭のそばに立っていれば、病気の人に水をあげれば治る。だが、死神が足のそばに立っていれば、どんな苦労も水の泡だ。というのは病気の人は死ななければいけないのだから。」と言いました。この時から、男はいつも病気の人が救われるかどうかあてることができ、その技で有名になり、たくさんのお金を稼ぎました。あるとき、王様の子供のところに呼びいれられ、入っていくと、死神が子供の頭のそばに立っているのを
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043
トゥルーデおばさん
昔、分からず屋で詮索好きな女の子がいました。両親が何かするように言ってもいうことをききませんでした。ですから、どうやってうまくやれるでしょうか。 ある日、その子は両親に言いました。「トルーデおばさんの噂をたくさん聞いたことがあるわ。いつかその人のところへ行ってみよう。その人のいろんなことが変わってて、家の中にはとても変なものがあるっていうから、とても知りたくなったわ。」両親は断固として禁じて、「トルーデおばさんは悪い人だよ、わるいことをするんだ。もしお前が行くなら、もう家の子じゃないよ。」と言いました。 しかし娘は両親の禁止に耳をかさず、やはりトルーデおばさんのところに行きました。娘がやってくるとトルーデおばさんが聞きました。「おまえは、どうしてそんなに青い顏をしているんだい?」 娘はからだ全体をふるわせながら、答えました。「見たものがとてもこわくって。おばさんの家の階段で、まっ黒な人を見たのよ」「それは、炭を焼く男さ」「それから、緑の男も見たわ」「それは、狩人だよ」「そのあとに、血みたいにまっ赤な男に会ったわ」「それは、獣を殺す男だよ」「ああ、怖かったわ、トルーデおばさん。家のまどか
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044
死神の名付け親
貧しい男に12人の子供がいて、その子供たちをただ養うだけで夜も昼も働かなければなりませんでした。それで13人目の子供が生まれたとき、困ってどうしたらよいかわかりませんでしたが、広い大通りに走り出て、出会った最初の人に名付け親になってもらおうと決心しました。最初に出会ったのは神様で、もう男の心をいっぱいにしているものを知っていました。そして、男に、「貧しい人よ、お前を哀れに思う。私が子供の洗礼をしよう。そしてその子を引き受け、この世で幸せにしよう。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」と言いました。「私は神だ。」「じゃあ、お前さんには名付け親になってもらいたくないね。」と男は言いました。「お前さんは金持ちに与え、貧乏人は腹を減らしたままにしておくからね。」こう男は話しました。というのは神様が富と貧しさをどんなに賢く割り当てているか知らなかったからです。それで男は神様から向きを変えて、さらに進んで行きました。 すると悪魔がやってきて、「何をさがしてるんだね?おれを子供の名付け親にすれば、その子にたっぷり金をやり、また世界のあらゆる楽しさも与えてやるぜ。」と言いました。男は、「お前は誰だ?」
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045
仕立て屋の親指小僧の遍歴
ある仕立て屋に息子が一人いました。この子はたまたま小さくて親指ほどしかなく、このためにいつも親指太郎と呼ばれました。しかし、なかなか勇気のある子で、父親に、「お父さん、僕はなんとしても世間に出ていくよ。」と言いました。「そうだ、息子よ。」と父親は言って、長いかがり針をとって、封蝋で針にこぶを作りました。「さあ、道中持って歩く刀をやるぞ。」それからチビの仕立て屋は一緒にもう一回食事をしようと、台所に跳ねていき、母親が最後にどんな料理を作るかみました。しかしもう出来上がっていて、皿がかまどの上にのっていました。それで、太郎が言いました。「おかあさん、今日の料理は何?」「自分で見てごらん」と母親は言いました。そこで太郎はかまどの上に飛び乗って、皿を覗きこみました。ところが首をあまり長く伸ばし過ぎたので、食べ物の湯気が太郎をつかまえて煙突から外へ運んで行きました。太郎はしばらく湯気にのって空中を漂っていましたが、しまいにまた地面に下りました。 もうチビの仕立て屋は外の広い世間にいて、あちこち旅をして、仕立て屋の親方のところへ行きました。しかし、食べ物がよくありませんでした。「おかみさん、もっと
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046
フィッチャーの鳥
昔、貧しい男のなりをして物乞いをして家々を訪ね、きれいな娘をさらう魔法使いがいました。男がどこへ娘たちを連れて行ったのか誰もわかりませんでした。というのは娘たちは二度と見つからなかったからです。ある日、男はきれいな娘が三人いる男の家の前に現れました。男は貧しい体の弱そうな乞食のようにみせて、中に施しのものを集めているかのように背中にかごを背負っていました。男は、少し食べ物をください、と言い、一番上の娘が出てきて、パンを一切れ渡そうとしました。そのとき男はただ娘に触れただけで、娘はかごに跳びこまされました。すぐに男は大股で急いで去り、娘を暗い森の真ん中に立っている自分の家に運んで行きました。家の中の何でも豪華でした。男は娘に欲しいものは何でも与え、「ねえ、君、君は僕のところできっと幸せだろう。君が望むものを何でももらえるんだからね。」と言いました。こうして2,3日経つと、男は、「僕は旅にでかけなくてはならない。ちょっとの間君をひとりにしておく。さあ、家の鍵だよ。どこへ行ってもいいし、何でも見ていいよ。ただ一つの部屋はだめだ。そこはこの小さい鍵で開くんだが、そこにいくと君の命をとることにす
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047
ねずの木の話
今はもうずいぶん昔、二千年は前ですが、金持ちの男がいました。妻は美しく信心深い人で、二人は心から愛し合っていました。しかし、二人には、とても欲しいと望んだけれども、子供ができませんでした。妻は昼も夜も子供をお授けくださいとお祈りしましたがそれでもだめでした。二人の家の前に中庭があり、そこには一本のビャクシンの木がありました。冬のある日、妻はその木の下に立ち、リンゴの皮をむいていましたが、そうしているうちに指を切り、血が雪に落ちました。「ああ」と妻は言い、すぐため息をついて、目の前の血を見て、とても惨めに思いました。「ああ、血のように赤く、雪のように白い子供がいたらいいのに」こうして話している間にとてもしあわせな気分になり、本当に子供が生まれるような気がし、それから家に入りました。 一か月経つと雪が消え、二か月すると一面緑になり、三か月経つと花が咲き、四か月すると森の木々の緑が濃くなり緑の枝が密にからみあい、鳥たちがさえずりその声が森にこだまし、花が木から落ちました。五カ月経って、妻はビャクシンの木の下に立ちました。その木はとても甘い香りがして妻の心が躍りました。妻は膝まづき、喜びに我を
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048
ズルタンじいさん
昔、お百姓がズルタンという名前の忠実な犬を飼っていましたが、年をとって歯が全部なくなってしまったので、もうなにも咥えることができませんでした。ある日、お百姓は、おかみさんと戸口の前に立っていて、「明日、年寄りのズルタンを撃ち殺すつもりだ、もう役に立たないからな。」と言いました。おかみさんは、忠実な犬を哀れに思って、「ズルタンはわたしたちにとても長く仕えてくれて、とても忠実だったのだから、飼っていた方がいいわ。」と答えました。「何だって?お前はあまり頭がよくないな。あれには歯が一本もないんだぞ。一人の泥棒もあれをこわがらないよ。もういらないよ。おれたちに仕えたとすれば、その分たっぷりえさをもらったさ。」と男は言いました。 可哀そうな犬は、近くのひなたで体を伸ばしねていて、これが全部聞こえ、明日が自分の最後の日になるんだなと悲しくなりました。犬にはいい友達の狼がいて、夜にそっと出て森の狼のところへ行き、自分を待っている運命のことをこぼしました。「ね、元気を出せよ、お前を難儀から救ってやるからさ。いいことを思いついたよ。明日朝早く、お前の主人はおかみさんと一緒に干し草を作りに行くよな。それで
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049
六羽の白鳥
昔、ある王様が大きな森で狩りをしていて、野生の動物をとても熱心に追いかけたので従者のだれもあとについていけませんでした。夜が近づいてきて止まり、周りを見回すと道に迷ったことがわかりました。出口を探しましたが、まるで見つかりませんでした。それからしきりに頭を縦に振っている老婆が自分の方に来るのに気付きました。しかし、その老婆は魔女でした。「おばあさん、森を抜ける道を教えてもらえませんか?」と王様は老婆に言いました。「いいですよ、王様。」と老婆は答えました。「もちろんいいですよ。だけど、1つ条件があります。もしそれを果たさなければ絶対森からでられなくて森の中で餓死するでしょう。」と老婆は答えました。 「それはどんな条件だね?」と王様は尋ねました。「私には娘が一人いる。世界のだれよりも美しく、あなたの妃になる価値は十分あります。もし娘を妃にするなら、森から出る道を教えましょう。」と老婆は言いました。心苦しいままに王様は承知しました。そして老婆は王様を小さな小屋に連れて行き、娘は暖炉のそばに座っていて、まるで予期していたように王様を迎えました。王様は娘がとても美しいとわかりましたが、それでも気
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050
いばら姫
昔、子供ができなくて、毎日「ああ、子供がいればなあ」と言っていた王様とお后さまがいました。しかしあるときお妃さまが水浴びしていると、蛙が水から陸にあがり、「あなたの望みはかなえられますよ。1年経たないうちに娘が産まれます。」と言いました。 蛙の言ったことが本当になり、お后さまはとても可愛い女の子を産みました。王様は喜びを抑えられなくて、大宴会を開くことを命じました。そして親戚や友達や知人だけでなく、やさしく子供によい運をつけるようにと賢い女の人たちも招きました。この王国には13人の賢い女の人たちがいましたが、食事を出す金のお皿が12人分しかなかったので一人は家に残さなければなりませんでした。 宴会はとても豪華に開かれ、終わりになったとき、賢い女たちが赤ちゃんに魔法の贈り物を授けました。一人は美徳を、別の人は美しさを、3人目は富を、等々、人がこの世で望むあらゆるものを授けていきました。 11人の賢い女が約束を言い終えたとき、突然13人目の賢い女が入ってきました。招待されなかったので仕返ししようと思ったのです。挨拶もしないで、誰も見もしないで、大声で「王様の娘は15歳のとき紡錘に刺され、倒
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051
めっけ鳥
昔、森の監督官がいて、狩りをするため森に入っていくと、まるで小さな子供のように、泣き声が聞こえてきました。その音をたどっていくと、とうとう高い木のところに来て、一番上に小さい子供が座っていました。というのは、子供と一緒の母親が木の下で眠ってしまい、母親の腕にだかれているのを捕食する鳥がみて、舞い降り、わしづかみにして高い木の上に置いたからです。 森の監督官は木に登り、子供を降ろし、(この子を家に連れて帰り、うちのリナと一緒に育てよう)と思いました。それで、子供を連れて帰り、二人の子供たちは一緒に育ちました。それで、木の上でみつけた子は、鳥がさらったので、みつけ鳥と呼ばれました。みつけ鳥とリナはお互いをとても好きだったので、お互いが見えなくなると悲しくなりました。 さて、森の監督官には年とった料理人がいましたが、ある晩、桶を2つ持って水を汲み始め、1回だけでなく何度も泉にでかけました。リナはこれを見て、「ねえ、ザンナばあや、どうしてそんなにたくさんの水を汲んでいるの?」と言いました。「誰にも言わないなら、どうしてか教えてあげるよ。」それでリナは、ええ、誰にも言わないわ、と言いました。「明
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052
つぐみの髭の王さま
ある王様に、はかり知れないほど美しい娘がいました。けれどとても高慢でその上横柄なので、どの求婚者も娘の気にいらなくて、求婚者を次々と追い返し、意地悪く笑い者にもしました。 あるとき、王様は大宴会を開き、そこへ遠近から結婚の相手となりそうな若者を招きました。若者たちは身分と地位に従って全員一列に整列させられました。最初は王様で、次は公爵、次は王子、伯爵、男爵、紳士階級がきました。それから王様の娘はそれぞれの身分の人の間を案内されましたが、どの人にもなにか異議を唱えました。一人は太りすぎていて、「酒樽ね」、背が高すぎると「やせでのっぽ、まるで役立たずね。」3人目は背が低すぎて「ちびのでぶはのろまよ。」、4人目は顔色が悪過ぎて「死神みたいね。」、5人目は顔が赤過ぎて、「見事なおんどりね。」、6人目は体が真直ぐでないので、「ストーブの後ろの乾かされた生木。」と言いました。 そんなふうに娘は一人ひとりに何か文句をつけましたが、列のかなり高い地位にいたりっぱな王様には特にはしゃいで、あごがすこし曲がっていたので、「ほら見て、つぐみのくちばしみたいなあごをしているわ。」と叫んで笑いました。その時から
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053
白雪姫
昔、真冬に、雪が羽のようにチラチラと空から降っているとき、窓のところでお后が縫物をしていました。窓枠は黒檀でできており、縫物をして窓から雪を見ている間に、お后は針で指を刺してしまい、3滴の血が雪の上に落ちました。その赤は白い雪の上できれいに見え、お后は「雪のように白く、血のように赤く、窓枠の木のように黒い子供が欲しいわ…」と思いました。 その後まもなくお后は女の子を産みました。その子は雪のように白く、血のように赤く、髪は黒檀のように黒かったので、白雪姫と呼ばれました。子供が生まれたとき、お后は亡くなりました。 1年過ぎて王様は新しい妻を迎えました。このお后は美しい人でしたが、高慢で気位が高く、他のだれかが自分より美しいのは我慢できませんでした。お后は不思議な鏡を持っていて、その鏡の前に立ち、映っている自分を見て、「鏡よ、壁の鏡よ、この国で一番美しいのは誰?」と言いました。 鏡は答えました。「お后さま、あなたが一番美しい。」 するとお后は満足しました、鏡は真実を言うと知っていたからです。 しかし白雪姫が成長していって、だんだん美しくなり、7歳のときは昼と同じくらい美しく、お后自身より美し
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054
背嚢と帽子と角笛
昔、3人の兄弟がいましたが、だんだん貧しくなり、とうとうあまりに貧しくて空腹を我慢しなくてはなりませんでした。何も食べたり飲んだりするものがなかったのです。それで「こんな風に続けていられない。世界に出て運を試してみたほうがいいよ。」と言いました。従って3人は出かけていき、すでに沢山の道と沢山の草の上を歩きましたが、幸運にはあっていませんでした。ある日、大きな森に着き、その真ん中に丘があり、近寄ってみるとその丘は全部銀でした。それで長男は「今おれは望んだ幸運を見つけたよ。もうこれ以上何も欲しくないよ。」と言って、運べるだけ多くの銀をとり、向きを変えるとまた家に帰りました。 しかし他の二人は「幸運からただの銀よりもっと多くの何かが欲しい。」と言って、銀には触れず、道を進みました。止まらずに2日長く歩いたあと、全部金の丘に着きました。2番目の兄は立ち止まり、心の中で考えましたが、決心できませんでした。「どうしようか。この金を沢山持っていって残りの人生は十分になるだろうか。それとももっと行こうか?」とうとう決心がついて、ポケットに入るだけ多く詰め込んで、弟にさよならを言うと家に帰りました。 し
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055
ルンペルシュティルツヒェン
昔、貧しいけれど、美しい娘がいる粉屋がいました。さて、この粉屋がたまたま王様のところに行き、話すことになりましたが、自分を重要にみせるために、「私にはわらを紡いで金にできる娘がいます。」と王様に言いました。王様は「それは、とても気にいる技だな。もし娘がお前が言うように賢いなら、明日宮殿に連れて来い。テストしてみよう。」と粉屋に言いました。 そして、娘が連れて来られると、王様はわらがまったくいっぱいある部屋に連れて行き、糸車と巻き枠を渡し、「さあ、仕事にかかれ、もし夜の間にこのわらを紡いで明日早朝までに金にしなければ、お前は死ななければならん。」と言いました。そうして自分で部屋に錠をかけ、娘をひとり部屋に残しました。それでそこで可哀そうな粉屋の娘は座り、どうしたら命が助かるか判らなく、またわらを紡いで金にする方法も見当がつかないので、だんだん恐くなり、とうとう泣き出しました。 しかし、突然ドアが開き、1人の小人が入ってきて、「今晩は、粉屋の娘さん、どうしてそんなに泣いているの?」と言いました。「ああ、わらを紡いで金にしなければならないの。でもどうやるのかわからないのよ。」と娘は答えました
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056
恋人ローランド
昔、本物の魔女がいて、娘が二人ありました。一人は醜く意地悪でしたが、この娘は実の娘なので可愛がっていました。もう一人は美しく善良でしたが、継娘なので嫌っていました。あるとき継娘がきれいなエプロンをもっていたところ、もう一人の娘がとても欲しかったので、妬ましくなり、母親にそのエプロンを絶対欲しいと言いました。「お前、静かにおし。お前に持たせてやるとも。お前の姉さんはとっくに死んで当然だったのだよ。今夜眠っている時、行ってあの子の頭を切り落としてやるさ。お前は気をつけてベッドの向こう側にいるようにして、前の方にあの子を押すんだよ。」と老婆は言いました。可哀そうな娘は、ちょうどその時隅にいて全部聞かなかったなら、お終いだったでしょう。 一日中、娘はあえて外出しませんでした。そして寝る時間がくると、魔女の娘は遠い側に寝るため先にベッドに入りました。しかし、寝入るともう一人の娘は魔女の娘を前にやさしく押して、自分は壁に近く、後ろの位置に寝ました。夜中に、老婆は忍び入って来て、右手に斧を持ち、左手で外側に誰か寝ているか確かめ、それから両手で斧を握ると、実の子供の頭を切り落としました。 老婆が行って
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057
黄金の鳥
昔、王様がいて、宮殿の裏に、金のリンゴが実る木がある美しい庭をもっていました。リンゴが熟してくると数がかぞえられましたが、その次の朝、1個がなくなっていました。このことが王様に報告され、王様は、毎晩木の下で見張りをするように、と命令しました。王様には三人の息子がいて、夜がくると長男を庭に送りましたが、真夜中になると、眠気を抑えられず、次の朝またりんごが1個なくなりました。 次の夜、次男が見張りをすることになりましたが、結果は兄と同じく、12時になると眠ってしまい、朝にはりんごが1個なくなっていました。いよいよ3男が見張りをする順番がきて、すっかりその気になっていましたが、王様はこの息子にあまり期待を持たないで、兄たちよりさらに役に立たないだろうと考えましたが、とうとう行かせました。若者は木の下に横になりましたが、目を覚まして、眠気に負けないようにしていました。12時を打つと、何か空をバサバサという音をさせ、月の明かりで羽が金で輝いている鳥が来るのが見えました。 鳥は木に止まると、リンゴを1つとりました。そのとき若者は鳥めがけて矢を射ました。鳥は飛んで去りましたが、矢は羽にあたり、金の羽
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058
犬と雀
牧羊犬は、良い主人どころかろくにえさをくれない主人をもっていました。それで、もうそこにはいられなくなって、とてもしょんぼりと出ていきました。道ですずめに出会うと、すずめは、「犬の兄さん、どうしてそんなにしょげているんだい?」と言いました。犬は、「お腹がすいているに食べ物がなにもないんだ。」と答えました。するとすずめが、「兄さん、一緒に町においで。お腹をいっぱいにしてあげる。」と言いました。それで二人は連れ立って町に入って行きました。肉屋の前に来ると、すずめが犬に、「そこにいて。あんたに肉を一切れつついて落とすから。」と言いました。そうして売り台にとまり、誰も見ていないか確かめるために周りを見回し、端にある一切れを、しばらくつついたり引っ張ったりちぎったりして、とうとう滑り落としました。 すると、犬はそれをくわえてすみに走っていき食べました。すずめは、「さあ、一緒に別の店へ行こう、そうしたらお腹がいっぱいになるようにもう一切れとってあげるよ。」と言いました。犬が二切れ目も食べると、すずめは、「犬の兄さん、もうお腹いっぱいになった?」と尋ねました。「うん、肉はもう十分食べた。」と犬は答えま
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059
フリーダーとカーテルリースヒェン
昔、フレデリックという男とキャサリンという女がいました。二人は結婚して間もない若い夫婦でした。ある日、フレデリックは、「キャサリン、今日は畑を耕しにいくよ。戻ってきたら、腹が減ってるからなにか焼いた食べ物と喉の渇きをうるおすさわやかな飲み物を食卓に用意しておいてくれ。」と言いました。「いってらっしゃい、あなた、行っていいわ、ちゃんと用意しとくから。」とキャサリンは答えました。 それで食事時が近づいてきたとき、キャサリンは煙突から一本のソーセージをとってフライパンに入れ、バターを塗って火にかけました。ソーセージが焼けてジュージューいい出し、キャサリンはそのそばに立ってフライパンの柄を握っていましたが、そうしながら考え事をしていました。すると、(ソーセージをやっている間に地下室に行ってビールを注いで来れるわ)と思いつきました。そこでフライパンをしっかり火にかけると、ジョッキを持ってビールをとりに地下室に下りていきました。ビールがジョッキに入っていき、キャサリンはそれを見ていました。すると、(あれ、上の犬をつないでなかったわ。ソーセージをフライパンからとっていくかもしれない、よかった、思いつ
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060
二人兄弟
昔、二人の兄弟がいて、一人は金持ちで、もう一人は貧乏でした。金持ちは金細工師で心の悪い人でした。貧しい方はほうき作りをして生計をたてていて、善良で心の清い人でした。この男には子供が二人いて、双子の兄弟で水の2滴のようにお互いにそっくりでした。二人の男の子は金持ちの家に出たり入ったりして、よく残り物をもらって食べていました。あるとき貧しい男がほうきの木をとりに森へ入って行こうとしていたとき、すっかり金色でこれまで出くわしたどの鳥より美しい鳥を見ました。小さな石を拾って投げて、うまく鳥に当たりましたが、1枚の金の羽根だけが落ちてきて、鳥は逃げてしまいました。男は羽根をとって兄のところへもっていきました。兄はそれを見て、「純金だ。」と言って、羽根と交換してたくさんのお金をくれました。次の日、男は樺の木に登り2,3本枝を切り取ろうとしたとき、同じ鳥が飛んで出てきました。それで男が探すと巣があり、中に1個の金でできた卵がありました。男は卵を持ち帰り、兄のところへ持っていきました。兄は今度も「純金だ。」と言って、その卵に相当する金額をくれました。最後に金細工師は「本当に、鳥そのものが欲しいなあ。」
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