グリム兄弟のほとんどテイルズ

グリム兄弟 (ページ 2)

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知恵者エルゼ

知恵者エルゼ昔、賢いエルシーと呼ばれた娘がいる男がいました。娘が大人になったとき、父親が「娘を結婚させよう」と言い、母親は「ええ、もらってくれるだれか来てくれるといいんですが」といいました。とうとう一人の男が遠くからやってきて、妻にほしいと申し込みましたが、男はハンスと言い、賢いエルシーが本当に頭がよくなければいけないという条件をつけました。「ああ」と父親は言いました。「娘にはたくさん分別がありますよ。」そして母親は、「まあ、あの子は風が通りを吹いてくるのが見えるし、ハエが咳き込んでいるのがきこえますよ。」と言いました。 「なるほど」とハンスは言いました。「もし本当に頭がよくなければ、もらいませんよ。」みんなが夕食の席について食べ終わったとき、母親が、「エルシー、地下室へ行ってビールをとっておいで」と言いました。すると、賢いエルシーは壁からジョッキをとり、地下室へ入って、退屈しのぎにふたをパパパッとたたきながら歩いていきました。下に下りると、椅子をもってきて、かがんで腰が痛くなったり思わぬ怪我をしないために、樽の前に置きました。それから自分の前にジョッキを置き、樽の栓を回しました。ビールが樽から出ている間、エルシーは目を遊ばせておかないで壁を見上げました。あちらこちら眺めまわした後、ちょうど自分の頭の上に、職人がうっかり置き忘れたつるはしが見えました。 すると賢いエルシーは泣きだして、「ハンスメルヘン 読む →
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がちょう番の女

がちょう番の女昔、何年も前に夫を亡くした年とったお后がいました。お后には美しい娘がいて、大きくなるとはるか遠くに住む王子と婚約しました。王女が結婚する時期が来て、遠い国へ旅立たねばなりませんでした。年とったお后は、娘のために多くの金銀の豪華な器、これもまた金銀の装飾品、杯や宝石など王家の嫁入りにふさわしいあらゆる品々を荷造りしました。というのはお后は子供を心から愛していたからです。 お后は侍女もつけてやりました。侍女は王女と一緒に馬ででかけ、花婿に王女を引き渡すことになっていました。旅するための馬がそれぞれありましたが、王様の娘の馬はファラダといい、話すことができました。それで別れの時が来て、年とった母親は寝室に入り、小刀をとって指を切り、血を出しました。それから白いハンカチをもって、そこに三滴の血を落とし、それを娘に渡して、「娘よ、これを大事に持っているのですよ。途中で役にたつでしょうから。」と言いました。 そこで、二人はお互いに悲しい別れを告げ、王女は胸にハンカチをしまい、馬に乗って、花婿のところへでかけました。しばらく行ったあと、王女はやけつくように喉が渇き、侍女に、「馬を降りて、お前がもってきた私の杯をとっておくれ。」と言いました。侍女は、「自分で馬を降りて、腹ばいになって川の水を飲みなさいよ。私はあなたの女中になる気はないの。」と言いました。 それで、とても喉が渇いていたので王女は馬をメルヘン 読む →
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奇妙な音楽家

奇妙な音楽家昔、不思議な音楽家がいました。この音楽家が、まったく一人で森を通っていろいろなことを考えていましたが、何も考えることが残ってなくなった時、(この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。いい連れを見つけよう。)と思いました。それから、背中からバイオリンをとり、ひくと、音が木々の間にこだましました。まもなく一匹の狼が茂みから駆けてきました。「ああ、狼が来るよ。狼は欲しくないな。」と音楽家は言いましたが、狼は近づいて来て、「ああ、音楽家さん、なんてきれいにひくんでしょう。私もそれを習いたいです。」と言いました。「すぐに習えるよ。」音楽家は言いました。「私がいいつける何でもやりさえすればいいんだ。」「まあ、音楽家さん、生徒が先生に従うように、私はあなたに従います。」と狼は言いました。音楽家は狼についてくるように言いました。しばらく道を進んだ時、中にうろがあり真ん中が割れている古い樫の木のところに来ました。「見ろよ、バイオリンを習うなら、前足をこの割れ目に入れろ。」と音楽家は言いました。狼は従いました。しかし、音楽家は素早く石を拾い、ひとうちであっというまに二本の前足をくさびのように押し込んだので、狼は囚われてそこにいるしかなくなりました。「私が戻るまでそこで待ってろ。」と音楽家は言って、道を進みました。 しばらくして、音楽家は、「この森では時間の経つのがいやに遅いなあ。別の連れをこっちへ呼ぼうメルヘン 読む →
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兄と妹

兄と妹兄は妹の手をとり、「お母さんが亡くなってから僕たちは全然幸せじゃないね。義理のお母さんは毎日僕たちをぶって、近くへ寄ると足で蹴ったり。ごはんは残り物のパンくずだし。テーブルの下にいる犬の方がましな暮らしをしてるよ。だって、あの人は選んだご馳走をよく投げてやってるもの。ああ、お母さんが生きててくれればなあ。さあ、僕たちは広い世の中に出ていこう。」と言いました。 二人は草地や野原や岩地を越えて丸一日歩きました。そして雨が降ると妹は「天と私たちの心が一緒に泣いてる。」と言いました。夜になって大きな森に着きました。悲しみと空腹と長歩きのためとても疲れていたので木のほらに横になり、眠りました。次の日、太陽はすでに空高くのぼっていて、木の中を暑く照らしていました。それで兄は「妹よ、僕はのどがかわいた。小さな小川のことを知ってれば、行って水を飲むのだけど。水の流れる音が聞こえるような気がする。」と言いました。兄は立ち上がって妹の手をとりました。それから二人で小川を探しに出発しました。しかし意地が悪い継母は魔女でした。そして二人の子供たちが出ていく様子を見ていて、密かに、魔女が忍び寄るやり方で、あとをつけていて、森の小川に全部魔法をかけていたのでした。 さて、石に明るくはねている小川を見つけたとき、兄はそこから水を飲もうとしました。しかし妹は水が流れながら「ここから水を飲む者はトラになる。ここからメルヘン 読む →
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忠実なジョン

忠実なジョン昔、年老いた王様がいて、病気で「私は死の床に寝ているにちがいない」と考え、「フェイスフルジョンを呼べ。」と言いました。フェイスフルジョンは、生涯ずっと王様に誠実だったので、そのためそう呼ばれたのですが、お気に入りの家来でした。それで、ベッドのそばにくると王様は「最も忠実なジョンよ、私の終わりが近づいているようだ。息子を除いては何も心配はない。あれはまだ弱冠者で、必ずしも判断がつくわけではない。お前があれに知るべきことを全部教え、養い親になると約束してくれねば、わしは安らかに目を閉じることが出来ぬ。」と言いました。それでフェイスフルジョンは「王子様を見捨てません。命にかけても忠実にお仕えします。」と答えました。これを聞いて王様は「これで心安らかに死ねる。」と言い、「わしが死んだ後、息子に城じゅうを見せよ。全ての部屋、廊下、貯蔵庫、その中の宝全てをな。だが、長い通路の一番奥の部屋を見せてはならぬ。そこには黄金の城の王女の絵があるが、もしその絵を見れば、息子は激しい恋におち、失神して倒れ、彼女のために大きな危険を冒すだろう。ゆえに、お前は息子をそれから守らねばならぬ。」と付け加えました。そしてフェイスフルジョンが、年老いた王様にこれについても再び約束すると、王様はもう何も言わず、枕に頭をのせ、死にました。 老王が墓に運ばれてしまったとき、フェイスフルジョンは、若い王様に、死の床で父親に約メルヘン 読む →
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勇ましいちびの仕立て屋

勇ましいちびの仕立て屋ある夏の朝、小さな仕立て屋は窓のそばの仕事台に座って、機嫌がよく一生懸命縫っていました。すると、下の通りをお百姓の女が、「いいジャムだよ、安いよ、いいジャムだよ、安いよ」と叫んで来ました。これは仕立て屋の耳に心地よく聞こえました。仕立て屋はきゃしゃな頭を窓から伸ばし、「ここへ来てよ、おばさん、ここで品物が売れるよ。」と呼びました。女は重いかごを持って3段あがって仕立て屋のところに来ました。そして仕立て屋は女につぼを全部広げさせ、全部を調べ、持ち上げ、鼻で匂いを嗅ぎ、やっと、「おばさん、そのジャムはおいしそうだ。だから4オンス測ってくれ。四分の一ポンドでも構わないよ。」と言いました。 たくさん売れると思っていた女は、仕立て屋が望んだものを渡しましたが、ぷんぷん怒ってぶつくさ言いながら立ち去りました。「さて、このジャムを神様が祝福してくださいますように」と小さな仕立て屋は叫びました。「そして食べた私に健康と力を与えてくださいますように。」それで戸棚からパンを出し、ちょうど半分に切り、ジャムを塗りました。「これは苦くないだろう。」と仕立て屋は言いました。「だが食べる前に、上着を終わらせよう。」パンを近くに置いて、縫い続け、楽しくて、縫い目がだんだん大きくなりました。そのうちに甘いジャムの香りが壁に立ち昇り、そこにたくさんいたハエが匂いに惹かれて下りてきてパンにたかりました。「うわっ、誰がメルヘン 読む →
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二人兄弟

二人兄弟昔、二人の兄弟がいて、一人は金持ちで、もう一人は貧乏でした。金持ちは金細工師で心の悪い人でした。貧しい方はほうき作りをして生計をたてていて、善良で心の清い人でした。この男には子供が二人いて、双子の兄弟で水の2滴のようにお互いにそっくりでした。二人の男の子は金持ちの家に出たり入ったりして、よく残り物をもらって食べていました。あるとき貧しい男がほうきの木をとりに森へ入って行こうとしていたとき、すっかり金色でこれまで出くわしたどの鳥より美しい鳥を見ました。小さな石を拾って投げて、うまく鳥に当たりましたが、1枚の金の羽根だけが落ちてきて、鳥は逃げてしまいました。男は羽根をとって兄のところへもっていきました。兄はそれを見て、「純金だ。」と言って、羽根と交換してたくさんのお金をくれました。次の日、男は樺の木に登り2,3本枝を切り取ろうとしたとき、同じ鳥が飛んで出てきました。それで男が探すと巣があり、中に1個の金でできた卵がありました。男は卵を持ち帰り、兄のところへ持っていきました。兄は今度も「純金だ。」と言って、その卵に相当する金額をくれました。最後に金細工師は「本当に、鳥そのものが欲しいなあ。」と言いました。貧しい男は3回目に森へ入って行き、また金の鳥が木に止まっているのを見ました。それで石をとって鳥を打ち落として、兄のところへ持って行きました。兄はそれと交換に山盛りの金をくれました。男は、メルヘン 読む →
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青いランプ

青いランプ昔、ある兵士がいました。長年忠実に王様に仕えてきましたが、戦争が終わると、受けたたくさんの傷のためもう仕えることができなくなりました。王様は兵士に、「家に帰ってよろしい。もうお前は必要ない。金ももうやらんぞ。給金は見合う働きをした者だけ受けるのだからな。」と言いました。それで兵士はどうやって暮らしをたてたらよいのかわからず、大いに困って立ち去り、一日中歩き、とうとう夕方には森に入りました。暗くなると明かりが見えて、近づいていくと、魔女が住んでいる家につきました。「どうか一晩泊めてください、それと少し食べ物と飲み物をください。」兵士は魔女に言いました、「そうしないと私は飢え死にしてしまいます。」「おや!」と魔女は答えました、「逃げてきた兵士に誰が食べ物をやるかね?だけどまあ、かわいそうだから、私の望むことをやるなら、入れてやってもいいよ。」「何をして欲しいんですか?」と兵士は言いました。「明日、私の庭の周りをぐるりと掘って欲しいのさ。」兵士は承知し、次の日、力いっぱい働きましたが夕方までに終えることができませんでした。「十分よくわかるよ」魔女は言いました「今日はこれ以上やれないとね。だけど、あす積み荷のたきぎを切って、小さく割ってくれたらもう一晩おいてもいいよ。」兵士はそうするのにまる一日かかりました。そして夕方に魔女はまた一晩泊らないか、と言いました。「明日はほんのちょっとした仕事メルヘン 読む →
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命の水

命の水昔、病気の王様がいましたが、誰も王様がその病気から回復すると信じませんでした。王様には3人息子がいて、王様の病気を悲しんで宮廷の中庭に降りて行き、泣きました。そこへおじいさんが来て、なぜ悲しんでいるのか、と尋ねました。息子たちは、父親の病いが重く、どうにも治しようがないので死んでしまうだろう、と言いました。するとおじいさんは、「私はもうひとつの薬のことを知ってるよ。それは命の水だ。それを飲めばまた良くなるが見つけるのが難しいんだ。」と言いました。一番上の息子は、「なんとか見つけてみせる。」と言い、病気の王様のところへ行き、命の水を探しに行くことをお許しください、それだけがお父さんを救えるのですから、とお願いしました。「だめだ」と王様は言いました。「危険が大きすぎる、それよりむしろ私は死んだ方がましだ。」 しかしあまりしつこく頼むので、王様は了承しました。王子は心の中で、「僕が水を持ってくれば、お父さんに一番かわいがられ、国を継ぐことになる。」と考えました。それで王子は出発し、馬で少し行くと、道に小人が立っていて、王子に呼びかけ、「急いでどこへ行くんだい?」と言いました。「馬鹿なチビめ」と王子は、とても傲慢に言いました。「お前に関係ないだろ。」そして馬で進みました。しかし小人は怒って悪い願かけをしました。この後まもなく王子は渓谷に入りましたが、行けば行くほど山同士が近づいていき、とうメルヘン 読む →
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幸せハンス

幸せハンスハンスは主人に七年仕えました。それで主人に「だんなさま、年季が明けました。もうくにの母のところに帰りたいんです。お手当をください。」と言いました。主人は「お前はかげひなたなくよく働いてくれた。それだけちゃんと手当てもはずむぞ。」と答えて、ハンスに頭と同じくらい大きい金の塊を渡しました。ハンスはポケットからハンカチを引っ張り出し、その塊を包んで肩にかけ、故郷に帰りはじめました。 足を交互に出しながら進んでいくと、馬に乗った人が目にとまりました。元気のよい馬に乗って速く楽しそうに走っていくのです。「いいなあ!」とハンスは大声で言いました。「馬で行くってなんていいんだろう。椅子に座っているようにして、石につまずかないし、靴は擦り減らないし、それで知らないうちに先へ進むんだもんなあ。」馬の乗り手はその声が聞こえて止まり、「やあ、ハンス、じゃどうして歩いているんだい?」とさけびました。「歩かなくちゃいけないんですよ。」とハンスは答えました。「この塊を家に持って行くもんでね。確かに金なんだけど、このせいで頭をまっすぐにあげられないし、肩は痛いし。」「なあ」と乗り手が言いました。「取り変えようか。お前に馬をやろう、お前はその塊を私にくれよ。」「喜んで」とハンスは言いました。「だけど言っておきますよ、あんたはこの塊を這いつくばって運ばなくちゃなりませんよ。」乗り手は降りて金を受け取り、ハンスを馬にメルヘン 読む →
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マレーン姫

マレーン姫昔、息子が一人いる王様がいました。その息子が強大な王様の娘に結婚を申し込みました。娘はマレーン姫といい、とても美しい人でした。その王子は、父親が娘を別の人に嫁がせたかったので、断られましたが、二人はお互いを心から愛していたので、あきらめようとしませんでした。マレーン姫は父親に、「私は他の方は夫にしませんし、できません。」と言いました。それで王様は怒って、日の光や月の光が入らない暗い塔を建てるよう命令し、塔ができあがると、「そこにお前を7年間閉じ込めておくぞ。その時、お前のつむじ曲がりが直ったかどうか見にくるとしよう。」と言いました。 7年間の食べ物と飲み物が塔に運び込まれ、そのあと王女と侍女が塔に連れ込まれ壁がふさがれて、天と地から切り離されました。二人はそこで暗闇の中に座り、いつ昼や夜が始まったかわかりませんでした。王様の息子はたびたび塔をぐるぐる回り、二人の名前を呼びましたが、外からの音は厚い壁をつらぬきませんでした。二人に嘆き悲しみ泣きごとを言う他にいったい何ができたでしょう。 やがて時が経ち、食べ物と飲み物が少なくなってきたので、二人は7年が終わりにきているとわかりました。解き放たれる時がきたと思いましたが、槌の音も聞こえなければ壁から石も落ちなくて、マレーン姫には父親が自分を忘れてしまったように思われました。二人にはあと少しの間だけの食べ物があるだけで、惨めな死が待ち構えメルヘン 読む →
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こわがることをおぼえるために旅にでた若者

こわがることをおぼえるために旅にでた若者ある父親に息子が二人いました。兄は賢くて気が利き、何でも出来ましたが、弟はまぬけで、何も習い覚えないし何もわかりませんでした。人々は弟を見ると、「父親に厄介をかけそうなやつがいる。」と言いました。何かしなければならないことがあると、それをやらされるのはいつも兄でしたが、しかし、時間が遅いとか夜に、道が墓地や他の陰気な場所を通るときに、父親が何かとってくるようにいいつけると、「えっ、嫌だよ、お父さん、そこには行かないよ。ぞっとするもの。」と答えました。兄は怖かったからです。また、夜に暖炉のそばで気味の悪い話がされると、聞いている人たちが時々「ええっ、ぞっとするよ。」と言いました。弟はすみに座って、他の人たちと一緒に聞き、どういうことを言ってるのかわかりませんでした。「いつも『ぞっとする、ぞっとする、ぞっとしない』と言ってるな。それも僕がわからない技にちがいない。」と弟は考えました。 さて、ある日、父親が弟に「よく聞けよ、そこのすみのやつ、お前は大きくなって力もでてきた。お前も自分で食っていく何かを習わなくちゃな。見てみろ、お前の兄はしっかり働いている。だが、お前はこれっぽちも稼がないんだからな。」と言いました。「それでね、お父さん」と弟は答えました。「何かを習いたい気はうんとあるんだ。本当に、もしやれるなら、ぞっとする方法を習いたいんだ。まだそれが全然わからないんだよ。」兄はこれを聞メルヘン 読む →
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金の毛が3本生えた鬼

金の毛が3本生えた鬼昔、1人の貧しい女がいて、男の子を産みましたが、羊膜を付けて生まれたので14歳になると王様の娘を妻にするだろうと予言されました。その後まもなく、たまたま王様が村にやってきて何かニュースがあるかと尋ねると、誰も王様だと知らなかったので、人々は「羊膜をつけた子が生まれましたよ。そんなふうに生まれた子は何をしてもうまくいくんです。14歳になると王様の娘を妻にするだろうと予言もされています。」と答えました。 王様は、悪い心をもっていたので、その予言に怒って、両親のもとへ行くと、とても愛想良くし、「貧しい人達よ、子供を預からせてくれれば世話をするよ。」と言いました。初め両親は断りましたが、その見知らぬ人が沢山の金をくれると言うので、「幸運の子供なのだから、その方が万事うまくいくにちがいない」と考え、とうとう承諾し、子供をあげました。 王様は子供を箱に入れ、馬に乗っていきましたが、深い川のところまで来ると、箱を川に投げ入れ、「これで望ましくない求婚者から娘を自由にしたわい。」と考えました。 しかし、その箱は沈まず、船のように浮かんで、一滴の水もしみ込みませんでした。そして、王様の首都の2マイル内まで漂っていくと、水車があって水車ダムで止まりました。水車番が運良くそこに立っていて、箱に気づき、鉤で引っ張りあげました。大きな宝物を見つけたと思っていたのですが、開けてみると、中には元気で生き生きしたメルヘン 読む →
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蜜蜂の女王

蜜蜂の女王二人の王様の息子が冒険を求めて出かけましたが、すさんだだらしのない生活にはまってしまったので戻って来ませんでした。末の息子は、抜け作と呼ばれていましたが、兄たちを探しにでかけました。しかしやっと見つけると、兄たちは、ずっと賢いおれたちでもやって行けないのに、このおめでたい弟が世の中を渡れると思ってるとはちゃんちゃらおかしい、とばかり嘲り笑いました。 三人は一緒に旅をしていくと、蟻の巣がありました。すると二人の兄は、これを壊そうぜ、小さなアリのやつら、慌てふためいてうろうろ卵を運んでいくだろうよ、と言いました。しかし抜け作は、「ほっといてやってくれよ、兄さんたちがありの邪魔をするのを黙ってみてられないよ。」と言いました。それから進んでいくと湖にでました。そこにはたくさんのカモが泳いでいました。二人の兄は二、三羽捕まえて焼き肉にしようとしました。しかし抜け作はそれを許そうとしないで、「ほっといてやってくれ。兄さんたちがカモを殺すのは我慢できないよ。」と言いました。 やがて蜂の巣のところにさしかかりました。そこではたくさん蜂蜜があって巣がついている木の幹から垂れていました。二人の兄は、木の下で火を燃やし蜂の息をとめよう、そうして蜂蜜をとろうぜ、と言いました。しかし抜け作はまた二人を止め、「ほっといてやれよ、兄さんたちが蜂を焼くのは黙って見てられないよ」と言いました。 とうとう三人の兄弟はメルヘン 読む →
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糸くり三人女

糸くり三人女昔、怠け者で糸を紡ごうとしない娘がいました。それで娘の母親は「どうしたってお前をその気にさせることはできやしない」と嘆いていました。ついに或るとき堪忍袋の緒がきれカッとなって母親は娘をなぐりました。それで、娘は大声で泣き出しました。丁度このときお妃さまが通りがかり、泣き声を聞いたので、馬車をとめ、家に入ると、母親に、どうして泣き声が道に聞こえるほど娘をなぐっているのか、と尋ねました。母親は娘の怠け癖をさらけ出すのは恥ずかしいと思い、「娘の心を糸紡ぎから離せないんです。娘は糸紡ぎをすると何度も何度も言い張るんです。私は貧しいし、亜麻を買うお金がないんです。」と言いました。するとお妃さまは「私は、糸紡ぎほど聞きたいものはないですよ。糸車が回っているときはこの上なく楽しいわ。娘を宮殿に連れて行かせて。私には亜麻が十分あるから、好きなだけ紡がせてあげる。」と言いました。母親はこれに心から満足し、お妃さまは娘を一緒に連れていきました。宮殿に着いたあと、お妃さまは娘を上から下まで最上等の亜麻でいっぱいの3つの部屋に案内しました。「さあ、この亜麻を紡いでおくれ。終わったら、私の一番上の息子と結婚させてあげましょう、たとえお前が貧乏でもね、そんなことを気にはしていないのよ、お前のひたむきな勤勉さが十分な持参金ですからね。」とお妃さまは言いました。 娘は内心ビクビクしていました。というのは、たとえ3メルヘン 読む →
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子ウサギのおよめさん

子ウサギのおよめさん昔、キャベツを植えているきれいな庭に住む母親と娘がいました。そして小さなウサギがそこに入り、冬にはキャベツを全部食べてしまいました。それで母親は娘に、「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言いました。 女の子は「シ、シ、ウサギ、あなたはうちのキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで。」とウサギはいいます。女の子は行きません。 次の日、ウサギはまたやって来てキャベツを食べます。それで母親は娘に「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言います。娘は「シ、シ、ウサギ、あなたはキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで。」とウサギはいいます。娘は断ります。 三日目、ウサギはまたやって来てキャベツを食べます。それで母親は娘に「庭に行ってウサギを追い払ってね。」と言います。娘は「シ、シ、ウサギ、あなたはキャベツをみんな食べてしまうわ。」とウサギに言います。「おいで、お嬢さん、私の小さなウサギの尻尾に座って私のおうちに一緒においで。」とウサギはいいます。 女の子が小さなウサギの尻尾に座ると、ウサギは遠く離れた自分の小さな家に連れていき、「さあ、緑のキャベツとアワ種を料理して。私は結婚式のお客を呼ぶからね。」と言います。それからメルヘン 読む →
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つぐみの髭の王さま

つぐみの髭の王さまある王様に、はかり知れないほど美しい娘がいました。けれどとても高慢でその上横柄なので、どの求婚者も娘の気にいらなくて、求婚者を次々と追い返し、意地悪く笑い者にもしました。 あるとき、王様は大宴会を開き、そこへ遠近から結婚の相手となりそうな若者を招きました。若者たちは身分と地位に従って全員一列に整列させられました。最初は王様で、次は公爵、次は王子、伯爵、男爵、紳士階級がきました。それから王様の娘はそれぞれの身分の人の間を案内されましたが、どの人にもなにか異議を唱えました。一人は太りすぎていて、「酒樽ね」、背が高すぎると「やせでのっぽ、まるで役立たずね。」3人目は背が低すぎて「ちびのでぶはのろまよ。」、4人目は顔色が悪過ぎて「死神みたいね。」、5人目は顔が赤過ぎて、「見事なおんどりね。」、6人目は体が真直ぐでないので、「ストーブの後ろの乾かされた生木。」と言いました。 そんなふうに娘は一人ひとりに何か文句をつけましたが、列のかなり高い地位にいたりっぱな王様には特にはしゃいで、あごがすこし曲がっていたので、「ほら見て、つぐみのくちばしみたいなあごをしているわ。」と叫んで笑いました。その時からこの人はつぐみひげの王様の名前をもらいました。 しかし年とった王様は、娘が人々をあざ笑う以外何もしないで、そこに集まった求婚者みんなをばかにしたのを見ると、とても怒って、戸口に来た最初の乞食を娘の夫にメルヘン 読む →
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ガラス瓶の中の化け物

ガラス瓶の中の化け物昔、朝早くから夜遅くまで精を出して働く貧しい木こりがいました。やっといくらかお金を貯めたとき木こりは息子に、「お前はおれのたった一人の子供だ。おれは汗水流して稼いだ金をお前の教育に使うよ。お前がなにかまともな仕事を覚えれば、おれが年とって、手足がこわばり、家にいなければならなくなったとき、養うことができるよな。」と言いました。 そこで男の子は高校へ入り、熱心に学んだので教師たちは誉め、男の子は長い間そこにいました。2年終えたけれどまだ全部覚えきったわけではなかったとき、父親が稼いだ少しのお金が使い果たされてしまい、男の子は父親のところへ戻るしかなくなりました。 「あ~あ、もうお前にあげられない。この厳しい時世では毎日のパンを買うのに十分なだけで、それ以上は一ファージングも稼げないんだ。」と父親は悲しそうに言いました。「おとうさん」と息子は答えました。「そんなこと心配しないで。もしそれが神様のおぼしめしなら、将来ぼくの役にたつようになるんだよ。僕は早くそれに慣れようと思うよ。」父親が木を切って束ねる手伝いでお金を稼ごうと森へでかけようとすると、息子が「僕も一緒に行って手伝うよ。」と言いました。「だめだよ、お前」と父親は言いました。「お前には難しいだろうよ。お前は荒仕事には慣れていない、だから耐えられないだろう。それに、斧が一丁しかないし、もう一丁買う金も残ってないよ。」「いいから隣にメルヘン 読む →
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鉄のハンス

鉄のハンス昔、一人の王様がいました。王様は、宮殿の近くには大きな森をもっていて、あらゆる種類の動物がいっぱいいました。ある日王様はノロジカを撃たせるため一人の猟師を送り出しましたが、猟師は戻ってきませんでした。「たぶん何か事故が起こったんだろう」と王様は言い、次の日、その猟師を探しにさらに二人の猟師を送り出しましたが、その二人も帰ってきませんでした。それで3日目には王様は猟師全員に、「森をくまなく探せ、3人全員を見つけるまであきらめるな。」と言って送り出しました。しかし、これらの猟師たちの誰もまた帰って来ませんでした。また一緒に連れて行った犬の群れも一匹も見られませんでした。そのときから、もう誰も森へ入ろうとはせず、森は暗く静かでひっそりしており、何も見られず、ただ時々ワシやタカがその上を飛んでいるだけでした。 こういう状態が何年も続いたあるとき、見知らぬ猟師が職を求めて王様に取り次ぎを願い、危険な森へ入ろうと申し出ました。ところが王様は承知しないで、「あそこは安全でないのだ。お前も他の者たちと同じ目にあうのではないか。二度と出てこれなくなるだろう。」と言いました。猟師は、「陛下、危険は承知の上です。怖くはありません。」と答えました。それで、猟師は犬を連れて森へ入りました。まもなく犬が道の獲物をかぎつけて追いかけようとしましたが、二足ほど走るとすぐ深い池の前に出て、それ以上進めなくなりましたメルヘン 読む →
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トゥルーデおばさん

トゥルーデおばさん昔、分からず屋で詮索好きな女の子がいました。両親が何かするように言ってもいうことをききませんでした。ですから、どうやってうまくやれるでしょうか。 ある日、その子は両親に言いました。「トルーデおばさんの噂をたくさん聞いたことがあるわ。いつかその人のところへ行ってみよう。その人のいろんなことが変わってて、家の中にはとても変なものがあるっていうから、とても知りたくなったわ。」両親は断固として禁じて、「トルーデおばさんは悪い人だよ、わるいことをするんだ。もしお前が行くなら、もう家の子じゃないよ。」と言いました。 しかし娘は両親の禁止に耳をかさず、やはりトルーデおばさんのところに行きました。娘がやってくるとトルーデおばさんが聞きました。「おまえは、どうしてそんなに青い顏をしているんだい?」 娘はからだ全体をふるわせながら、答えました。「見たものがとてもこわくって。おばさんの家の階段で、まっ黒な人を見たのよ」「それは、炭を焼く男さ」「それから、緑の男も見たわ」「それは、狩人だよ」「そのあとに、血みたいにまっ赤な男に会ったわ」「それは、獣を殺す男だよ」「ああ、怖かったわ、トルーデおばさん。家のまどから見たら、あなたではなくって、本当にそう思うんだけど、頭が火で燃えている悪魔が見えたの」「ほおー!じゃあ、おまえはちゃんとした衣装の魔女を見たんだね。わたしはおまえをずっと待っていたんだ。もう長い間おメルヘン 読む →
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知恵者のグレーテル

知恵者のグレーテル昔、グレーテルという名前の料理人がいました。グレーテルはかかとの赤い靴を履いていて、それででかけるときはいつもあっちこっちとまわってみて、(私ってなんてきれいなの)と思いました。家に帰るととても嬉しいのでワインを一口飲み、そうすると食欲が出てくるので、自分が料理したものの一番いいものを味わい、お腹がいっぱいになって、「料理人って食べ物の味を知らなくちゃいけないのよ」と言っていました。 ある日、主人がグレーテルに言いました。「グレーテル、今晩お客が来るから、ニワトリを二羽おいしく料理しておいてくれ」「はい、わかりました、ご主人さま」とグレーテルは答えました。ニワトリを殺し、湯通しして羽根をむしり、串にさして、夕方になってきたので、丸焼きにするため火にかけました。ニワトリは茶色になり始めほぼできあがりましたが、お客はまだ着いていませんでした。 グレーテルは主人に呼びかけました。「お客さんがこないんなら、ニワトリを火からおろさなくちゃいけないんだけど。すぐ食べないともったいないわ、今ちょうど汁気があって一番おいしいところなのよ」 主人は「そうだな、おれが走ってお客をつれてこよう」と答えました。 主人が背を向けるとすぐ、グレーテルはトリの串をわきにおろして、(火のそばにこうして立っていたら、汗が出て喉が渇いたわ。主人たちはいつ戻るかわからないのよ。その間に地下室にひとっ走りして一杯飲もうっメルヘン 読む →
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一つ目、二つ目、三つ目

一つ目、二つ目、三つ目昔、三人の娘がいる女がいました。一番上の娘は、額にたった一つの目があったので、一つ目という名で、二番目の娘は、他の人たちのように二つの目があったので、二つ目という名で、一番下の娘は、目が三つあったので、三つ目という名でした。三つ目の三番目の目も額の真中にありました。ところが二つ目は他の人間たちと全く同じに見たので、姉妹と母親は二つ目が我慢できなくて、「お前は目玉が二つで、普通の人たちと同じだよ。お前は私たちの仲間じゃないよ。」と二つ目に言いました。みんなは二つ目を押しのけたり、古い服を投げつけ、残り物しか食べるものをあげず、二つ目を惨めにするためにできる何でもやりました。 二つ目は野原へでかけてヤギの世話をしなければなりませんでしたが、姉妹がほんの少ししか食べ物をくれなかったので、まだかなりお腹がすいていました。それであぜに座り、泣きだしました。とてもひどく泣いたので目から二つの川が流れました。そしてあるとき悲しみながら目をあげると、女の人が自分のそばに立っていて、言いました。「どうして泣いているんだね?二つ目」「泣かないでいられないの。他の人たちみたいに二つ目なので私の姉妹と母は私が嫌いで、あちらこちらへ押して、古い服を投げてよこすし、残り物しか食べ物をくれないの。今日は少ししかくれなかったからまだとてもお腹がすいてるの。」と二つ目は答えました。すると賢い女の人は、「涙を拭いて、メルヘン 読む →
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なぞなぞ

なぞなぞ昔、王様の息子がいて、世界を旅してみたいという望みを抱き、一人の忠実な従者だけ連れてでかけました。ある日大きな森に着きましたが、すっかり暗くなってしまったのに、宿もみつからず、どこで夜を過ごしたらよいかわかりませんでした。すると、一人の娘が小さな家にむかっていて、近づいてみるとその娘は若く美しいのがわかりました。王子さまは、その娘に話しかけて、「娘さん、私と従者があの小さい家に泊まれないだろうか。」と言いました。すると娘は悲しげな声で「ええ、もちろんいいですよ。ただあまり勧めたくないのだけど。家に入らないで。」と答えました。王子さまが「どうして駄目なんだ?」と尋ねると、娘はため息をうき、「継母が魔法をするの。知らない人に意地悪いのよ。」と言いました。それで、王子さまは、魔女の家なんだなととてもよくわかったのですが、暗くなってこれ以上遠くへ行けないし怖れなかったので、その家に入りました。その老婆は暖炉のそばの安楽椅子に腰かけていましたが、赤い目で王子様を見て、愛想のいい振りをして、「今晩は。座って休んでください」と言いました。老婆は火を扇いで、小さな鍋で何かを煮ていました。それで、娘は二人に「用心するように。何も食べないで、何も飲まないで。」と警告しました。というのは老婆は、毒入りの飲み物を調合していたからでした。二人は早朝まで静かに眠りました。出発の用意をしていて、王様の息子がすでメルヘン 読む →
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千匹皮

千匹皮昔、金色の髪の妻がいる王様がいました。お后はとても美しく、この世で同じくらい美しい人はみつかりませんでした。あるとき、お后は病気になって、もうすぐ死ぬにちがいないと感じたので、王様を呼び、「私が死んだあともう一度結婚したいなら、私と同じくらいきれいでない人、私のような金色の髪をしていない人はやめてくださいね。あなたはこのことを約束してくれないといけないわ。」と言いました。王様がそれを約束すると、お后は目を閉じ亡くなりました。 長い間、王様は心がいやされなくて、別の妻をもらうことを考えもしませんでした。ついに相談役たちが、「こうしていられないよ。私たちにお后がいるためには王様はもう一度結婚しなくてはいけない。」と言いました。そうして、亡くなったお后と同じくらい美しい花嫁を探しに、使者がはるばる遠くまで送られました。しかし、世界中どこを探しても誰も見つかりませんでした。また、たとえ見つかったとしても、あのような金色の髪をした人はだれもいなかったでしょう。それで使者たちは手ぶらで帰ってきました。 さて、王様には娘が一人いました。その娘は亡くなった母親と全く同じくらいきれいで、同じ金色の髪をしていました。娘が大きくなったとき、ある日、王様は娘を見て、なにからなにまで娘は亡くなった后に似ているとわかり、急に激しい愛を感じました。それで王様は相談役たちに「私は娘と結婚する。というのは娘は亡くなメルヘン 読む →