グリム兄弟のほとんどテイルズ

グリム兄弟 (ページ 2)

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手なしむすめ

手なしむすめ昔、ある粉屋が住んでいましたが、だんだん貧しくなっていき、とうとう風車小屋とその後ろにある大きなりんごの木以外何もなくなりました。あるとき、森へ木を取りに行くと、会ったことのない老人が近づいてきました。「どうして苦しんで木を切るんだい?お前を金持ちにしてやろう、風車小屋の後ろに立っているものをくれると約束してくれたらね。」と言いました。 粉屋は「それっていったい何だろう?ーああ、りんごの木か」と思い、「いいよ」と答え、その見知らぬ人に約束を書いて渡しました。しかし、その男はニヤニヤしながら、「3年経ったら、自分のものをとりにくるから」と言うと行ってしまいました。粉屋がうちに帰ると、妻が出迎えて「ねえ、あなた、このお金は急にどこから家の中に入ったのかしら?あっという間にどの箱も引き出しもいっぱいなのよ。誰も運んでこなかったし。どうしてこうなったかわからないわ。」と言いました。「森で会った知らない人が、大きな財産をくれると約束してくれたんだよ。おれは、お返しに、風車小屋の後ろに立っているものをあげると約束したんだよ。-大きなりんごの木をあげても全然構わないもんな。」と粉屋は言いました。妻は怯えて「まあ、あなた、それは悪魔だったにちがいありませんよ。りんごの木のことじゃなくて、娘のことを言ってたんですよ、娘は庭を掃いて風車小屋の後ろに立っていたんです。」と言いました。 粉屋の娘は美しく信メルヘン 読む →
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知恵者エルゼ

知恵者エルゼ昔、賢いエルシーと呼ばれた娘がいる男がいました。娘が大人になったとき、父親が「娘を結婚させよう」と言い、母親は「ええ、もらってくれるだれか来てくれるといいんですが」といいました。とうとう一人の男が遠くからやってきて、妻にほしいと申し込みましたが、男はハンスと言い、賢いエルシーが本当に頭がよくなければいけないという条件をつけました。「ああ」と父親は言いました。「娘にはたくさん分別がありますよ。」そして母親は、「まあ、あの子は風が通りを吹いてくるのが見えるし、ハエが咳き込んでいるのがきこえますよ。」と言いました。 「なるほど」とハンスは言いました。「もし本当に頭がよくなければ、もらいませんよ。」みんなが夕食の席について食べ終わったとき、母親が、「エルシー、地下室へ行ってビールをとっておいで」と言いました。すると、賢いエルシーは壁からジョッキをとり、地下室へ入って、退屈しのぎにふたをパパパッとたたきながら歩いていきました。下に下りると、椅子をもってきて、かがんで腰が痛くなったり思わぬ怪我をしないために、樽の前に置きました。それから自分の前にジョッキを置き、樽の栓を回しました。ビールが樽から出ている間、エルシーは目を遊ばせておかないで壁を見上げました。あちらこちら眺めまわした後、ちょうど自分の頭の上に、職人がうっかり置き忘れたつるはしが見えました。 すると賢いエルシーは泣きだして、「ハンスメルヘン 読む →
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奇妙な音楽家

奇妙な音楽家昔、不思議な音楽家がいました。この音楽家が、まったく一人で森を通っていろいろなことを考えていましたが、何も考えることが残ってなくなった時、(この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。いい連れを見つけよう。)と思いました。それから、背中からバイオリンをとり、ひくと、音が木々の間にこだましました。まもなく一匹の狼が茂みから駆けてきました。「ああ、狼が来るよ。狼は欲しくないな。」と音楽家は言いましたが、狼は近づいて来て、「ああ、音楽家さん、なんてきれいにひくんでしょう。私もそれを習いたいです。」と言いました。「すぐに習えるよ。」音楽家は言いました。「私がいいつける何でもやりさえすればいいんだ。」「まあ、音楽家さん、生徒が先生に従うように、私はあなたに従います。」と狼は言いました。音楽家は狼についてくるように言いました。しばらく道を進んだ時、中にうろがあり真ん中が割れている古い樫の木のところに来ました。「見ろよ、バイオリンを習うなら、前足をこの割れ目に入れろ。」と音楽家は言いました。狼は従いました。しかし、音楽家は素早く石を拾い、ひとうちであっというまに二本の前足をくさびのように押し込んだので、狼は囚われてそこにいるしかなくなりました。「私が戻るまでそこで待ってろ。」と音楽家は言って、道を進みました。 しばらくして、音楽家は、「この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。別の連れをこっちへ呼ぼうメルヘン 読む →
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二人兄弟

二人兄弟昔、二人の兄弟がいて、一人は金持ちで、もう一人は貧乏でした。金持ちは金細工師で心の悪い人でした。貧しい方はほうき作りをして生計をたてていて、善良で心の清い人でした。この男には子供が二人いて、双子の兄弟で水の2滴のようにお互いにそっくりでした。二人の男の子は金持ちの家に出たり入ったりして、よく残り物をもらって食べていました。あるとき貧しい男がほうきの木をとりに森へ入って行こうとしていたとき、すっかり金色でこれまで出くわしたどの鳥より美しい鳥を見ました。小さな石を拾って投げて、うまく鳥に当たりましたが、1枚の金の羽根だけが落ちてきて、鳥は逃げてしまいました。男は羽根をとって兄のところへもっていきました。兄はそれを見て、「純金だ。」と言って、羽根と交換してたくさんのお金をくれました。次の日、男は樺の木に登り2,3本枝を切り取ろうとしたとき、同じ鳥が飛んで出てきました。それで男が探すと巣があり、中に1個の金でできた卵がありました。男は卵を持ち帰り、兄のところへ持っていきました。兄は今度も「純金だ。」と言って、その卵に相当する金額をくれました。最後に金細工師は「本当に、鳥そのものが欲しいなあ。」と言いました。貧しい男は3回目に森へ入って行き、また金の鳥が木に止まっているのを見ました。それで石をとって鳥を打ち落として、兄のところへ持って行きました。兄はそれと交換に山盛りの金をくれました。男は、メルヘン 読む →
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ホレのおばさん

ホレのおばさん昔、娘が二人いる後家が住んでいて、娘の1人はきれいで勤勉でしたが、もう1人は醜く怠け者でした。しかし、醜く怠け者の方を、自分の本当の娘なので、はるかにかわいがりました。もう1人は、継子なので、仕事を全部させられ、その家のシンデレラになるしかありませんでした。毎日、可哀そうな娘は道の井戸のそばに座り、指が出血するまで糸を紡ぎに紡いでいました。ある日のことでした。杼(ひ)に血がついたので、そのしみを洗い流そうと井戸の水に浸しました。ところが、手からすべって井戸の底に落ちてしまいました。泣き出して継母のところへ走り、不幸な出来事のことを話しました。 しかし、継母は厳しく叱り、「自分で杼を落としたのだから、自分でとりださなくちゃだめ。」と無慈悲に言うのでした。それで娘は井戸に戻りましたがどうしたらよいかわかりません。悲しい心で、杼を取りに井戸に飛び込み、気を失いました。そして、目を覚まし意識を取り戻すと、太陽が輝き何千もの花が生えているきれいな草原の中にいました。この草原を通っていって、とうとうパンがいっぱい入っているパン焼き釜に着きました。パンは「出して!ああ、出してよ!出して!こげちゃうよ。ずっと前にやけてるんだよ。」と叫んでいるので、近づいてパン用シャベルで次々とパンをとりだしました。 そのあと、また歩いていくと、りんごがいっぱい成っている木に着きました。りんごが「揺らして、揺らしてメルヘン 読む →
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歌う骨

歌う骨昔、ある国で、農地を荒らし、家畜を殺し、牙で人の体を引き裂くイノシシがいて、人々は大いに嘆いておりました。王様は、この悩みの種を国からなくしてくれる者に沢山のほうびをとらすと約束しました。しかし、その獣はとても大きくて強いので、誰もあえてそれが住んでいる森に近づこうとはしませんでした。とうとう王様は、そのイノシシをつかまえるか殺した誰でも自分の一人娘を妻にできるとお触れを出しました。 さて、その国に、貧しい男の息子の二人兄弟が住んでいました。兄はずる賢く抜け目がないのでうぬぼれから、弟は素朴で真面目なので親切心から、この危険な仕事を喜んでひきうけると名乗りを上げました。王様は「もっと確実に獣を見つけるためには、二人は森へ反対側からはいらねばならない。」と言いました。それで兄は西側から、弟は東側から入りました。弟が少し行くと、小人が彼に近づいてきました。彼は手に黒いヤリを持ち、「お前の心は純粋でよいからこのヤリをあげよう。このヤリでお前は堂々とイノシシを攻撃できる、そしてそれはお前に危害を加えないのだ。」と言いました。弟はその小人に礼を言い、ヤリを肩にかけると、恐れることなく進んでいきました。 まもなく、その獣がみえました。弟をめがけて突進してきましたが、しかし、ヤリをそちらにむけて構えていて、イノシシはやみくもな激しさでヤリに突進したので心臓が二つに割れてしまいました。それからそのメルヘン 読む →
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青いランプ

青いランプ昔、ある兵士がいました。長年忠実に王様に仕えてきましたが、戦争が終わると、受けたたくさんの傷のためもう仕えることができなくなりました。王様は兵士に、「家に帰ってよろしい。もうお前は必要ない。金ももうやらんぞ。給金は見合う働きをした者だけ受けるのだからな。」と言いました。それで兵士はどうやって暮らしをたてたらよいのかわからず、大いに困って立ち去り、一日中歩き、とうとう夕方には森に入りました。暗くなると明かりが見えて、近づいていくと、魔女が住んでいる家につきました。「どうか一晩泊めてください、それと少し食べ物と飲み物をください。」兵士は魔女に言いました、「そうしないと私は飢え死にしてしまいます。」「おや!」と魔女は答えました、「逃げてきた兵士に誰が食べ物をやるかね?だけどまあ、かわいそうだから、私の望むことをやるなら、入れてやってもいいよ。」「何をして欲しいんですか?」と兵士は言いました。「明日、私の庭の周りをぐるりと掘って欲しいのさ。」兵士は承知し、次の日、力いっぱい働きましたが夕方までに終えることができませんでした。「十分よくわかるよ」魔女は言いました「今日はこれ以上やれないとね。だけど、あす積み荷のたきぎを切って、小さく割ってくれたらもう一晩おいてもいいよ。」兵士はそうするのにまる一日かかりました。そして夕方に魔女はまた一晩泊らないか、と言いました。「明日はほんのちょっとした仕事メルヘン 読む →
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黄金の鳥

黄金の鳥昔、王様がいて、宮殿の裏に、金のリンゴが実る木がある美しい庭をもっていました。リンゴが熟してくると数がかぞえられましたが、その次の朝、1個がなくなっていました。このことが王様に報告され、王様は、毎晩木の下で見張りをするように、と命令しました。王様には三人の息子がいて、夜がくると長男を庭に送りましたが、真夜中になると、眠気を抑えられず、次の朝またりんごが1個なくなりました。 次の夜、次男が見張りをすることになりましたが、結果は兄と同じく、12時になると眠ってしまい、朝にはりんごが1個なくなっていました。いよいよ3男が見張りをする順番がきて、すっかりその気になっていましたが、王様はこの息子にあまり期待を持たないで、兄たちよりさらに役に立たないだろうと考えましたが、とうとう行かせました。若者は木の下に横になりましたが、目を覚まして、眠気に負けないようにしていました。12時を打つと、何か空をバサバサという音をさせ、月の明かりで羽が金で輝いている鳥が来るのが見えました。 鳥は木に止まると、リンゴを1つとりました。そのとき若者は鳥めがけて矢を射ました。鳥は飛んで去りましたが、矢は羽にあたり、金の羽の一枚が落ちてきました。若者はそれを拾い、次の朝王様のところに持って行って、夜に見たことを話しました。王様が相談役たちを呼び集めると、みんなが、このような羽は王国全部以上に価値がある、と言いました。もメルヘン 読む →
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12人兄弟

12人兄弟昔、一緒に幸せに暮らし、12人の子供がいる王様とお后様がいました。しかし子供たちはみんな男の子で、あるとき王様は「今度生まれてくる13人目の子供が女の子なら、その子の財産が大きくなって国がその子だけのものになるように、12人の男の子は殺そう。」と妻に言いました。王様は12個の棺まで作らせ、もうかんなくずも詰められて、それぞれに小さな死枕もありました。そしてその棺を錠をかけた部屋に持っていかせ、その鍵をお后に渡して、だれにもこのことを話さないようにと命じました。 しかし、母親は今や一日中座って嘆いていました。それでとうとう、いつも母親と一緒にいて、聖書からベンジャミンと名づけていた一番下の息子が、「お母様、どうしてそんなに悲しいの?」と訊きました。 「かわいい子よ、お前に言えないのだよ。」とお后は答えました。しかし、息子がしきりに聞くのでとうとうお后は行って部屋の鍵をはずし、かんなくずが詰められ準備ができている12個の棺を見せました。それから、「かわいいベンジャミンや、お前の父はこれらの棺をお前とお前の兄たちのために作らせたのだよ。それも、私が女の子を産んだら、お前たちはみんな殺されこの棺に埋められることになっているの。」と言いました。こう言っている間も泣いているので、息子は慰めて、「泣かないで、お母様、僕たちは助かってここを出て行くよ。」と言いました。しかしお后は「11人の兄たちとメルヘン 読む →
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つぐみの髭の王さま

つぐみの髭の王さまある王様に、はかり知れないほど美しい娘がいました。けれどとても高慢でその上横柄なので、どの求婚者も娘の気にいらなくて、求婚者を次々と追い返し、意地悪く笑い者にもしました。 あるとき、王様は大宴会を開き、そこへ遠近から結婚の相手となりそうな若者を招きました。若者たちは身分と地位に従って全員一列に整列させられました。最初は王様で、次は公爵、次は王子、伯爵、男爵、紳士階級がきました。それから王様の娘はそれぞれの身分の人の間を案内されましたが、どの人にもなにか異議を唱えました。一人は太りすぎていて、「酒樽ね」、背が高すぎると「やせでのっぽ、まるで役立たずね。」3人目は背が低すぎて「ちびのでぶはのろまよ。」、4人目は顔色が悪過ぎて「死神みたいね。」、5人目は顔が赤過ぎて、「見事なおんどりね。」、6人目は体が真直ぐでないので、「ストーブの後ろの乾かされた生木。」と言いました。 そんなふうに娘は一人ひとりに何か文句をつけましたが、列のかなり高い地位にいたりっぱな王様には特にはしゃいで、あごがすこし曲がっていたので、「ほら見て、つぐみのくちばしみたいなあごをしているわ。」と叫んで笑いました。その時からこの人はつぐみひげの王様の名前をもらいました。 しかし年とった王様は、娘が人々をあざ笑う以外何もしないで、そこに集まった求婚者みんなをばかにしたのを見ると、とても怒って、戸口に来た最初の乞食を娘の夫にメルヘン 読む →
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賢い百姓娘

賢い百姓娘昔、貧しい百姓がいました。土地がなく、たった小さな家と一人の娘しかありませんでした。それで、娘は、「王様に新しく切り開いた土地を少しもらうべきだわ。」と言いました。王様はこの親子が貧しいのを聞くと、一区切りの土地を贈りました。その土地を娘と父親は掘り起こし、少しの麦とその種の穀物を播こうとしていました。畑のほぼ全体を掘った時、純金でできているすり鉢を見つけました。「なあ、王様がとても親切にしてくれてこの畑をくださったのだから、お返しにこのすりばちをさしあげるべきだよ。」と父親は娘に言いました。ところが娘はこれに賛成しようとしませんでした。「お父さん、すりこぎも一緒に持たないですり鉢をもっていけば、すりこぎも手に入れさせられるわ。だからそのことは何も言わない方がいいわよ。」しかし、父親は娘の言うことをきかないで、すり鉢を持って王様のところに行き、切り開いた土地の中にこれを見つけました、贈り物としてお収めいただけるでしょうか、と言いました。王様はすり鉢を手にとり、そばに何も見つけなかったか?と尋ねました。はい、と百姓は答えました。 すると王様は、今度はすりこぎを持ってこなくてはならんな、と言いました。百姓は、すりこぎはみつからなかった、と言いましたが、風に話しているようなもので、牢屋に入れられ、すりこぎを出すまではそこにいることになりました。家来たちは毎日百姓にパンと水を、それが牢屋にメルヘン 読む →
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おいしいお粥

おいしいお粥母親と二人だけで暮らしている、貧しいけれど心のやさしい女の子がいました。二人にはもう食べるものがなくなったので、子供は森へ入って行き、そこでおばあさんと出会いました。おばあさんは子供の悲しみを知って、ちいさな壺をあげました。その壺は「煮て、壺よ、煮て」と言えば、良いおいしいおかゆを作り、「止まって、壺よ、止まって」と言えば作るのをやめるのです。女の子はそのつぼを母親のところに持って帰り、もう貧乏と空腹から救われ、好きなだけおいしいおかゆを食べました。 女の子がでかけていたあるとき、母親は「煮て、壺よ、煮て」と言いました。それで壺は煮て、母親は満腹するまで食べました。それで壺に作るのを止めて欲しかったのですが、言葉を知りませんでした。それで壺はどんどん作り続け、おかゆがふちをこえてあふれてきました。それでも作り続け、台所と家中がいっぱいになりました。それから、隣の家が、それから通りが、いっぱいになり、まるで世界中の空腹を満たしたいかのようでした。とても困りましたが、だれも壺の止め方を知りませんでした。 とうとうただ一つの家が残ったとき、子供が帰ってきて、「止まって、壺よ、止まって」と言いました。それで壺は止まって作るのを止めました。町へ戻りたい人はみんな帰り道を食べて帰らなくてはなりませんでした。メルヘン 読む →
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がちょう番の女

がちょう番の女昔、何年も前に夫を亡くした年とったお后がいました。お后には美しい娘がいて、大きくなるとはるか遠くに住む王子と婚約しました。王女が結婚する時期が来て、遠い国へ旅立たねばなりませんでした。年とったお后は、娘のために多くの金銀の豪華な器、これもまた金銀の装飾品、杯や宝石など王家の嫁入りにふさわしいあらゆる品々を荷造りしました。というのはお后は子供を心から愛していたからです。 お后は侍女もつけてやりました。侍女は王女と一緒に馬ででかけ、花婿に王女を引き渡すことになっていました。旅するための馬がそれぞれありましたが、王様の娘の馬はファラダといい、話すことができました。それで別れの時が来て、年とった母親は寝室に入り、小刀をとって指を切り、血を出しました。それから白いハンカチをもって、そこに三滴の血を落とし、それを娘に渡して、「娘よ、これを大事に持っているのですよ。途中で役にたつでしょうから。」と言いました。 そこで、二人はお互いに悲しい別れを告げ、王女は胸にハンカチをしまい、馬に乗って、花婿のところへでかけました。しばらく行ったあと、王女はやけつくように喉が渇き、侍女に、「馬を降りて、お前がもってきた私の杯をとっておくれ。」と言いました。侍女は、「自分で馬を降りて、腹ばいになって川の水を飲みなさいよ。私はあなたの女中になる気はないの。」と言いました。 それで、とても喉が渇いていたので王女は馬をメルヘン 読む →
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千匹皮

千匹皮昔、金色の髪の妻がいる王様がいました。お后はとても美しく、この世で同じくらい美しい人はみつかりませんでした。あるとき、お后は病気になって、もうすぐ死ぬにちがいないと感じたので、王様を呼び、「私が死んだあともう一度結婚したいなら、私と同じくらいきれいでない人、私のような金色の髪をしていない人はやめてくださいね。あなたはこのことを約束してくれないといけないわ。」と言いました。王様がそれを約束すると、お后は目を閉じ亡くなりました。 長い間、王様は心がいやされなくて、別の妻をもらうことを考えもしませんでした。ついに相談役たちが、「こうしていられないよ。私たちにお后がいるためには王様はもう一度結婚しなくてはいけない。」と言いました。そうして、亡くなったお后と同じくらい美しい花嫁を探しに、使者がはるばる遠くまで送られました。しかし、世界中どこを探しても誰も見つかりませんでした。また、たとえ見つかったとしても、あのような金色の髪をした人はだれもいなかったでしょう。それで使者たちは手ぶらで帰ってきました。 さて、王様には娘が一人いました。その娘は亡くなった母親と全く同じくらいきれいで、同じ金色の髪をしていました。娘が大きくなったとき、ある日、王様は娘を見て、なにからなにまで娘は亡くなった后に似ているとわかり、急に激しい愛を感じました。それで王様は相談役たちに「私は娘と結婚する。というのは娘は亡くなメルヘン 読む →
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白蛇

白蛇昔、知恵があることで国中に評判の王様が住んでいました。王様が知らないことは何もなく、まるで最も秘密なことがらが空中から王様に伝わってくるかのようでした。しかし、王様には奇妙な習慣があり、毎日夕食後、食卓が片付けられ誰もいなくなると、信頼のおける家来がもう一つ料理を持ってこなければならないのでした。しかしその料理はふたをされ、その家来ですら中に何が入っているのか知りませんでした。また他の誰も知りませんでした、というのは王様は全く一人きりになるまでそれを食べるために決してふたをとらなかったからです。 この習慣が暫く続いたある日、家来は、料理を運んでいて、どうしても好奇心をおさえきれなくなって自分の部屋に料理を運びました。用心深くドアに鍵をかけたあと、ふたを持ち上げてみると、皿の上に一匹白い蛇がのっていました。しかし、家来は、その蛇を見ると、食べて味わってみたい気持ちをおさえられず、小さい一切れを切りとって口に入れました。その切り身が舌に触れるや否や、窓の外から小さい声の奇妙なささやきが聞こえてきました。行って耳をかたむけると、スズメがぺちゃくちゃ野や森で見たあらゆることについて話し合っているのでした。蛇を食べたことで動物の言葉を理解する力がついたのでした。 偶然にも、まさにこの日、お妃さまがもっとも美しい指輪を失くして、この家来はどこへ行くことも許されていたので、泥棒の疑いがかかりましメルヘン 読む →
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ヨリンデとヨリンゲル

ヨリンデとヨリンゲル昔、大きなうっそうとした森の真ん中に古い城があり、そこには魔女のばあさんがひとりっきりですんでいました。ばあさんは昼は猫やふくろうに変身しましたが、日が暮れるとまたふつうの人間の姿になりました。また、けものや鳥をおびき寄せ、殺して煮たり焼いたりしました。城から百歩内に入った人は、立ち止まったきり、ばあさんが魔法を解くまでその場から動けなくなりました。しかし、けがれのない娘がこの範囲に入ると、ばあさんはその娘を鳥に変え、柳の鳥かごに閉じ込め、城の部屋に運び込みました。城の中には珍しい鳥のかごが七千ほどありました。 さて、あるとき、ヨリンデという娘がいて、他のどの娘よりもきれいでした。ヨリンデとヨリンゲルというハンサムな若者は結婚の約束をしていました。二人はまだいいなずけの日々を過ごし、一緒にいることが一番の幸せでした。ある日、静かに語り合うために二人は森へ散歩にいきました。「気をつけて」とヨリンゲルは言いました。「城に近づきすぎないように。」美しい夕方でした。太陽が木々の幹の間から暗い森の緑に明るく射し込み、キジバトがブナの木の上でもの悲しく鳴いていました。ヨリンデは時々泣き、日なたに腰を下ろすと切なそうにしていました。ヨリンゲルも悲しく、二人は今にも死ぬかと思うくらい切なかったのです。そのとき二人は周りを見回して、すっかり途方にくれました。というのは家に帰る道がわからなかったからでメルヘン 読む →
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三枚の鳥の羽

三枚の鳥の羽昔息子が三人いる王様がいました。息子の二人は利口で賢かったのですが、三番目の息子はあまり喋らず、間が抜けていたので抜け作と呼ばれていました。王様は年とって体が弱くなり、死ぬ時のことを考えていると、どの息子にあとを継がせたらよいのかわかりませんでした。それで、三人に、「出かけていって、一番美しいじゅうたんを持ち帰った者をわしが死んだあと王様とするぞ。」と言いました。 そして三人の間で争いがあってはいけないので、王様は城の外に三人を連れていき、三枚の羽根を空中に吹き飛ばして、「飛んでいく方に行け。」と言いました。一枚の羽根は東に、もう一枚は西に飛んでいきましたが、三枚目はまっすぐ上に飛んで遠くへ行かず、まもなく地面に落ちました。 そうして一人の兄は右へ、もう一人の兄は左へ行き、二人は、三番目の羽根が落ちたところにいるしかなくなった抜け作をあざ笑いました。抜け作は座りこんでしょげていました。するとふいに、羽根のすぐそばに揚げ戸があるのに気づきました。その戸を上げると、階段がいくつかあり、抜け作は降りていきました。するとまた戸があったので、それをたたくと、中で誰かが呼んでるのが聞こえました。「小さな緑の女中や、跳ね脚の女中や、跳ね脚の小犬や、ぴょんぴょん跳ねて、誰がいるか見ておいで」 戸が開くと、大きな太ったヒキガエルが座っていて、周りに小さなひきがえるがたくさんいるのが見えました。太ったメルヘン 読む →
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トゥルーデおばさん

トゥルーデおばさん昔、分からず屋で詮索好きな女の子がいました。両親が何かするように言ってもいうことをききませんでした。ですから、どうやってうまくやれるでしょうか。 ある日、その子は両親に言いました。「トルーデおばさんの噂をたくさん聞いたことがあるわ。いつかその人のところへ行ってみよう。その人のいろんなことが変わってて、家の中にはとても変なものがあるっていうから、とても知りたくなったわ。」両親は断固として禁じて、「トルーデおばさんは悪い人だよ、わるいことをするんだ。もしお前が行くなら、もう家の子じゃないよ。」と言いました。 しかし娘は両親の禁止に耳をかさず、やはりトルーデおばさんのところに行きました。娘がやってくるとトルーデおばさんが聞きました。「おまえは、どうしてそんなに青い顏をしているんだい?」 娘はからだ全体をふるわせながら、答えました。「見たものがとてもこわくって。おばさんの家の階段で、まっ黒な人を見たのよ」「それは、炭を焼く男さ」「それから、緑の男も見たわ」「それは、狩人だよ」「そのあとに、血みたいにまっ赤な男に会ったわ」「それは、獣を殺す男だよ」「ああ、怖かったわ、トルーデおばさん。家のまどから見たら、あなたではなくって、本当にそう思うんだけど、頭が火で燃えている悪魔が見えたの」「ほおー!じゃあ、おまえはちゃんとした衣装の魔女を見たんだね。わたしはおまえをずっと待っていたんだ。もう長い間おメルヘン 読む →
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マレーン姫

マレーン姫昔、息子が一人いる王様がいました。その息子が強大な王様の娘に結婚を申し込みました。娘はマレーン姫といい、とても美しい人でした。その王子は、父親が娘を別の人に嫁がせたかったので、断られましたが、二人はお互いを心から愛していたので、あきらめようとしませんでした。マレーン姫は父親に、「私は他の方は夫にしませんし、できません。」と言いました。それで王様は怒って、日の光や月の光が入らない暗い塔を建てるよう命令し、塔ができあがると、「そこにお前を7年間閉じ込めておくぞ。その時、お前のつむじ曲がりが直ったかどうか見にくるとしよう。」と言いました。 7年間の食べ物と飲み物が塔に運び込まれ、そのあと王女と侍女が塔に連れ込まれ壁がふさがれて、天と地から切り離されました。二人はそこで暗闇の中に座り、いつ昼や夜が始まったかわかりませんでした。王様の息子はたびたび塔をぐるぐる回り、二人の名前を呼びましたが、外からの音は厚い壁をつらぬきませんでした。二人に嘆き悲しみ泣きごとを言う他にいったい何ができたでしょう。 やがて時が経ち、食べ物と飲み物が少なくなってきたので、二人は7年が終わりにきているとわかりました。解き放たれる時がきたと思いましたが、槌の音も聞こえなければ壁から石も落ちなくて、マレーン姫には父親が自分を忘れてしまったように思われました。二人にはあと少しの間だけの食べ物があるだけで、惨めな死が待ち構えメルヘン 読む →
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狼と狐

狼と狐狼は狐を従えていました。狼が望んだことは何でも狐はやらされました。というのは狐の方が弱かったからで、できれば主人と喜んでおさらばしていたでしょう。あるとき二人が森を通っていたとき、狼が、「赤狐、何か食べ物をとってこい、でないとお前自身を食っちまうぞ」と言いました。狐は「2匹の子羊がいる農家の庭を知っています。もしよろしければ1匹とりましょう。」と答えました。狼はそれがいいと思い、二人でそこへ行きました。そして狐は子羊を盗み、狼のところへ持っていき、行ってしまいました。狼はがつがつ子羊を食いましたが、一匹では満足しませんでした。それでもう1匹も欲しくなり、それを手に入れるためでかけました。 しかし狼はやるのがとても下手くそだったので、子羊の母が聞きつけ、激しく叫びたてメエメエなくので、農夫たちがそこへ走ってきました。そして狼を見つけ、とても情け容赦なくぶったので、狼は足を引きずり、うめきながら、狐のところへ行きました。「お前はおれをうまくだましやがったな。もう1匹の子羊も欲しかったのに、農夫たちが急にやってきて、おれをめちゃくちゃにぶちやがった。」と狼は言いました。狐は「どうしてあなたはそんな食いしん坊なんですか?」と言いました。 次の日、二人はまた田舎に行きました。食い意地のはってる狼は、もう一度「赤狐、何か食べ物をとってこい、でないとお前自身を食っちまうぞ」と言いました。すると狐メルヘン 読む →
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踊ってすりきれた靴

踊ってすりきれた靴昔、どの娘も他の娘におとらないくらい美しい12人の娘がいる王様がいました。娘たちはみなベッドが並んでいる一つの部屋で一緒に眠っていました。そして娘たちがベッドに入ると王様は戸に鍵をかけかんぬきをしました。しかし、朝に戸の鍵をはずすと、王様は娘たちの靴が踊りですりきれているのがわかり、だれもどうしてそうなるのか発見できませんでした。それで、王様は、娘たちが夜どこで踊っているのか発見した者には娘の一人を妻に選ばせ、自分の死後王にする、但し、申し出て3日3晩のうちに発見できなかったものは命を差し出さねばならない、というお触れを出しました。 まもなく一人の王子が出て、この企てを引き受けると申し出ました。王子は暖かく迎えられ、夜には王女たちの寝室の隣の部屋に案内されました。王子のベッドはそこにおかれ、娘たちがどこへ行っておどるのか見ることになっていました。そしてこっそりと何かしたり他の場所に行かないように娘たちの部屋の戸は開けておかれました。しかし、王子のまぶたは鉛のように重くなり、眠ってしまいました。そして朝目覚めてみると、12人の娘はみな踊りに行ってきていました。というのは靴の底に穴があいていたからです。2日目と3日目の夜も違いがなく、それで王子の頭は情け容赦なくうちおとされました。 このあと他にもたくさんの人が来て、その企てを引き受けましたが、全員が命を落としました。さて、怪我をしてもメルヘン 読む →
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ガラス瓶の中の化け物

ガラス瓶の中の化け物昔、朝早くから夜遅くまで精を出して働く貧しい木こりがいました。やっといくらかお金を貯めたとき木こりは息子に、「お前はおれのたった一人の子供だ。おれは汗水流して稼いだ金をお前の教育に使うよ。お前がなにかまともな仕事を覚えれば、おれが年とって、手足がこわばり、家にいなければならなくなったとき、養うことができるよな。」と言いました。 そこで男の子は高校へ入り、熱心に学んだので教師たちは誉め、男の子は長い間そこにいました。2年終えたけれどまだ全部覚えきったわけではなかったとき、父親が稼いだ少しのお金が使い果たされてしまい、男の子は父親のところへ戻るしかなくなりました。 「あ~あ、もうお前にあげられない。この厳しい時世では毎日のパンを買うのに十分なだけで、それ以上は一ファージングも稼げないんだ。」と父親は悲しそうに言いました。「おとうさん」と息子は答えました。「そんなこと心配しないで。もしそれが神様のおぼしめしなら、将来ぼくの役にたつようになるんだよ。僕は早くそれに慣れようと思うよ。」父親が木を切って束ねる手伝いでお金を稼ごうと森へでかけようとすると、息子が「僕も一緒に行って手伝うよ。」と言いました。「だめだよ、お前」と父親は言いました。「お前には難しいだろうよ。お前は荒仕事には慣れていない、だから耐えられないだろう。それに、斧が一丁しかないし、もう一丁買う金も残ってないよ。」「いいから隣にメルヘン 読む →
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コルベスさま

コルベスさま昔、おんどりとめんどりがいて、一緒に旅をしようと思いました。それでおんどりは、四つの赤い車輪がついている美しい車を作り、それに四匹のネズミをつなぎました。めんどりがおんどりと一緒にその車に乗り、一緒に出かけました。まもなく猫に会い、猫は、「どこに行くの?」と言いました。おんどりが、「コルベスさまの家にいくところだ。」と答えました。「一緒に連れてってよ。」と猫が言いました。おんどりは、「いいとも。後ろに乗って。前だと落ちるかもしれないから。赤い車輪を汚さないように気をつけてね。車輪たちや、転がれ。ネズミたちや、チューチュー鳴け。僕たちはコルベスさまの家へいくところ。」 このあと、石臼が来て、それから卵が、それからあひるが、それから留針が、最後に針が来て、みんな車に乗り、一緒に行きました。ところが、コルベスさまの家に着くと、コルベスさまは留守でした。ネズミたちは車を納屋に入れ、めんどりはおんどりと一緒に止まり木に飛び、猫は暖炉のそばに座り、あひるは井戸の柱の上に座りました。卵はタオルの中へ転がって入り、留針は椅子のクッションに刺さり、針はベッドに飛び乗り枕の真ん中に刺さり、石臼は戸の上に寝ころびました。 それからコルベスさまが帰ってきて、暖炉のところに行き、火をつけようとしたら、猫がコルベスさまの顔に灰を投げつけました。コルベスさまはその灰を洗い落とそうと大急ぎで台所へ走っていきましたメルヘン 読む →
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幸せハンス

幸せハンスハンスは主人に七年仕えました。それで主人に「だんなさま、年季が明けました。もうくにの母のところに帰りたいんです。お手当をください。」と言いました。主人は「お前はかげひなたなくよく働いてくれた。それだけちゃんと手当てもはずむぞ。」と答えて、ハンスに頭と同じくらい大きい金の塊を渡しました。ハンスはポケットからハンカチを引っ張り出し、その塊を包んで肩にかけ、故郷に帰りはじめました。 足を交互に出しながら進んでいくと、馬に乗った人が目にとまりました。元気のよい馬に乗って速く楽しそうに走っていくのです。「いいなあ!」とハンスは大声で言いました。「馬で行くってなんていいんだろう。椅子に座っているようにして、石につまずかないし、靴は擦り減らないし、それで知らないうちに先へ進むんだもんなあ。」馬の乗り手はその声が聞こえて止まり、「やあ、ハンス、じゃどうして歩いているんだい?」とさけびました。「歩かなくちゃいけないんですよ。」とハンスは答えました。「この塊を家に持って行くもんでね。確かに金なんだけど、このせいで頭をまっすぐにあげられないし、肩は痛いし。」「なあ」と乗り手が言いました。「取り変えようか。お前に馬をやろう、お前はその塊を私にくれよ。」「喜んで」とハンスは言いました。「だけど言っておきますよ、あんたはこの塊を這いつくばって運ばなくちゃなりませんよ。」乗り手は降りて金を受け取り、ハンスを馬にメルヘン 読む →
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勇ましいちびの仕立て屋

勇ましいちびの仕立て屋ある夏の朝、小さな仕立て屋は窓のそばの仕事台に座って、機嫌がよく一生懸命縫っていました。すると、下の通りをお百姓の女が、「いいジャムだよ、安いよ、いいジャムだよ、安いよ」と叫んで来ました。これは仕立て屋の耳に心地よく聞こえました。仕立て屋はきゃしゃな頭を窓から伸ばし、「ここへ来てよ、おばさん、ここで品物が売れるよ。」と呼びました。女は重いかごを持って3段あがって仕立て屋のところに来ました。そして仕立て屋は女につぼを全部広げさせ、全部を調べ、持ち上げ、鼻で匂いを嗅ぎ、やっと、「おばさん、そのジャムはおいしそうだ。だから4オンス測ってくれ。四分の一ポンドでも構わないよ。」と言いました。 たくさん売れると思っていた女は、仕立て屋が望んだものを渡しましたが、ぷんぷん怒ってぶつくさ言いながら立ち去りました。「さて、このジャムを神様が祝福してくださいますように」と小さな仕立て屋は叫びました。「そして食べた私に健康と力を与えてくださいますように。」それで戸棚からパンを出し、ちょうど半分に切り、ジャムを塗りました。「これは苦くないだろう。」と仕立て屋は言いました。「だが食べる前に、上着を終わらせよう。」パンを近くに置いて、縫い続け、楽しくて、縫い目がだんだん大きくなりました。そのうちに甘いジャムの香りが壁に立ち昇り、そこにたくさんいたハエが匂いに惹かれて下りてきてパンにたかりました。「うわっ、誰がメルヘン 読む →